家族愛と大地の魔女
ベッドの上から動けない体である私は、食べる事を知らない。
栄養は投与されるもので、かみ砕き咀嚼して得る物ではなかったから。
そんな私と違って、たくさんの妹と弟が、おいしそうにご飯を食べている。
私はそれを眺める事しかできない。
でも、私はお姉ちゃんだったから、どんなに食べてみたくなっても横取りなんてしない。
むしろ、食べられないからこそ、美味しく食べられる妹と弟たちを応援していた。
たくさん食べて、私の分まで大きくなってほしいのだ。
こんな貧相な体のままと私とは違って、彼等は大きくなれるのだから。
それだってのに、どうして残すのだろう?
もっとたくさん食べなくちゃいけないのに。
好き嫌いしているのだろうか。
食べる事は良い事で、健康のためで、成長のためなのだから。
だから、私がしっかり食べさせてあげなくちゃいけない。
起きてる間はわがままばっかりで食べてくれないから、寝ている間に詰め込んでしまおう。
ご飯は最後にはお腹におさまって栄養になる
なら、お腹はどこにあるのだろう。
直接ご飯を入れた方がきっと栄養もばっちりとれるはず。
きちんと探さなくちゃね。
大丈夫、投与の仕方は知っているから。
大地の魔女はお腹を空かした者達を放っておかない。
土地を潤して作物をたくさん作って施す。
だから、人々が……
おなかがいっぱいになるまで、放っておかない。
ご飯に不自由しなくなるまで、放っておかない。
けれど施された者達はいつも言うのだ。
「もうお腹がいっぱいだよ」