【第12話】◆【死んだ女神】
「……」
この会話はあまりにも不毛だった。
どちらも戦略家として前線で活躍し最初から持っているモノが違うのだから。
オーレリアの機嫌を損なうわけにはいかないものの反論しないではいられないような発言をしてくるオーレリア。
ジュリエットはその狭間で揺れ動く。
論破した所で意味はなく、ただ押し黙るにはオーレリアの発言は神経を逆撫でし過ぎる。
「あなたは―――償わなければならないんじゃないかな?」
これまで神々を犠牲にしてきた他人の命と幸せを。
踏み拉き踏み躙り踏み砕いてきた数多の
オーレリアはすっと瞳を細め地べたに這いつくばるジュリエットを冷たく見下ろす。
「―――私にどうしろと?」
”貴方が”私に求める対価モノはなんだ?
私からそれを引きだす為の、その為の言葉遊びだろう。
ゼウスという切り札ジョーカーを持っている貴方に従わないという選択肢は残念だけど私にはない。
下らぬ戯言めかした断罪に屈したりしないとジュリエットは冷静な声と表情、眼差でさっさと本題に入れとオーレリアの濃い青色の瞳を射抜く。
全てにおいて屈したわけではないとその態度でジュリエットは己が矜持を示す。
「―――話が早くて助かるよ。あなたには宇宙救済者の座を降りて貰う」
宇宙救済者ジュリエットは既に死んだ。
君はもう宇宙救済者ジュリエットでないとオーレリアは酷薄な光を瞳に宿して宣告する。
「――――わかった」
ジュリエットこれに頷くしかない。
ごめんなさいゼウス。
心の中で愛した神々に謝る。
ああ御父様は怒るだろう。
だが今はゼウスの安全が一番なんだ。
生きていれば――――この苦境を覆す好機が必ずあるはずだから。
「ジュリエット。あなたは神々に償うべきだ。が、君を野放しにするには少々危険すぎる。いつ寝首どころか国家転覆を図られるかわからないからね」
オーレリアは肩を竦めそ一旦そこで言葉を切った。
じっとオーレリアの言葉を待つジュリエットその姿に微かに頷きオーレリアはゆっくりと告げる。
「ここで”ゲームをしよう”あなたの加護は神々の命を奪った。だから今度は君が行動の選択肢を意志を奪われる番だ。――――しかし、今からするゲームで勝利すれば君に自由を与えてあげよう」
これは契約だとオーレリアは囁いた。
精々私を満足させておくれ…。
―――――あなたがこの世界に色を付けて楽しませてくれるなら―――…この特等席で立ち会わせてあげよう。
それは悪魔のように甘く穏やかに笑った。
「いいでしょう、ゲームのルール説明をお願いします」
「勿論、今から行うゲームの名称はゴッドハンティング。上級破壊神の方々がよくやっていた神狩りだよ、普通なら低級破壊神が狩りの対象だけれど今回はルールを変えて私か君どちらかが死んだ及び封印されたら試合終了だ。何か質問は?」
オーレリアはわざとらしく笑みを浮かべる。
この守護神龍の目的は私の排除だろう、下らない言い回し等せずに殺し合いをしようと言えばいい事を。
「ゲーム中は封印を解除してくれるのですか?」
先ず、この封印を解除してくれないとゲームもクソもあったものじゃない。
「当然だよ、封印を解かないとゲームが出来ないだろう?」
オーレリアは封印を解除した。
「では、始めましょうか」
「はは、楽しいゲームになりそうだね。あの方にも楽しんで貰えるだろうか?」
オーレリアに勝つ方法、封印か?
いやそんな手は読まれているだろう。
魔力が無くなるまで魔法を撃たせ続けよう。
「女神の加護『氷期』」
この空間を冷やす状態異常魔法、神々に対して有効だ。
「寒いね、ではこちらも特殊罪能『虚構領域』」
詠唱で創り上げた氷結空間が形だけ残り意味をなさなくなった。
この守護神龍は魔術をフィクションに変えて無力化してくる。
やはり殺すつもりか!
いや、わかっていたさ。
「女神の加護『炎炎の涙』」
炎属性の雨を降らせ続ける魔術、あらゆる魔術を無力化して相手に炎属性の魔術を苦手属性に変換する秘術。
どうだ!オーレリア
「 」
突如として炎の雨が大嵐に掻き消される。
しかも不思議な空間に閉じ込められた。
「ジュリエットさん。貴女は所詮はそこまでの女だったのか」
その言葉の後、ジュリエットの意識が途切れた。
さて、最大の敵を排除した事だし新たな宇宙空間を形成するとしようか。
それにしても、消えた夫?婚約者かな?
の為に何もかも差し出す彼女の様子は本当に滑稽だな。
では、ヴィシュヌ様の為に私の命と魂、肉体を差し出して、新世界創造を……。
ああ、もう一つ仕事があった。この後は夢の楽園にある ”設定の秘宝” を奪取して、ヴィシュヌ様に献上しなければ




