転生したらイケメン勇者だった件
初投稿です。暇なので書きました。文章も拙く、ところどころおかしいところも出てくるとは思いますが、楽しんでくだされば幸いです。
ここは、どこだ?
俺はさっきまで……あれ?
どこにいたんだっけ。
思い出せない。
わたしは誰? ここはどこ?
目の前には全く見覚えのない集落があった。
そして、俺の方を見る多くの人々。
その様子はどうやら穏やかではないみたいだ。
俺、知らず知らず何かしちゃったか?
こんな大人数に恨まれることをしたら流石に覚えていると思うんだけど……
何が何だかわからないがとりあえず謝る準備だ。
こういう時はじゃぱにーず土下座だ。
ん、じゃぱにーずって何だっけ?
金髪のガタイのいい彫りの深い若い頃はさぞかしもてただろうの男がこちらへ近づいてくる。
なんだなんだ、俺は本当に一体何をやらかしたんだ?
記憶を振り返ろうとしても、黒いもやがかかったようで思い出せない。
俺が頭の中でこの後のパターンをいくつか考えている中、男は着々とこちらへ近づいてくる。
その男のオーラに圧倒されて思わず後ずさってしまう。
そして残り10メートルといったところで走り出してきてた。
やばい、逃げなくては。
逃げなきゃ殺される……
そう思わすには必要過ぎるほどの迫力があった。
しかし、その迫力に体が固まってしまい逃げることができない。
そしてそのまま俺の顔面へと大きな拳をぶつけてきた。
「どの面下げて戻ってきたこの野郎!」
ものすごく痛い。
俺は抵抗するまでもなく仰向けに倒れた。
いや、吹っ飛んだ。
ひどい、親父にも殴られたことないのに……
「お前のせいで……お前のせいでこの村の被害が大きくなったんだ。お前のせいで、ライラが……」
俺のせいで被害が?
全くもって意味がわからない。
だが、この怒りようからして本当のことなんだろう。
男は倒れた俺に馬乗りになり、顔を何度も何度も殴ってきた。
その1発1発がまるで鉄球の様な重みを持っていて、顔の形が変形していくのを感じられる。
何が何なのか全くわからない。
どうして俺は殴られてるのか。
ライラって誰だ?
どうして誰も止めないのか。
人がこんなに殴られているんだぞ。
だめだ、これ以上は…意識が…飛ぶ。
ーーー
目が覚めると、見慣れない天井があった。
しかし視界が狭い。
目元が腫れているのだ。
先程殴られたところがじんじんする。
隣に人の気配がする。
頑張って横を見ると金髪の優しそうな目をした女性が椅子に座ってこちらを見ていた。
女性はニコニコしていて、見ているこっちも癒される。
「おかえり、レイク。」
「ただ…いま?」
レイク?
俺のことか?
いや、俺の名前は……えーと、なんだっけ?
レイクではないのはわかる。
しかし、えーと、あれ、本当の名前が思い出せない。
「お父さん、レイクが目覚めたよ〜」
女性がそう言うと部屋の奥から足音がし、ドアが開いた。
そしてお父さん……さっき俺をタコ殴りにしてくれた男が女性の隣に座った。
お前が俺の親父だったんかい!
これじゃ今後親父にも殴られたことないのにっていう定番ネタが使えなくなったじゃねえか。
ま、誰に殴られても使えなくなるんだけども。
俺の親父がこちらを穴が開きそうな眼力で見てくる。
初めて会った時と同じ目だ。
衝撃と恐怖のあまり、俺は咄嗟に腕で頭を守ってしまった。
「お前は今までどこにいた?」
男は低い声で俺にそう聞いた。
どこにいたも何も全く記憶にない。
俺は黙り込んでしまった。
「お父さん!まずはおかえりでしょ!ほら!」
「ん、、おかえりレイク。」
男は、いやお父さんはそっぽを向きながらそう言った。
「レイク痛くない?お父さん不器用だから……」
不器用で済まされる問題か?
どこの世界に息子を意識が飛ぶまでタコ殴りにする父親がいるというのだ。
死んだかと思ったわ!
「痛いよお姉ちゃん〜」
癒されるために女性に飛び込んだ。
やっぱりお姉ちゃんだよな。
妹もいいけど、俺はどちらかというとお姉ちゃん派だ。
あれ? どうしたのだろうか。
この期にお姉ちゃんと思しき女性に甘えようと思ったのだが、どうやら様子がおかしい。
「お姉…ちゃん?」
「レイク、お母さんはまだまだ若いけどその冗談は無理があるわよ?」
お母さん…だと?どう見ても20代前半にしか見えない。
若づくりといっても限度があるだろう。
「レイク、お前、どうしたんだ?何か様子がおかしいぞ。」
初めから気づけ!
とりあえず殴ろうとするのは息子的にNGです。
「お父さん、実は俺には…」
「お父さん?」
どうやら父親はお父さん呼びにご立腹の様だ。
じゃあなんなんだ? パパ? パピー? ダディ?
顔色を伺いながら選ばれたのは父上でした。
「父上、実は俺には記憶がなくて、何が何やらわからないんです。」
ありのままを告げたが、父上の反応がない。
そりゃそうだろう。
記憶のない息子をボコボコにしてしまったのだから。
これを機に反省してもらいたいものだ。
「母さん、自白の魔法を。」
何それ物騒。
ってか魔法って言ったか今?
この世界には魔法があるのか?
ってかこの世界?
俺は何を言ってんだ?
「お父さん、それはいくらなんでも…」
「うむ、それもそうだな。おい、正直に答えろよ?」
どうやら父上はお母さんには甘いみたい。
「なぜ領地を出ていった?」
「わかりません。」
「なぜ村の危機に帰ってこなかった?」
「わかりません。」
「なぜ今更顔を出した?」
「わかりません。」
「母さん、自白魔法を。」
「わかりました。」
流れるような自白魔法、俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。
父上の指示で母上が俺に何か魔法を唱えてきた。
不思議な感じがする。
意識はあるのに身体は全く動かせない。
「なぜ、領地を出ていった?」
「…………」
よかった。本当にわからないことは喋らないみたいだな。
「そうか、わかった。済まないレイク。どうやら本当に記憶がないらしいな。」
父上は先程の様子とは違く、本当の反省の意が込められていた。
「ごめんで済んだら警察はいらねえんだよクソ親父!」
……
この魔法、言わなくてもいいことも自白しちゃうのね。
まだまだどこまでいくかわかりませんが、100話目指して頑張ります。
主人公がどうして一目で集落かと分かったかというと、ある程度日本にいたときの知識があり、元の体の持ち主の知識もあり、混ざっていたからです。
完全に乗り移れたというわけではなく、両方の記憶が変な風に混じっていると思ってくだされば幸いです。