【第06話】◆【強欲の実力】
ここは、私も天文殲魁を使うとしましょうか。
「天文殲魁・混沌・不可侵の結界」
私を中心に放射状に紫色の結界が展開され、周囲に湧いている煩わしい巨人、燃え続ける炎、睡魔が消滅しました。
「わ、わたしの巨人が、炎が、き、消えた」
「大罪の混沌に与えられし権能『不可侵の結界』私に対しての攻撃及び防御をすべて消滅する事が出来ます。さて時間はあまり無い、素早く片付けましょう」
私は天文殲魁・混沌・宣戦布告を使用する。
この能力は私が宣戦布告した相手の時間を停める。
欠点があるとすれば相手の命を奪うような発言(死ねだ殺すだの)を言うと強制的に効果が解除されてしまうことでしょうか。
逆に言うとその発言をしない限り解除されないこと、もちろん、その間対象に攻撃出来ます。
「動けない、なぜだ?」
おや、ずいぶんと冷静ですね。
天文殲魁・罪魁武器・生命狩りの鎖鎌。
紫色の闘気を纏った鎖鎌を召喚して構える。
「天文殲魁・混沌・不死者粛正」
この付与によって寿命狩りの鎖鎌は相手に情報を強制的に話させる能力・一回叩くことに敵対者の寿命を三千兆年吸収する(不死不老者の場合解除して寿命を百年に設定する)ことが可能になる。
つまりこの男性が不死不老の場合は一回叩くだけで亡くなってしまうという事だ。
「何を、するん、ですか」
「ご安心下さい、尊いあなたの命を奪おうとは考えていません。ただ、いくつかお伺いしたいことがありまして、正直に答えてくだされば、あなたの身柄は解放しますよ」
ハンニバル様の態度に変化が見られない自分の命に執着がないのか?
「黙りなさい! 私はいつか生まれる終焉者ディマイズ様に信仰を捧げる使徒。貴様ら大罪堕神龍を殲滅し世界救済の為に動くのダイ」
ハンニバル様の身体時間を停止している為か、動きはありませんが、ずいぶんと流暢に話せるようになりましたね。今までのは精神異常者を装って罪の減刑を狙っていたのでしょうか?
いや、ディマイズ様とやらを信仰なさっている以上、自身を含めた人命に対する執着というのでしょうか? それが低いのかもしれませんね。
それにしても洗脳されているのでしょうか。厄介ですね、これは、ハンニバル様も所詮はトカゲのしっぽか、有力な情報は持っていないようですし消えてもらいましょうか。
ハンニバル様を鎖鎌で攻撃しました。どうやら彼は不老不死だったらしく一回叩くだけで消滅して、亡くなってしまいました。
悲しいほど弱いですね。
別の生体反応。
大罪堕神龍と同等の生体反応が残り二体も……。
私は宮殿を出て政庁へ向かうことにしました。
行政官を守る為に守衛兵の方々を配置していましたが、もう亡くなっているでしょうね。
人影が見えたので先制攻撃です。
が、強力なバリアに防がれてしまいました。
「いきなり攻撃をするとは、」
「これは申し訳ございませんでした。混沌の大罪堕神龍として」
「殺す」
「恐ろしいですね」
話は通じなさそうです。
顔を見ると右目に「大罪」、左目に「守護」の文字が刻まれている。
私は生命狩りの鎖鎌を振るい、鎖の部分で彼を拘束してそのままオーバーヘッドキックを放ちました。
彼はそのまま消滅しましたが、罪魁の十字架は回収できませんでしたね。
どうしたものか。
皇帝陛下の元へいってしまったのでしょうか?
「な!? なんだお前?」
後ろを振り返ると左目に「冷酷」と刻まれたクリドット族の青年が立っている。
今更ですが、クリドット族は私が強欲・虚飾・怠惰と共に救済に行った種族のものです。
生き残りがいたのですね。
四人ほど生きたまま解放したような気が…………。
「罪能『氷爆の塔』」
彼が能力を使用すると、氷で出来た巨大な塔が出現した。
その塔から氷柱状の爆弾? が私に向かって放たれてきました。
私は蝙蝠型の羽を広げて上空に避ける。
追尾機能は無いようでそのまま、床に着弾しました。
大きな爆発音が鳴るわけではなく、氷が地面に広がっただけでした。
天文殲魁・混沌・宣戦布告を使用して彼の動きを止めました。
生命狩りの鎖鎌で二回叩いたところ、彼は消滅しました。
これで皇帝陛下と共に帝都を襲撃した連中は殲滅できたかな?
私は焦土とかした帝都に索敵魔法陣を展開する。
同族の生命反応があったのでその場所にワープ移動で向かった。
が、すでに手遅れでした。
まぁこれも天命。救済されたことを祝うべきだろう。
それよりも今は残った大罪堕神龍と皇帝陛下への対象が先ですね。
これは、舞台を整える必要があります、彼らには満足してほしいから。
残っている吸血鬼神龍の救援活動や銀覇石羅族への対応も残っていますし、これから忙しくなりますね。
大罪の十字架である私を操る個体によって天文殲魁の威力や効果は変わるのかも気になりますね。
十字架を背負っていない状態で戦っていた彼らは新しい大罪を生み出していましたが…………。
ドォォォォン。
刹那、巨大な落下音。
音が出た方向を見てみましたが、黒煙で視界が見えにくい……。
しかし、数秒後には生命体の影が見えてきた、身長は二百八十センチメートル程、私より三十センチほど高いのかな?
右目に「罪魁」、左目に「強欲」、私と瓜二つの銀髪紫眼の女性……。
「これは、これは、お姉様どうされました?」
そう言った時、既にグリード姉上の拳が私の顔に接近していた。
不可侵の結界を展開し、生命狩りの鎖鎌でその腕を斬り落とす。
「グッハッ……」
しかし、大罪堕神龍の超越した動体視力でも視認できない速度の再生能力で生えた新しい拳に顔面を殴打された。
光の一千倍の速度で動く生命体を視認でき、絶滅させた私でも視認できない速度の再生能力。
何ですかこの異常な強さは……。
「新記録だな……あの三秒の間に七千兆回も斬り刻むとは……鎖鎌の捌きも様になってきたなぁ〜」
「お姉様の再生能力は桁違いですね……」
「何を当たり前の事を言っているんだ?」
「お姉様、何故、私を攻撃するのですか? 同族との戦闘行為は大罪ですよ」
「既に七狂大罪以外はクソ皇帝に嬲り殺された、そこでだ、シールド様から皇帝に親しかった者たちを殲滅するように命令されたからな、貴様を救済する」
「私の場合はシールド様に従い、占領統治という業務を完遂した実績もありますし、殺される事ほどのものでもないでしょう」
「お前は占領した土地の民衆を虐殺しなかった、それが貴様の罪だ」
「頭がお硬いな、何れ寿命で亡くなるのだから平和且つ平穏に過ごさせておけば良いでしょう」
「その考えが異端だ!」
かなり食い気味に仰るお姉様。
「そうですか……残念ですね。死んでもらいましょうか、お姉様には」
至近距離で生命狩りの鎖鎌を下から振るう。
「遅い、天文殲魁・罪魁武器・強欲な拳鍔」
しかし、グリードお姉様はその場から居なくなり上空から無数の虚空拳がとんでくる。
その場から離れて、生命狩りの鎖鎌でお姉様の虚空拳を斬り刻む。
鎖の部分でお姉様の足を捕らえて叩き落とした。
「やるなぁ〜」
お姉様が広範囲に剣状の斬撃が放ってくる。
その斬撃を生命狩りの鎖鎌で避け、私の間合いに入っている姉上を鎖鎌で斬り刻む。
転げ落ちるグリードお姉様を拳で攻撃しようと思ったのですが、有り得ない体勢からバク転し、斧状の斬撃を放ってきた。
「つ、強い……」
二、三発くらってしまいました。
「トドメと行こうか」
「ん?」
背中から巨大な鎖を出して、私を縛る。
「さらば、弟よ」
鎖がきつくなり、爆発する。
私は目くらましに黒煙を放出して、自身の十字架をアメーバに包んでこの空間から出した、姉上の探索陣の探知能力を乱すために自身のアメーバを爆散四散して逃げた。
「逃がすかぁ〜」
必死に私のダミーを破壊している姉上、ここは危険だ、はやく逃げなくては……。
これは例の計画を進める必要がありますね。
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