第14話
次回から忘れかけてたチート設定がもりもりになる予定です。
のろのろ進みですいません。
「お誕生日おめでとう、ハンナ。」
「ありがとう、マリー。わぁ、素敵な髪飾り!嬉しい!」
「この後デートなんでしょ?丁度いいかと思って。今日の服にもバッチリ合うわよ。」
出かける前にマリーが訪ねてきて15歳の誕生日を祝ってくれたのだ。
今日はハンナの誕生日。
そして、初デートの日。
「どうかしら?」
マリーに貰った白と水色の小さな花があしらわれた髪飾りをパチンと着けて見せる。
「良い感じね。さすが私。」
「本当にね、さすが私の親友。」
「さ、待ち合わせに遅れるわよ!楽しんでらっしゃい。」
「ありがとう。待ち合わせ場所はマリーの家の方向だから途中まで一緒にいてもいい?」
もちろん。という返事を受けて一緒に歩き出す。
「なぁに?緊張してるの?」
ハンナの少し強張った顔を見て、くすりと笑う。
「何話そうとか、気まずくなったらどうしようとか、ドキドキしちゃうの。大丈夫かしら。」
「だーいじょうぶよ。イーリスは紳士だし、エスコートしてくれると思うわ。それに、あんたたち喧嘩なんかしそうにないくらい仲がいいじゃない。」
「そうね。イーリスなら、大丈夫よね。うん!頑張る!」
「あんまり気負わないようにね。ありのまんまのハンナでいいのよ。可愛いもの。」
「ふふ。ありがとう。あ、もうイーリス待ってるみたい。あそこが、待ち合わせ場所だったの。」
「あらら、イーリスも緊張してるんじゃない?早く行ってあげなさい。じゃあね。」
「うん、またね。今度ゆっくりお茶でもしましょうね。」
「デートの話、聞かせてね。」
軽く手を降ってマリーと別れ、イーリスのもとへ小走りする。
「イーリス!待たせてごめんなさい。」
「まだ待ち合わせの時間の前だし、僕も今来たところだよ。今日も可愛いね。ハンナ。」
「あ、ありがとう。イーリスも素敵よ。」
「ふふ、ありがとう。じゃあ行こうか。」
イーリスは赤くなったハンナに左手を差し出す。
ハンナはおずおずと差し出された手を掴む。
「あ、の、私緊張しちゃって。手に汗かいてたらごめんなさい。」
「そんなの全然気にならないよ。二人で出かけるのは初めてじゃないし、そんなに緊張しないで、今日は僕に任せて。」
その言葉に、あの時は私イーリスのこと意識してなかったもの。とボソリとつぶやきながらも、にこりと微笑むイーリスに少しホッとして、肩の力が抜けた。
それから他愛ない話をしていると、動物園にたどり着いた。
「見て!キリン!私こんなに近くでみたの初めて!キリンって足の筋肉が発達していて血管の膨張を抑えることができるのよ!これって、浮腫を軽減するのにいい仕組み何じゃないかと思うのよ!あの筋肉を再現するには何を使うといいのかしら!あ、ごめんなさい、つい。」
「はは。ハンナはハンナだねぇ。好きなことに一生懸命で、可愛い。それに博識だよね。」
「もう!不意打ちでそういうこと、言わないでよ。恥ずかしいわ。この知識は私のものではないから、私が博識なわけではないけれど、褒められるのは嬉しい。ありがとう。」
キラキラした目で麒麟を見つめるハンナをイーリスは愛おしそうに見つめる。
「イーリス?ちゃんと見てる?(キリンを)」
「ふふ、見てるよ。(ハンナを。)」
「私は動物じゃないわよ?」
「僕の目には君が1番素敵に見えるから、つい、ね。」
「イーリス!」
ぷくっと赤くなった頬を膨らませて、キッとイーリスを睨む。
「ごめんごめん。さ、次に行こうか。羊に触れるみたいだよ?」
「羊に!?楽しみだわ!早く行きましょう。」
そんなこんなで動物園を満喫した二人は、夕食を食べるためにレストランに向かう。
「ここだよ。」
「こんなに素敵なお店がここにあるなんて知らなかった。」
「僕も、町の人に聞いてさ。さ、入ろうか。」
カラン、と扉が鳴って店に入ると、奥の半個室になった所謂カップル席に案内された。
少し薄暗いバルのような内装に、優雅なクラシック音楽がよく合っていた。
次々とコースの料理が運ばれてきて、美味しいね、と言い合いながら食べ進める。
「ふぅ、お腹いっぱい。お料理も美味しかったし、本当に素敵なお店ね。」
「そうだね。また二人で来たいね。」
「ええ、是非。」
そう言ったところでばちん!と店内が真っ暗になる。
「え!?どうしたのかしら?」
「大丈夫だよ。ハンナ。お誕生日おめでとう。」
イーリスがそう言うと、目の前にぼうっと蝋燭の光が広がった。
そこには、美味しそうなケーキを持ったイーリスが立っていた。
店内のBGMがオシャレなバースデーソングに切り替わる。
そして、店員の掛け声で、イーリスと他の客が一斉に、ハッピーバースデー、と声を上げる。
「さ、ハンナ、消して。」
何が起こったのか分からないハンナだったが、言われるがまま蝋燭の火を吹き消すと、電気がついて、拍手や口笛の音が響いた。
「にーちゃん、粋なことするなぁ!俺はこんなの初めてだぜ!おめでとう!」
「おめでとうー!こんな素敵なことしてくれる恋人がいて羨ましいわ!」
など、周囲の客からは祝福の声が飛んできた。
「皆さん、ありがとうございます。こんなに沢山の人に祝ってもらえて嬉しいです!イーリスも、ありがとう。びっくりしたわ。今でも頭が混乱してるくらい。」
ハンナは、薄っすらと目に涙を浮かべ、くすりと笑う。
周囲のざわめきが収まり、二人はぺこりとお辞儀をして席につく。
「イーリス、本当にありがとう。誕生日知っててくれて嬉しいわ。」
「知ってるに決まってるよ。サプライズ、大成功だね。これだけじゃないよ、はい、これ。」
イーリスはラッピングされた小さな箱を差し出す。
「え、いいの?ケーキだけで十分嬉しいわよ。」
「僕があげたいの。ほら、開けてみて。」
リボンを解いて、箱を開けると、シンプルな青い石がついたイヤリングが入っていた。
「わぁ、綺麗。とっても素敵ね。イーリスの瞳の色みたい。」
「重たいかな、とは思ったんだけどね、どうしてもハンナにその色を身に着けてほしくて。嫌だった?」
「嫌なわけないじゃない!イーリスといつも一緒にいるみたいに思えて嬉しいわ。」
ハンナの言葉にイーリスは少し頬を染めるが、店が薄暗いためハンナは気づかなかった。
その後、ケーキを食べて、店を後にする。
「送ってくれて、ありがとう。あのね、ネックレスのお礼のつもりで用意したんだけど、これ、よかったら貰って。」
「僕に?ありがとう。見てもいい?」
「ええ。好みじゃないかもしれないんだけれど、身につけてくれると嬉しい。」
「これ、アンクレット?それにこの石の色、さっきのイヤリングとお揃いみたいだね。ありがとう。毎日つけるよ。」
「さっきイヤリング貰ったときに私もお揃いみたいだなぁって思ったの。それが余計に嬉しかったわ。」
「ねぇハンナ。少し目を、閉じてくれない?」
ハンナは不思議に思いながら目を閉じる。
肩にイーリスの手が触れたと思ったら、気配が近づいてきて、唇に温かい感触がした。
その瞬間、驚いて目を開けると、目の前にイーリスの顔があって更に驚いて目を見開く。
それが、キスだと気づくのに時間はかからなかった。
イーリスの顔が離れると、ハンナは顔を真っ赤にして俯く。
「いや、だった?」
「嫌じゃ、なかった。」
「そっか、良かった。ハンナ、お誕生日おめでとう。好きだよ。これからも僕のそばにいてくれる?」
「ありがとう。私も好きよ。私の方こそ、側にいてね。」
「もちろん。」
イーリスはそう言うと、不意にちゅっと2回目のキスをする。
「これからは遠慮しないから。慣れないとね?」
くすっと笑いながら意地悪な顔でハンナに言う。
「なっ、が、頑張るわ。あの、お手柔らかに?」
「ふふ、善処するよ。離れがたいけど、もうそろそろ遅いし僕は帰るね。早く寝るんだよ。」
ハンナの頭をぽん、と撫でる。
「ありがとう。また明日ね。」
ハンナは微笑みながら手を振り、イーリスを見送った。
その後、ベッドに入り今日のことを思い出して、なかなか眠れないハンナなのであった。
ありがとうございました!




