第6話 階段ってキツイですよね。
「ここは?」
赤達が空間の裂け目から出た場所は階段と等間隔で建てられた灯籠がある桜並木だった。
「この上に目的地があるから、頑張って登ってね!それじゃ上で待ってるわ」
紫はそう言うと赤達3人を置いて空間の裂け目に消えて行った。
「さて、どうする?」
赤は紫が紅魔館でのことを根に持っていると確信しながら、青達二人に尋ねた。
「どうもこうも、登る以外ないでしょ」
青は赤に対しそう答えた。赤は頷きながら
「そうだな、それじゃ行くか」
と二人に活を入れ階段を登り始めた。
「面倒くせ~」
黄は赤に続いて登りながら、そう呟いた。
3人が黙々と階段を登り続け十分弱突然黄が、
「兄さん」
と赤に小声で話しかけた。それに対し赤は動きを乱さず小声で
「あぁ」
と答えた。青は赤に目を向け小声で
「どうする?」
と質問した。赤は青の問いに肩を竦め答えた。
「俺たちからどうにかすることはできないだろ」
赤が小声で答えていると、赤達の右後ろの木陰から人影が現れ赤達に襲いかかった。
「黄、任せた。青、行くぞ」
小声で二人に指示を出し、歩を速めて行った。二人は、赤の言葉に頷き青は赤に続き歩を進め、黄は歩を止め振り返った。
「はぁ、突然なんだい?」
黄は襲い掛かって来た人影の攻撃を避け、そう話しかけた。
「洒落に成らないよ。それ持ってると、お嬢さん」
黄は襲撃者の少女が持っている刀に目をやりそう言うと、
「貴方達こそ、何の用ですか?」
少女は刀を黄に向けながら、問いかけた。すると黄は少し笑って、
「観光」
と、短く答えた。少女は黄の笑いや言葉にイラつきを覚え切りかかろうとして思い留まった。
「ここは、冥界。生者が、観光で来るよな場所ではありません!」
少女はそう言いながら、黄の手に黒と黄色を基調とした刀が握られているのに動揺していた。
「そうなの?なら、想像にお任せするよ」
黄は態度を変えず少女に向かってそう言うと少女は、
「ならば、斬る!!」
少女はそう言うと、黄に攻撃を始めた。黄は少女の刀の間合いの外を維持し続けた。
(さて、どうしよ、、兄さんは、、来ないな。はぁ、どうする)
黄は少女の攻撃を避け続けながらそんなことを考えていると、
「何のつもりですか?」
少女はそう言いながら攻撃の手を止めた。黄は間合いから少し離れ首を少し傾けて答えた。
「何が?」
黄は少女の問いかけにそう答えると、少女は刀を鞘に納めながら、言葉を続けた。
「攻撃して無い所ですよ!!」
少女はそう言いながら手に力を入れた。黄はそれに気づき警戒を強めた。
「人符【現世斬】」
少女はそう呟きながら刀を抜き一閃。黄は少女の一撃に舌打ちをしながら、
「雷速【5A】」
黄はそう呟き、刀を抜かず一閃。少女の刃と鞘があたり両者弾かれた。
「なっ」
少女は弾かれながら現世斬が相殺されたことに驚き黄から意識を外した。すると、黄は
「お休み」
少女の鳩尾に柄頭を叩き込み、少女を眠らせた。黄は「解除」と呟き力の抜けた少女の体を支え、階段を睨みながら、
「抱えて行くかぁ。後、何段だぁ」
と、愚痴を溢し、少女を抱え階段を登って行った。
黄と別れた赤達二人は、、
「あの二人、どうします?」
青は階段を登る足を止めずに、先行する赤に尋ねた。赤も足を止めずに青に視線を向けながら、
「放置だ。どうせ、黄が担いでくるだろ」
と、言った。赤の言葉に青は頷きながら、
「そうですね」
と答え、前方を見ると桜並木と階段が途絶えた場所が見えた。
「兄さん、あれじゃないですか?」
赤に問いかけながら、歩を速める。
「なら、いいけどなぁ」
青の言葉にそう返すと青と同じように、歩を速めた。
赤達が階段を登り切るとそこには、大きな和風屋敷があった。赤は屋敷の縁側に向かって、
「八雲、話はつけたのか?」
と、口にした。すると、縁側で談笑していた紫が赤達の方を向き言葉を吐いた。
「あら?速かったわね?あら、黄はどうしたの?」
と、問いかけてきた。赤は階段の方を向き、青が代わりに答えた。
「階段の途中で、剣士のお嬢さんと遊んでる」
と、言うと。紫と話していたピンク髪の着物の女が、
「遊んでる、ねぇ」
と、呟いた。しかし、この場にいる全員にはっきりと聞こえた。赤は着物の女に視線を向けながら、紫に
「八雲、そっちは?」
と、質問した。すると紫の代わりに着物の女が自分で、
「私は、『西行寺 幽々子』。ここ白玉楼の主で、冥界の管理人をしているわ」
と、答え赤達が言う言葉を察し言葉を続けた。
「剣士のあの子は、『魂魄 妖夢』。白玉楼の庭師よ」
言った。青は頷き、赤は小さく呟いた。
「此処の奴らは血の気が多すぎる」
青は赤の呟きに苦笑して、幽々子に断わりを入れて縁側に腰かけた。
赤は縁側近くに立ちながら黄が登ってくるのを待った。その、数分後黄は妖夢を担ぎながら階段
を登り切った。
「あぁ、登り、、切ったぁぁぁ」
黄は縁側に妖夢を寝かせると、地面に寝ころびそう言葉を吐いた。
「もうヤダ。動きたくない」
黄は上半身を上げ赤の注意の視線に対し、そう答えまた寝ころび始めた。
「んっん~」
妖夢は縁側に寝ながら何度か唸ると、目を開け刀を握った。
「えぇ、勘弁してくれ~」
黄は妖夢の行動に愚痴を吐き、赤を見て
「兄さん、あと頼んだ~」
と、言って目を閉じた。赤はため息を吐き、妖夢の様子を見ていると
「妖夢、止めなさい」
縁側で寛いでいた幽々子が妖夢にそう声をかけた。妖夢は幽々子の言葉を聞くと、幽々子に顔を向
け口を開いた。
「ですが幽々子様!彼らは、」
妖夢が幽々子に反論しようとすると、幽々子は眼を細め、妖夢を見て
「妖夢、貴女は負けたの」
と、小さく口にした。妖夢はそれを聞くと刀を握る力を弱めながら、小さく返事を返した。
「さて、自己紹介だな」
赤がそう言うと三人はそれぞれ自己紹介を行い、赤が紫の方を向き言葉を吐いた。
「それじゃ、挨拶にきただけだから、、、」
もう帰る。と言葉を続けようとすると、ぐぅぅぅぅと音が響いた。赤は音の発信源に視線を向けると、
「うっ、兄さん腹減っちった」
音の発信源である黄は、顔を背けながら呟いた。赤は頷き幽々子を見ると、
「西行寺、ここに食材はあるか?」
と、聞いた。幽々子は、少し首を傾け妖夢を見た。すると、妖夢は頷きを返した。
「あるわ。妖夢、案内してあげて」
幽々子がそう言うと、妖夢は靴を脱ぎ立ち上がり赤に目を向けた。
「六人分でいいか?」
赤は妖夢に頷きを返し、靴を脱ぎながら声をかけると、
「10人!!」
赤の問いに黄と幽々子が同時に声を上げた。赤は二人を見てからため息を吐き、
「大食いが二人か、、15人分ぐらいだな」
と呟き、妖夢に続いて部屋の奥に姿を消した。
数十分後四人が寛いでいた和室に赤と妖夢が大きな器を抱えながら入ってきた。
「すまん、遅れた」
赤は机に器を置きながらそう言い、全員が座るとご飯を食べ始めた。
数分後、全員が食べ終わると赤と青が立ち上がり、器を片付け始めた。すると、妖夢は、
「手伝います!」
と、立ち上がった。赤は妖夢を見て首を横に振った。青は妖夢に対し、
「俺たちがするから、大丈夫だよ。妖夢は休んでな」
と言うと、妖夢は座ると寝ころんでいた黄の姿を見ると黄に対して、
「黄さん!剣の修練に付き合ってください!」
と言った。黄は妖夢の言葉に不満を漏らすと赤が黄に対して、
「食後の運動に丁度いいだろ」
と言う。黄は赤の言葉を聞き、しぶしぶといった感じで立ち上がった。
「どこでやる?」
黄は妖夢にそう聞くと妖夢は庭を指した。黄は刺された庭を見て首を傾げた。
「いいの?せっかく整えてあるのに」
黄の言葉に妖夢は
「構いません。どうせ、夜にはまた手を加えますから」
妖夢は黄にそう言い庭の方へ出た。
「では、尋常に勝負!」
黄が庭に出ると妖夢は刀を握りながらそう叫んだ。黄はいつの間にか用意した刀を構え、防御姿勢
を取った。
「人符【現世斬】」
妖夢の攻撃に対し黄は回避を選択し、反撃を繰り出した。妖夢は黄の反撃を苦し気に防ぎ黄と距離
を取った。
「人鬼【未来永劫斬】」
妖夢の技に黄は十分な距離を取り回避を続けた。すると、いつの間にか戻っていた赤が
「やる気が見えん」
と呟き、それを聞いた黄は舌打ちしながら妖夢との距離を大きく離れた。
「まだまだ」
妖夢は軽く数の多い攻撃をしながら反撃を狙っていた。黄は頭の中で
「剣技【空伏】」
と呟き、妖夢の攻撃に対し横向けの刀で迎え打ち妖夢の刀の鍔に向かい刀を走らせ押し込み、
体勢の崩れた妖夢を下から上に刀で持ち上げ空中で反転させ背中から落とした。妖夢は
「かはっ」
と衝撃により息を吐き出され、動きが止まる。黄は倒れた妖夢の首に刀を近づけ、
「僕の勝ちだね」
と、妖夢に声をかけた。妖夢は黄の言葉に頷き刀が退かされると立ち上がった。
「兄さん、速かったね。」
黄は紫達の隣に座っていた赤を睨みながら声をかけた。赤は首を竦め笑みを浮かべた。
「黄さん!私に剣術を教えてください!」
妖夢は黄の前に立ち頭を下げた。黄は困ったような顔をして妖夢に
「断るよ。」
と答え、縁側に向かった。妖夢は黄を見て、
「なぜですか?」
と聞いた。黄は振り返り妖夢の目を見ながら、
「僕が妖夢ちゃんに剣術を教えても、妖夢ちゃんの使う剣術は成長しないよ」
黄はそう言うとまた縁側に向かって歩き出した。
「っっっ!」
妖夢は黄の言葉にすぐに返事を返せず息をのんだ。黄は背中を向けながら、
「試合の相手位なら、たまにしてもいいけど」
黄はそう言い、縁側に座った。妖夢は黄の言葉に
「ありがとうございます!」
と頭を下げながら返した。赤は黄と妖夢のやり取りが終わると紫に
「八雲、次に行こうか」
と、声をかけた。紫は赤の言葉に頷き縁側から離れた。紫に続き赤達も離れると、空間が歪み裂け目が生まれた。
赤達四人は空間の裂け目(紫の能力)を使い移動する。
お久しぶりです。白黒原色と申します。この作品は東方projectの二次創作です。原作をご存じの皆様方からすれば見過ごせない点が多くあると思われます。そう言った場合は作品を読むのを止めるか感想等で指摘いただけると助かります。さて、クリスマス乗り越えたぜぇぇぇぇ!これからは堂々と街中を歩けます。さて、やっぱり二次創作妖夢さんは襲って来るのでした。黄は設定上剣術がバチ強です。