旅行
高速に乗りしばらくすると、
秀都「ねぇねぇ、俺さ~♪ガイトブック買っちゃったんだよね~♪」
秀都は嬉しそうにカバンから箱根のタウンガイドを取り出した。
秀都「じゃ~ん!いろいろサーチしましたよ!」
あらかじめ付箋を挟んでおいたページをめくり、俺に見せた。
秀都「どぉ?どぉ?」
純平「…見れると思う?」
秀都「あ~♪運転してるから無理だよね~♪」
純平「…うん」
秀都「じゃあ、読んであげるね(ハート)」
秀都「えっと…」
と、ホヤホヤのカップルみたいな会話が車内で約一時間繰り広げられた。
その間、俺が発した言葉は…
「うん」
「そう」
「へぇ」
「いいね」
のみ。
さすがに、聞いてるのみとはいえ、疲れたな…。
一方の秀都も、一時間も喋っていたせいか疲れたのだろう、無口になり外をボーと見ている。
20分の沈黙を経て、秀都の口がまた開いた。
秀都「あ~っ!!」
いきなり叫んだ声にビクつく俺…
純平「ッ何だよっ!!」
秀都「俺ね~♪CD持って来たんだ~♪」
またしても、カバンをゴソゴソあさりだした。
純平「何持ってきたの?」
秀都「L'Arc-en-Ciel!略してラルクみたいな~♪」
こんな秀都とも音楽の趣味は合う。
純平「おっ!いいね~♪かけようぜ♪」
と、好きな音楽を目の前に俺のテンションは一気に上がった。
オーディオにCDが入ると、1曲目が流れた。
―♪
花葬だ…!
前奏でわかる俺!スゴイだろっ!
てか、古くね?笑
と、思いつつも曲を楽しむ俺。
バラバラに―♪
歌に入った瞬間、vocalのハイドと重なりもう一つ声が入ってきた。
秀都「バラバラに―♪」
純平「……。」
秀都は曲に合わせてでかい声で歌い出した。
聞こえね~…。
せっかくラルクに浸るチャンスが秀都のリサイタルを聞く羽目になった。
声を裏返しながら乗りまくってる秀都に、
聞こえないよ!!
とは言えず、高速を下りるまでリサイタルを「タノシンダ」。