最終話:このシステム考えたの誰ですか!
サービス終了から3週間。
怪人が街の真ん中で暴れていました。
逃げる人々。
太刀打ちできない警察。
誰もが魔法少女の登場を待ち望んでいます。
――さあ、出番です。
あたしたちは一斉に駆け出して、怪人に指を突きつけました。
「「「魔法少女チーム、トリプル・シャイン! 見参!」」」
はい。1度は終了した魔法少女変身サービスですが、別の業者によって再開されたのです。
「天より落ちる神罰の光! ライトニング・アスカ!」
キャロットさんもといアスカさんも、魔法少女としてやり直すことができました。今度は悪いことしちゃだめですよ?
「減ずることなき曇りなき輝き! ゴールド・プロトコル!」
ゴールドさんはもう課金しないのを約束してお父さんとお母さんに許してもらったみたいです。
たまに禁断症状が起きるのであたしもアスカさんも目が離せません。
そして――
「夜空に輝く悠久の友! トゥウィンクル・コメット!」
初期ユーザーとして登録できたあたしも、クソバードではなくコメットとして生まれ変わりました。
はい。というわけで3人力を合わせて勝利です。
魔法少女が3人もいれば、通常怪人なんて目じゃありません。
「ふんっ! ザコだったわね!……さてと」
「……待って。なぜごく自然にトドメを刺そうとしているのかしら?」
はい。トドメを刺した人にしかポイントが入らない仕様はそのままです。
というか、ガチャやらなんやらシステム全体がそのまんまなんですけど、本当に別の人が運営しているんでしょうか。
このサービス始まったの、前のが終わった3日後なんですが。
「あなたは素敵な武器があるでしょ?」
ジッと見つめるアスカさんを、ゴールドさんが見返します。
「アスカこそ、可愛いコスチューム着てるじゃない。譲ってよ」
「前回はあなたに譲ってあげたでしょう?」
「ぐ……だってノーマルしか引けなかったんだもん。あんなのノーカンよ」
「……話し合いは無駄なようね」
「いつもの方法で決めようってわけね? 望むところ!」
はい。新要素としてPVP(プレイヤーVSプレイヤー)が実装されました。
これが大当たりで、今では怪人より魔法少女同士での戦いが多いぐらいです。
……って、ちょっと!
「ま、待ってください! あたしもポイント欲しいです!」
「「は? あなたは我慢しなさいよ!?」」
ユニゾンで否定され、思わず後ずさります
「え……な、なんで……?」
「なんでって、あなたはこの間ウルトラレアのステッキを引いたでしょう?」
「そのステッキ、日本でまだあなたしか持ってないって言われてるじゃない? もういいでしょ?」
「そ、そんな……あたしだってアザラシのマスコットが欲しいんです!」
「……参加するという以上断るわけにはいかないわね。ゴールド? まずあの娘を潰す方向でいきましょうか?」
「りょーかい。……この前みたいに裏切ったら絶交だからね」
ああ、ズルい!?
いいですよ。正義の魔法少女は、そんな卑怯な手には負けません!
こうして、いつものように魔法少女の同士討ちが始まるのです。
せっかく魔法少女になれたのに……もうっ! このシステム考えたの誰ですか!?
お付き合いいただきありがとうございました。
おもしろかった、という人は評価か感想でリアクションいただけると嬉しいです。
また同じ魔法少女コメディの『魔法少女と怪人の戦いを魔法幼女がひたすら邪魔するお話』という小説も投稿していますので、よければそちらも読んでみてください。