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第2話:変身ポーズが細かいです

 名前が決まったところで、早速変身してみることになりました。

 先輩魔法少女のライトニング・アスカさんが変身のしかたを教えてくれます。


「魔法少女になる、と強く心で念じながらポーズをとって」

「は、はい。あの、ポーズはどうすれば?」

「好きにしてくれていいわ。最初にイニシャライズが行われるから、あなたが今からとるポーズが変身ポーズになるの」

「また、名前みたいにダブりとかないですよね?」

「ないわ」


 いいですね。それっぽくなってきました!

 あたしは右手を前に出すと、左手で肘を掴みます。

 ……ブレスレットなら様になったポーズなんですが


「ミレニアム・クソバード! 変身!」

《イニシャライズ、コンプリート。魔法少女ミレニアム・クソバード変身ポーズを設定しました》


 アンクレットが告げ、緑の宝石が光ります。

 ……もしかしてこの宝石ってOK・NGの表示灯なんですかね。


「じゃあ、変身してみましょうか。さっきと“同じように”してみて」


 ……なんか、今強調しました?

 アスカさんって平ぺったくしゃべるから、なに考えてるのか分かりづらいです。

 ま、いいです。


「えーと……変身!――うひゃあ!?」


 いきなりレーザーみたいなものが飛んできて、大慌てで横っ飛びに避けました。

 ゴミ箱を吹っ飛ばしたあたしを、アスカさんが呆れたような目で見下ろしています。


「……コスチュームを避けたら変身できないわよ?」


 あ、あれコスチュームだったんですか。

 言われてみれば、服っぽい形してたかもしれません。

 先に教えてくれればいいのに。


「わ、わかりました。気を取り直してもう1回……変身!」


 レーザー状になったコスチュームが、いきなり空中に現れます。

 飛んでくるとあたしの身体に重なりました。

 輝きに包まれるあたしの身体。

 光の粒子が弾け、そこに現れるは――


「あ、あれ……?」


 部屋着にしてるダボダボのスウェットでした。

 困惑げに顔を向けるあたしを、アスカさんのジト目が迎えます。


「同じようにって言ったでしょ?」

「え……だから、同じように……」

「指の開き具合がさっきと違うし、手首の角度も7度ほどずれているわ。靴下越しだからよく見えないけど、足の指も握ってなかったかしら?」

「そんなに細かいんですか!?」

「5ミリでもずれていると失敗判定になるわね」


 音ゲーですか!

 その後、喉が枯れるまで変身を叫び続けてやっと変身することができました。

 こうして、あたしの初変身は成功したのです。

 ……ん? なんですかアスカさん?


「ちょっと待って。コホン……ついに変身した魔法少女ミレニアム・クソバード。でも、変身したからって魔法少女になれるわけじゃないの。まだまだやることがあって大変だけど、正義の心があれば頑張れるわよね。次回『サポートマスコットが可愛くありません』お楽しみに! シャイニー! ジャスティス! キラキラりん!」

「……」

「……」

「……」

「……なに?」

「いや、言わなくてもわかりますよね!? なにやってるんですか!?」

「なにって、次回予告よ? これをやると200円の特別手当がもらえるの」

「手当!?」

「ちなみにCM前のアイキャッチは800円よ」

「高い!」

「その分、責任も重大だけどね。CMの間チャンネルを変えられないぐらい、お客さんを惹きつけないといけないわけだから。前に失敗した魔法少女はスポンサーさんに謝罪して回る羽目になったわ」

「スポンサー……」


 呆然とするあたしの肩を、アスカさんがにこやかに叩きました。


「……こんなものかしらね。お疲れ様」

「?」

「Cパート手当150円。あなたにも入るから。よかったわね」

次回『マスコットが可愛くないです』は30日に更新予定です。お楽しみに!

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