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獣王国12

 俺、ジェフ・トルーパー・キュリーフは人間を恨んでいる。

 我が兄を嵌め、人間を襲わせた。

 その事件のせいで兄は死に、獣人の地位は最底辺まで落ちた。

 

 なぜそんなことをしたのか。

 昔はわからなかった。

 しかし、今ならわかる。

 獣人の奴隷を得る為だ。


 獣人は総じて高い身体能力を持ち合わせており、単純な労働力として使える。

 また、女子供はその愛くるしさから、愛玩動物として使われる。

 

 現国王はもう諦めていて使えない。

 獣人を攫いにくる者が増えてきているのを気づいているのにも関わらず、何も対策を打たない。

 

 俺が変えなくては。

 この国を。

 その為には俺が国王に……

 だが、獣王国は一応名目上、世界から認められている。

 その為、国王が何者かに殺されたとなると、大問題になる。

 

 どこかに国王を殺してくれる都合の良い者はいないだろうか。

 いっそのこと俺が依頼するか?

 いや、だめだ。

 絶対に足がつく。

 そうなれば今の地位も剥奪される。

 六傑の地位は捨てられない。

 六傑であるおかげで、俺にはある程度自由があるのだから。

 

ーーー


 今日も反乱軍が暴れてる。

 その時はそう楽観視していた。

 

 反乱軍が暴れるのは今日が初めてではない。

 最近は月に一度程度の頻度で暴れている。

 そんなことをしても無駄なのに。

 この王国には三獣士と呼ばれる護衛がいる。

 それぞれ、まさに一騎当千の実力差であり、3人が纏まれば、俺も危ういだろう。


 今日はいつもより多いな。

 ん、三獣士も出動か。

 ん? どういうことだ?

 三獣士が出てきたと思ったら消えた。

 嫌な予感がする。


 三獣士がいなくなり、城門前は押され続けている。

 これでは、破られるのも時間の問題だな。


「お、おいジェフや、外はどうなってる?」


 国王が心配している。

 無能め。

 自分の身しか案じていない老いぼれが。


「安心してください。いつもの反乱軍です。万が一城門が破られても、国王様は私目がお護りいたします。」


「そ、そうか。うむ。よろしく頼むぞ。」


 国王も昔はこんな老いぼれではなかった。

 昔は武力で皆を率いる将軍でもあった。

 その姿に憧れを持っていたのは俺だけではない。

 だが、あの事件以降、日に日に老衰していってる。

 まるで呪いにでもかかってるかの様に。

 子宝にも恵まれず、王女様も先にたたれた。

 それも追い討ちとなったのだろう。

 今はいったい何の為に生きてるのか、(はなは)だ疑問である。

 

ーーー


 城門が破られた。

 王国内に多くの反乱軍が攻め入る。

 これでこの国も終わりだな。


「ジェフや、今の音はもしかして……」


「どうやら城門が破られた様です。」


「な、何!? 三獣士の奴らはどうした?」


「それが、消えてしまったのです。」


「どどど、どういうことじゃ!?」


「私にもわかりません。」


「ジェフや、何とかしてくれ!」


 はぁ、今なら俺が国王をやっても反乱軍のせいにできるだろう。

 

「国王様、あなたはこの国の成長を止めた責任を取る必要がある。」


「な、何を言って……」


 俺は鋼鉄をも破壊する拳を国王にぶつける……はずが、何者かによって動くことができなくなった。

 俺を止めるほどの魔法。

 おそらく俺の後ろに今回の首謀者がいるだろう。

 


「ジェフ・トルーパー・キュリーフだな。」


「あぁ。お前が今回の首謀者か?」


「私はバロム。この世界を変える者だ。ジェフ、我に従え。」


「ふふっ、ふはははははは!!」


「ジェフ、わしを裏切るのか!?」


「裏切る? 俺は元よりお前の下についていねぇよ!」


「な、どうして従順の呪いが発動しない!?」


 従順の呪い。

 それは王国に従える際につけられる呪い。

 これがついている限り、国王に逆らうことができなくなる。

 私も例に漏れず、国についたとき、つけられた。

 しかし、その呪いは六傑に入った時に、トリス王国の六傑に取り外してもらっていた。


「バロムといったか? いいぜ。お前に従ってやろう。」


「いつから我と対等だと思っている。我には様をつけろ。」


「っ、わかったよ、バロム様。」


 俺が誰かの下につくのは癪だが、こいつは俺と同等レベルだろう。

 しょうがない。

 そうするしかないみたいだからな。


「なあ、バロム様。いいかげん魔法を解いてくれないか?」


「飲め。」


 バロムが俺に紫色の球を差し出してきた。

 見るからに禍々しいオーラを感じる。

 これは……毒だ。

 それも強力な。


「これは?」


「貴様が知る必要はない。」


 その言葉に俺は怒りが爆発した。

 幻獣化するのは久しぶりだ。

 獣人の中で幻獣化できるのは数少ない。

 これは獣人の中に流れる古の血を呼び戻す能力。

 能力の上昇幅は普通の獣化とは比較にならない。


「後悔してももう遅いぜ!」


 幻獣化を終えた今、俺は誰にも負ける気がしない。

 そのはずなのに……


「くっ……どうして体が動かない!?」


 幻獣化して力が上がったのに、バロムの拘束から逃れることができない。

 

 なんだこの感覚。

 俺が恐怖しているというのか?

 

「や、やめろ!!」


 バロムが手の中の禍々しい球を無理やり俺の口の中に入れてくる。

 

「あぁ!!!!!!」


 体の中に溶岩でも入れられた様だ。

 体の至る所が溶ける感覚がある。

 肉も骨も魂さえも溶けそうだ。

 何を入れられたんだ?

 

 体感1日、実時間10秒の苦しみの末、俺は気を失った。

 


 

 


 

 


 




 

 

 


 


 

 

 

 

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