第4話
会話がたくさんになってしまいます。
読みにくいでしょうか。
未熟者ですいません。
イーリスが町に来て3ヶ月が経とうとしていた。
仕事も安定し、ハンナの母が管理する畑の1区画を任されるようにもなった。
「イーリスが来てくれて、助かるわ。やっぱり男手があると違うもの。あなたの育てたみかん、甘くって美味しいって話題よ。」
うふふ、と笑って話しかけてきたのはエミリアだ。
「エミリアさんの教え方が良かっただけですよ。」
「そんなこと無いわ。こんなに愛情いっぱい育ててくれたんだもの。」
「そう言っていただけて、嬉しいです。」
「ところで、あなた恋人はいるの?町に来て3ヶ月が経つのだから、いい相手くらいいるのかしら?」
唐突な質問に困ったように笑う。
「いませんよ。僕みたいな人間、一緒にいてもつまらないでしょうし。」
それを聞いて、何故か、エミリアはぱぁっと笑う。
「あら、じゃあうちのハンナなんてどう?最近仲がいいみたいだし、ハンナったらあなたの話ばかりなのよ。」
その言葉に少し驚いて、
「そうですね、僕なんかでよければ是非。」
と冗談に冗談で返したつもりだった。
しかし、エミリアは本気よ、と言わんばかりの顔をして、
「ふふ。じゃあいつかあなたにお母さんって呼んでもらえるのを楽しみに待ってるわね。貴方みたいなかっこいい子が息子になるなんて、今からでも自慢したいわ。」
と嬉しそうに言う。
そんな会話をしていると、隣の畑にいたハンナが駆け寄ってきた。
「ちょっといい?大事な話してた?」
「ふふ、そうね。とても大事な話かしら。でももう終わったわ。それで、どうしたの?」
大事な話という部分でにっこり笑ってとイーリスを横目で見る。
それを受けて、イーリスは近づいてきたハンナから少し目をそらす。
「あのね、あっちで猫が気に登って降りれないみたいで、私じゃどうすることもできなくて。」
「あら、それは大変ね、イーリスに手伝って貰ったら?」
「僕で良ければ。案内してもらえる?」
「ええ、ありがとう。こっちよ。」
目的地にたどり着くと、そこには木の枝に縋り付きぷるぷる震える毛の茶色い子猫がいた。
ちなみに、ハンナの魔法でどうにかできないか?と思うかもしれないが、ハンナの魔法は生物の移動は困難なのだ。
「ハンナ、ちょっと僕の上着持っててくれる?」
そう言って作業着をばさり、と脱いでハンナに手渡すと、イーリスはするすると木に登っていく。
「ふふ、くすぐったい。」
ハンナの腕には無事救出された子猫が抱かれていた。安心したように、ざりざりとハンナの頬を舐める。
「もう懐かれたみたいだね。」
「ええ、この子私のこと好きみたい。それよりイーリス、あなた木登りがとっても上手ね。驚いちゃった。」
「あぁ、自慢できる特技じゃないけどね。子どもの頃よく父上に怒られたよ。」
「男らしくて、素敵だと思うわ。」
「そんなこと言ってくれるのはハンナだけだよ。ありがとう。」
イーリスは嬉しそうに微笑んだ。
「そんなことないと思うわ。貴方は町の人気者だもの。自信持って。それより、猫ちゃんどうしようかしら。私の家にはモモがいるから飼ってあげられないわ。」
「うーん、確かに。猫とネズミって相性悪そうだね。こう、追いかけ回しそうな予感がするよ。」
「モモはネズミじゃないわ、モルモットよ。でもそうね、追いかけてるところが目に浮かぶわ。」
二人で少し悩む。
ぱんっと軽く手を叩いて
「こいつなんかハンナに似てるし、僕が引き取るよ。」
と歯を見せるように笑って猫の背をなでる。
「私に似てる?」
「うん。この茶色い毛と瞳が君に似てる。」
「確かに色は似てるわね。あなたが引き取ってくれるなら安心だわ。それに私もいつでも会いに行けるもの。」
「いつでも会いにおいでよ。」
いつの間にかイーリスの腕の中に移動した子猫は、ニャアと一声鳴いて、ごろごろ喉を鳴らしながらイーリスの胸に頭を擦り付ける。
「ふふ、貴方が好きみたい。この子女の子よ。モテモテじゃない。」
「僕は猫じゃなくて人間の方に好きになって欲しいけどね。」
ぼそり、とつぶやく。
「え?」
「ううん、なんでもないよ。」
ふっと優しく笑ってハンナの頭にぽんっと手を置く。
その優しい眼差しにハンナはどきり、としてうつむいた。
それから、猫を飼っているハンナの友達のマリー・フォークスを誘って、飼育に必要な物を買い揃えた。
「ありがとう、マリーさん助かりました。猫の飼育は初めてなのでまた色々とおしえてもらっていいかな。」
「ええ、分からないことがあったら、いつでも聞いてちょうだい。私の家は八百屋なの。大抵店番をしているから私に会いたかったらそこに来て。」
「分かったよ、ありがとう。ハンナも、友達をわざわざ呼んでくれてありがとう、助かったよ。」
マリーからおおまかな飼育方法を教えてもらい、その日は解散した。
ありがとうございました☆