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Death is salvationー混沌のヴィシュヌ  作者: 雲類鷲 蜃霧
【第一章】◆【サファイア王国編】
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【第16話】◆【復活の混沌】

 銀髪翠眼の少女が全力で走っている。


 茂みを掻き分けて、隠れながら逃げる。


 少女を十五人の男性が目を血走らせて追っている。


 彼らからは怒りや焦りといった感情がみえる。


 男性たちは人間族ではあり得ない速度で少女を追っている。


 少女が何をやったのかは分からない。


 三分ほど前まで少女は男性たちに契約で縛られて容易に逃れることはできなかった。


 しかし、混沌の森と呼ばれるこの場所で突如少女を縛っていた契約が解けたのだ。


 その瞬間、少女は男性たちに向かって閃光魔法を放ち少ない体力を使って全力で逃げた。


 今まで抵抗してこなかった商売道具の突然の抵抗を受けて、視界を奪われた男性たちはしばらく行動できなかった。


 だが、少女にとって不幸な事が一つあった。


 それは、少女を契約で縛っていた男性たちがプロの殺し屋であったことだ。


 彼らは視界回復魔法をかけて、少女殺害の為に動く。


 商品はまだあるので対象に固執する必要はないのだ。


 しかし、自分たちの不始末で女神という上物を逃したとなると他の女神が貴族に売れなくなる可能性がある。


 その可能性を潰すために、確実に少女を殺しておこうと思ったのだ。


 男性たちは対象の足跡や匂いで一歩ずつ確実に追い詰めていく。


 対象は走る。


 この間違った世界から救われたい。


 その一心で逃げ続ける。


 だが、世界はそこまで優しくない。


 森を抜ける道は無く、対象は行き止まりまで追い詰められてしまった。


「ふぅ、追いついたぜ! チッ、手間かかせやがって」


 一人の男性が少女に悪態をつく。


 後ろは断崖絶壁。


 もう逃げ場はないのだ。


 グサッ。


 少女の足に矢がささってそのまま混沌の墓石に倒れ込んだ。


「何だ!? その宝石は?」


 ナイフを持った男性が対象が倒れた際に掴んだ紫色の宝石がはめ込まれた十字架に指を指して言う。


「この女の代わりに貴族に売ったらどうだ?」


 毒を塗った鎖を持った男性が提案をする。


「おい! 誰か回収しろ、女神は殺せ!」


 リーダー格の男がそう命令した瞬間を狙ったように十字架にはめ込まれた宝石が美しく輝いた。


 その十字架の宝石から紫色のアーメバが出てくる。


 そのアメーバは光の速度で十六人の肉体に入り適性検査を始めた。


 結果、アメーバは女の肉体を乗っ取った。


「な、何だ!? 今のは」


「きっ気持ち悪い」


「警戒しておけ!」


 男性たちは未知の生物に体の中に侵入された為か不快感を覚える。


 それと同時に鎖を持った男性はアメーバに寄生された少女に警戒色を強める。


「死ね」


 鎖を振り回し、その先についた大鎌で少女の首を斬り落とそうとする男。


 しかし、少女の首を大鎌が斬り落とすことはなく、見えない空気圧が鎖男の首を跳ね飛ばし、男性の持っていた鎖が弓矢を構えていた男性の首を斬り落とし、ナイフを持った男性は鎖部分に巻き込まれ木に吊し上げられた。


「グッがぁ」


 吊るされた男はその後すぐに絶命した。


 少女は紫色の異様なオーラを纏い、男性たちを見つめた。


「おや? こんな夜更けに、こんな森の奥にあるわたくしの墓に用があるとは、最近ではなかなかお目に掛かれない奇特な方々ですね。まぁ、いいでしょう。皆様、本日はおこしくださいましてありがとうございます」


 布一枚着させられただけの少女が殺し屋たちに腰を折って深々と頭を下げる。


「これはいけませんね。ご来訪いただいた方々を出迎えるのに、こんな汚らわしい布では…………皆様に失礼というもの」


 そう言うなり少女は持っていた十字架を胸に刺す。


 その瞬間、少女が着ていたボロ布は奴隷身分のものでは着れそうもない黒を基調とした豪華なローブに変わった。


 少女の美しい翠眼の瞳が紫に発色し、アメジストのような美しい紫色の瞳に変わる。


 男性たちは異様な雰囲気を少女から感じ取り後ずさる。


「おや、おや。帰られるのですか? まだ夜は長いのに……」


 一人の男が高速で逃げるが……


「折角なので救済して差し上げましょう。わたくしの棺を暴いてくださったお礼に……」


 逃げようとした男の首を舐めながら語りかける少女に発狂した男が襲いかかった。


「暗い森の中で美しく可愛らしい、この少女を亡き者にしようとは、大罪ですね。それに紳士としてもタブーですよ。お客様」


 斬り落とした首に指摘している少女に残りの十人は一気に襲いかかる。


 多勢に無勢、いくら強くなっても少女一人に殺しのプロ十人。


 勝てる、そう思った男たちは既に胴体と別れていた。


「確実な死を皆様にご提供させていただきましたが、ご自身の血の味はどうでしたか?」


 女は悲しそうな表情を浮べて


「救済完了」


 そう言った…………

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