旅行
二年前
まだ、肌寒さが残る4月、俺は市内の大学に入学した。
この大学を受けた理由は、家からバスで10分だっから。
入学から一週間、校舎裏の芝生の上で一人昼飯を食べていると、背後から俺を呼ぶ声がした。
秀都「松田純平君!!」
…誰だよ
振り返ると満面の笑みを浮かべ秀都が立っていた。
純平「誰?てか、何で俺の名前知ってんの?」
秀都「松田君、有名だもん!笑」
純平「はぁ?わけわかんねぇ…」
秀都「で?何してんの?
」
純平「飯食ってんの!」
秀都「見ればわかるぅ♪」
純平「じゃあ聞くなよ!」
秀都「フフっ♪」
気持ち悪い程の笑顔を浮かべると、秀都は自己紹介を始めた。
秀都「俺、沢井秀都!○○大学○○学部に通う18歳です!あと―」
と、初対面の俺の前で聞いてもいないことまでベラベラ喋りだした。
しかし、良く喋るな…
俺、こうゆう人苦手なんだよな…
それからというもの、秀都は俺の周りをチョロチョロするようになり、俺達は自然と仲良くなっていった。
沢井秀都
ルックスは男の俺から見ても申し分はないが、この男半端じゃないくらいよく喋る。
その上、時間にルーズで女好きでお調子者と救いようのない奴だ。
だがその反面、友達思いで面白く、よく気が利く。
たまにムカツクこともあったが、秀都は俺にとって大切な友達へと変わっていった。
昔の思い出に酔いしれていたその時、
「バンッ!!」
と、凄い音がし俺は現実の世界に戻された。
音の方を見ると、助席の窓ガラスに秀都がへばりついていた。
俺と目が合うとガラスから離れ、助席のドアを開け車に乗った。
秀都「いや~♪遅くなってすまないね~♪」
時計を見ると7時をまわっていた。
純平「相変わらず、時間にルーズだな。時間はちゃんと守れよ」
秀都「ごめんごめん!お化粧に時間掛かっちゃって!笑」
純平「…じゃあ出発すんぞ」
秀都「…はい。笑」
エンジンをかけ、車は箱根へと走り出した。