【第11話】◆【破壊の女神】
「破壊陣『絶死の門』」
『絶死の門』かまた厄介な物理攻撃ですね。
この攻撃の何が厄介なのかと言うと『絶死の門』に付与された呪いが厄介なんです。
この門には使用者に即死級のダメージを与え、門による封印を防いだ魔法陣及び能力をその戦闘中は使用不可にするという呪いがある。
私の罪能『不可侵の陣』は相手の物理攻撃を反射するのでジュリエットに『絶死の門』が発動すると思い使った事があるのだが、そんな淡い期待は一瞬で裏切られる。
宇宙空間は救済者に対して優しくないな。
その後の事はよく覚えている。
『絶死の門』は反射した瞬間に消滅し、私の罪能『不可侵の陣』のデメリットである反射した攻撃は発動されなかった事になるの影響で彼女は無傷で攻撃をしてきた。
私は『絶死の門』を反射で防いだのでその手段である罪能『不可侵の陣』を封印された事で物理攻撃でもダメージを受けるようになってしまった。
その後は『絶死の門』で封印され無事彼女に敗北した。
だから私はジュリエットの事が大嫌いだ。
確認のためヴィシュヌ様の記憶をみるとしよう。
ヴィシュヌ様の記憶を頼りに私は『絶死の門』の隠されたデメリットを見つけ出す事が出来た。
一つは一度使用すると次に使用する為に五万年間のインターバルが必要である事。
二つ目は道具類で防いだ場合は呪いはかからないという事だ。
道具類に関しては使えるのでは?と思って後ろ盾の女神から大量に買い取っているので準備は万全だと思う。
その道具は人形。
ただ人形とは言っても強力な祝福が付与されたものだ、祝福『身代わり』といったね。
だから商品名は祝福『身代わり人形』一個五億ヴィシュヌという破格の値段で買い取った。
『絶死の門』が開く。
後ろにいるジュリエットは即死級のダメージを受けたのか体中から生命液を出している。
しっかり発動しているということだろう私は『絶死の門』に『身代わり人形』を投げた。
『身代わり人形』を敵対者と判断したのか『絶死の門』は人形を門に入れ封印して消滅した。
私は持っている『身代わり人形』を確認する。
しっかり発動している。
ヴィシュヌ様の記憶は正しかったようだ。
「どんなチート能力でも防ぐ手段はあるということですね。どうですか? 自分の奥義が攻略された気持ちは」
少し意地悪し過ぎたかもしれないが今まで散々苦労させられてきた奥義を攻略出来たのだから気分が高揚し遊んでしまうのも仕方が無いだろう。
「えっ!? 何で私の完全な奥義が防がれた? しかもその人形はまだ発動しているどういう事?」
彼女は驚きと恐怖の為か?
珍しく狼狽した様子を見せている。
まぁ長年無敵を誇ってきた奥義が敵対者に害を与えることなく消滅したのだから当然といえば当然か?
「ジュリエットさん、降伏するのなら今のうちですよ。私は時間が無いし貴方も奥義が使えないのだから勝てないでしょう? 命が惜しいなら私に服従しろ」
私は罪能『粛正の鞭』を発動させ、ジュリエットに降伏するように迫る。
事実もう封印の能力は使用出来ないのだから。
私に敵は無い。
新宇宙創造に協力してくれる統一神王国とヴァンパイアの方々は尊ぶ存在として新宇宙空間で生まれる生物に宗教として遺伝子に刻み込まなければ。
では、彼女の絶望を浮かべた顔を拝むとしようか。
「かかったな。女神の加護『洗脳六眼』」
「んな!?」
チェックメイトだ―――オーレリア!
ジュリエットは勝ち誇りそう告げた。
オーレリア・セイヴァー・キルダニアという混沌堕神龍の本質を。
その手を。
頭脳を。
思考を完全に読み切ったと笑みを浮かべその六眼に力を籠める。
この大罪堕神龍は何も思っていない。
強い欲がない者ほど洗脳は効きやすい。
第一宇宙空間に置いて宇宙空間の統一をかけた銀河の決戦は今決着を迎えようとしていた。
この結末の為に爪を隠してきたかいがあった。
ゆっくりとオーレリアが近づいて来る。
ジュリエットに向き直り宇宙空間以外誰にも膝を折る事のなかったその膝を―――折らなかった。
キュルーイン
「なっ!?」
大きな音を立てて突然降ってきた封印ボックスに驚きを隠せないジュリエット。
完全に読み勝ったはずだ。
オーレリアは私がその命を狙っていると思っているはずで……オーレリアは自分の命に執着しないが決してその高みから降りず負ける勝負をしないのだから。
そして自身の能力に絶対的な信頼をおいている筈なのに………
だから―――彼を生かして他の大罪堕神龍を殺そうなんて私の計画は読めないはずだった。
「チェックメイトですよ。ジュリエットさん。我々、大罪堕神龍が君の持つ加護への対策を取っていないなんてどうしてそんな風に思ったんだい?」
オーレリアは檻の中の天敵を濃い青色の瞳を細めて見つめ狡猾な悪魔のように美しく完璧に微笑む。
もう何度も見た事のある憎き顔だ。
「馬鹿な……!!! 何でお前に」
加護が効かない…!!!?
完全な予想外の事態。
まさかオーレリアに読み負けて捕まるなんて――――…
この女を殺すために編み出した女神の加護という権能を防がれるなんて―――…
まずい展開に私は焦る。
この悪魔を殺せるかもしれない手段を完全に封じられ、今まで蓄積されてきた憎悪が一瞬にして絶望という感情に変化した。
「ジュリエットさん、一度しか言わないからしっかり聞いてください?
―――この旧宇宙破壊神殲滅計画と新宇宙創造作戦を提案したのは、君の愛する男神ゼウスだ」
オーレリアははっきりとそう告げた。
ジュリエットの瞳がその言葉に見開かれる。
ゼウスが銀河破壊神殲滅計画を……?
あのゼウスが?
こいつの功能『二虎競食』によるものなのか?
私はオーレリアの言っている内容を信じてしまう、自分の意思を他者に蹂躙されるのはどうにも気持ちが悪い。
「健気だね。銀河破壊神の罪を背負うのだと自ら計画立案にかってでたのですよ。勿論、私は反対したのだけどね。彼は今も私の保護下いや監視下にある。彼を救える能力を失った君は本当に無力だ」
その意志に私は応えた。
淡々とそう語るオーレリアの瞳には狂気などなく冷静に戦局を見極める策略家の色が浮かぶ。
意思を操作されている私はこの女の言う事を簡単に信頼してしまう。
他の皆もこうやって操られたのだろう。だからこそ私はこいつが憎い、殺したい。
「貴様が!!!」
そうなるように仕向けたのだろう!!!!
ジュリエットが封印ボックスの中からオーレリアを睨み掛かる。
いつだってそうだ!!
貴様は――――…!!!!
目を剥き歯を剥き出しにして感情を露わにするジュリエットのどこにも冷静さなどない。
ゼウスというジュリエットの行動の根源を抑えられた今ジュリエットに勝ち目などない。
だからこそゼウスの命を保護する為にも宇宙空間をオーレリアを攻略しなければならなかったのだ。
「おかしな事を言いますね」
くすりと心底おかしそうにオーレリアは笑う。
がしゃんがしゃんと封印ボックスを揺らしオーレリアにジュリエットは殴り掛かる。
しかし届かない。
「私達はゼウスに頼んだわけでもましてやお願いしたわけでもない。これは彼の破滅願望が招いた結果だ。そう」
あくまでもあの神が自主的に、ね。
「貴様はいつだって!! 罪能でそうと気づかせず自分の手を汚さず他者にその役目を押し付ける!! はっ貴様は本当に魔術師がお似合いだよ決して自分の手を汚さない」
その巧みな話術による“世間話”あるいは詐術いや、話題さえ時には振らずに望み通りの行動を他者に取らせる術を持っている。
その権力そのカリスマで貴方を守る為に神々が身を差し出すように仕向けているのだ。
「あなたはわかってないな。彼らは自主的に自分の意志で行動しているんだよ?」
私など関係なくね。それこそ君の加護の方が卑劣ではないかな?強制的に君の意のままに操ることも出来るし、命を奪うことも出来る。最悪の女神だ。
オーレリアは瞳を細めて囁く。
君の方が罪深いのだと。
「―――――それが貴様のやり方だ!!」
きっとジュリエットはこれからくる女神に私を殺すように命じようと口を開く
「もしもこれから来る女神に加護を使って何か命令したら、ゼウスが銀河を滅ぼそうとした事を後の世の民に伝える」
そう神々にとっては後世の者に侮辱されるという事は最大の恥辱なのだ。
ましてやそんな事をされたらゼウスは邪神として忌み嫌われるだろう。
「あ―――――…」
そんな事をすればどうなるか――――痛すぎる程にわかってしまったジュリエットは硬直する。
どう足掻いてもゼウスに恥辱感を味あわせる事などできないは抵抗という抵抗を示す事なく近づいてきたオーレリアに布に包まれいずこかへと運ばれた。
担がれた際の動きと掛かった時間がそんなにない事から第一宇宙空間内部なのだろう。
「くっ」
担がれた体勢が悪く苦しくなって身じろぎした途端投げられ床に無様に転がった。
目的地に着いたのかオーレリアは再び担ぐ気配はない。
ジュリエットは布の中でもがく。
その両手は後ろ手に固定されていて思うように体を動かす事は出来ないものの布をどうにかどかす。
その際自分が連れてこられた空間をそうと気づかせずに観察する。
先ほどとは違う新たな封印ボックス内部
囚神の部屋には相応しい簡素さだった。
「私をどうするつもりだ!」
殺すならさっさと殺せそう口に出したかったのをジュリエットはぐっと堪える。
ゼウスが生きている可能性がある限り死ぬわけにはいかない。
とはいえジュリエットを生かしたまま捕えてオーレリアにそこまで益があるとも思えなかった。
加護という権能は確かに興味深いだろうが大罪堕神龍であるオーレリアは既に十分な能力を持っている。
今更命令を強制したり魔力総量を上げる意味などないし相手の魔力切れを誘う方法ならそれこそ加護以外の有効な魔術を持っているだろう。
それこそ神の心を折り絶望させる術を。
何が目的だ?
その答えがわからずジュリエットは歯噛みする。
オーレリアの思考が読めない。
私の加護対策といい私の知るオーレリア・セイヴァー・キルダニアから逸脱している。
――――この女の思考に変化があった?
それがジュリエットの出した答えだった。
「ジュリエット。あなたは――――その権能で、命令で、存在する事で多くの命を奪い屍を築き上げてきた」
ジュリエット・ブラッド・キルダニアとして。
オーレリアが床を這いずりながらこちらを睨むジュリエットを見つめ唐突に言葉を紡ぐ。
「それがどうした?それはお前だって一緒だ!!!」
オーレリアが言った言葉は事実であり――――己が罪をジュリエットは自覚している。
真実を言い当てられたからと怒る幼稚な事はしない。
相手がオーレリアであるのならば尚更に。
だが、しかし自らを棚に上げ断罪する行動に対しては怒りを覚えた。
そもそも大罪堕神龍として大罪を継承する神として生を受けたオーレリアに言えた義理ではない。
生まれながらにして数多の屍の上に君臨しているのが大罪堕神龍なのだから。
「本当に――――あなたと私は一緒なのかな? あなたは他者に強制したけれど、私は何も願った事なんてないよ?」
君と私は違うのだとオーレリアは平然とそう言った。
「貴方と私の何が違う? その指先で、貴方の作戦で、貴方の言葉で一体どれほどの兵が死んだのでしょうね」
オーレリアの言葉にジュリエットは顔を歪め吐き捨てた。
その手は白く綺麗に見えるがどんな神、神龍よりも血に汚れているのだと。
「ただの破壊神である君の為に死ぬよりは断然いい事ではないかな。それに私は彼等に対価を支払っているよ」
それに比べたら君は―――…彼等に何を返せたかな?
私は神に名誉、金、地位、銀河を彼等に返し。
君は結局銀河を彼等に返す事は出来なかった。
叶わない夢を見せただけ―――…
その方がよっぽど性質が悪い。
そう言ってオーレリアはにっこりと微笑んだ。




