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レジの機械的な「98円」連呼に、精神が乱れそうになりました

作者: 降井田むさし

ドラッグストアに寄った。

仕事からの帰り道。


安いアイスが買いたかったから。

歯みがき関係の道具も、買いたかったから。


買った。

素早く。

いつもの感じで。


そして、袋詰めに移った。

普通に買って、普通に袋に入れていた。


後ろでは、お客さんがレジしていた。

値段を読み上げるタイプの、レジ。

いつもは気にならない、音。

それなのに、それなのに。

その日はやけに、気になった。


値段を、普通に読み上げていた。

機械が、普通に値段を読み上げていた。

はずだった。

なのに。

あれは、気になるよ。


「98円」

「98円」

「98円」

「98円」

「98円」

「98円」

「98円」


98円を、7連続で言った。

機械的な「キュウジュウハチエン」。

それの7連続。

もっと、だったかもしれない。


それは、キツイに決まっている。

リピートって、キツイ。

洗脳気味になる。


98円の商品を、どれだけ買うんだよ。

そう思ったが、怒りはなかった。

当事者になってもおかしくない。

98円商品をいっぱい買っちゃう、お客さん側になってもおかしくない。

そう思うから。


その7連続で、おかしくなりそうになった。

そんな場面で、突如「1358円」が来た。

そのときが、一番ヤバかった。

同じリズムのなかに、突然の千円超え。

心の中で、狂い叫んでいた。

と思う。


そこから、200いくらとか、100いくらとか。普通の値段の読み上げが、続いた。

読み上げは、平穏に戻った。

安定に入った。

かに見えたのだが。


世の中そんなに甘くない。

突然の98円地獄、再来。

また、5回ほど連呼した。

しかも、たまに食い気味に来るし。


「キュウジュウハチエン」

「キュウジュウハチ」

「キュウジュウハチエ」

「キュウジュウハチエン」

みたいに。


それには、やられた。

全く同じリズムの繰り返しも、苦しいが。

長い繰り返しのあとの、違うリズムも苦しいんだな。


はやくレジ打ちする店員さんは、素晴らしい。

それは、声を大にして言わなければならない。

でも、リズムは一定にしてほしかった。


「98円」としか言っていない。

だけど、繰り返し言われると。

「お前は、98円の価値しかない人間だよ!」

みたいに聞こえてくる。


まあ、そんなこともないな。

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