第7話 ピコン 赤達はMyHomeを手に入れた!▽
「ここは人里よ」
赤達が裂け目から出ると紫はそういった。紫は赤達に向かって言葉を続けた。
「空き家が多いからここに住みなさい。お店も大体そろってるわ」
赤は紫の言葉に頷きを返し青達を見た。
「2時間後ここに再集合。空き家を探すのと地理の把握をするぞ」
青達は俺の言葉に頷きそれぞれ別の道に走って行った。
「あと、これ」
俺は紫に渡された手持ち鞄を見て呟いた。
「これは?」
紫は俺の呟きに対し、俺に指を指してきた。
「貴方達のよ。貴方達の口座に振り込まれていたお金よ」
俺は紫の言葉にため息を吐くと、
「暇人なんだな。ありがたく受け取るよ。ありがとよ」
俺は鞄を持ち直し紫に背を向けた。
「またね。明日は自分たちで回ってね。明日予定があるから」
俺は紫の方を振り返り、
「分かった。幻想郷の地図だけ貰えるか?」
紫は俺の問いに頷くと紙を渡してきた。俺は紙を受け取るともう一度背を向け空き家を探し始めた。
2時間後、赤達は元の場所に集合していた。
「二人共、見つけたか?」
赤は青達にそう聞くと青達は首を横に振りながら、
「全くない。」
と、答えた。赤は二人の答えに頷きながら、
「俺も見つからなかった」
と言いため息を吐いた。すると、青の背後から男の声が聞こえた。
「あの~すみません。」
赤は男の方を向き笑顔で答えた。
「はい。何でしょう。」
男は少し畏まった様子で言葉を口にした。
「空き家を探してるんですか?」
と聞いてきた。赤は何故知っているのか男に尋ねようとして、黄に阻まれた。
「探してます!」
男は黄の言葉にホッと息を吐き言葉を続けた。
「良かった。なら、私の家に住んでいただけませんか?」
男は黄の言葉にホッと息を吐くと、真剣そうな顔でそう言葉を続けた。
「ちなみに、お金はいりませんので。」
男は言葉を付け加えると、赤達の方を向いた。赤が理由を聞こうとすると、
「え!?いいの?やった!兄さん!」
黄がまたさえぎった。赤は溜息を吐き黄の前に出ると男に話しかけた。
「何故、私たちにご自宅を継がせようと?」
赤の疑問に男は少し寂しさを含んだ微笑を浮かべながら答えた。
「実は十年程前に人里で病死してしまいまして、現在は生前住んでいた家にとり憑いてしまっているんです。」
男は何か夢を見るように視線を空中に向け話していた。
「そうですか。それで何故私たちに譲るというお話に」
赤は男が家にとり憑く理由を聞いた。男は微笑を浮かべたまま赤の問いに答えた。
「何故家にとり憑いているのか考えると家が廃れるのが未練なんだと思ったんです。今から案内する家は生きているときの夢が詰まっている新築だったんです。それが心残りなのでこうして継いでくださりそうな方を探していたんです。」
男は自分の話に一段落させると赤達の方を向き目線で問て来た。
「なるほど、そういう事であれば頂戴します。」
男は赤の言葉に安堵の息を漏らし笑みを深めながら、
「本当ですか!!ありがとうございます。」
男は赤達に感謝の言葉を伝えて来た。赤も笑みを浮かべ
「こちらこそ、助かりました。案内をお願いしてもよろしいですか?」
「はい、ご案内します。どうぞこちらへ。」
赤達は男の案内に従い男の家に向かって歩き始めた。
数分後、赤達は男の家の前に到着していた。
「お~!」
黄は男の案内した家を見て感嘆の息を漏らした。
「本当にいただいても宜しいんですね?」
「はい、これでもう逝けます。家をよろしくお願いします。」
男がそう言うと男の体を光が包みどんどん透け始めて行く。
「はい、大切にさせていただきます。」
赤がそう言うと男は完全に輪郭を失い光となって空へと昇って行った。
「黙祷」
赤がそう呟くと三人は目を瞑り男の冥福を祈った。
「さて、まずは掃除だな。」
「そうだね。(そうですね)」
男から受け継いだ家は新築といっていいほど不備は見当たらないのだが、10年放置されているせいかほこりなどが目立ったため3人は家の窓・扉を全て全開にし外に出てきていた。
「青、黄頼む」
「「了解」」
「雷符【電力剥離】」
「水符【波水】」
「「混合符【電水浄波】」
二人が息を合わせ発動されたスペカにより家の中は大量の水により掃除されていった。
「熱符【幻熱散水】」
青と黄の力により綺麗になった代わりに水浸しになった家を赤のスペカによって水気を切るという才能の無駄使い。
「じゃあ、必要なもの買いに行くぞ。窓、扉閉めろ。」
「「は~い」」
三人は人里に買い物をしに出掛け数時間後返って来ていた。
「終わった~」
黄は買って帰って来た家具などを青と協力し設置し終わるとリビングに倒れこんだ。青は黄の姿に苦笑いを浮かべながらソファに座っていた。
「飯できたぞ~。早く食って早く寝るぞ。」
「兄さん、明日も巡るんですか?」
「ああ、俺と黄の仕事も見つけたいからな。」
赤は料理を運びながら青の疑問に答えて行く。赤の言葉を聞いた黄は心底嫌そうな態度で、
「え~働きたくない~」
「働かざる者、食うべからず。」
「働かせていただきます!」
赤の呟きにより黄は手のひらをすぐさま返し意気込んでいた。
「それでいい。さっ、とっとと食って寝るぞ。」
「「は~い」」
三人は夕食を終えると寝る用意を終え就寝した。
お久しぶりです。白黒原色と申します。この作品は東方projectの二次創作です。原作をご存じの皆様方からすれば見過ごせない点が多くあると思われます。そう言った場合は作品を読むのを止めるか感想等で指摘いただけると助かります。