第13話
イーリスでてきません。
毎度短くてすいません。
「ハンナー迎えに来たよー。」
エルマーの声とともにノックが聞こえる。
「おはよう、エルマー。今日はよろしくね。」
ガチャり、とドアをあけると、エルマーとアントンが立っていた。
「アントン?なにかあった?」
会う予定にない人物に目を丸くする。
「いや、さっきそこでエルマーに会って、ハンナと出かけるって言うから付いて行ってやろうと思って。」
にかっと笑うアントンを見て、イーリスのアントンには気をつけて、という台詞が思い浮かぶ。
今日はエルマーも一緒だし、大丈夫よね。と心の中でつぶやいて、3人で出かけることにした。
人通りの多い商店街で、3件目のアクセサリーショップに来ていた。
「ねぇハンナ、さっきからなかなか決まらないみたいだけど、どんなのがいいの?」
「うーん。エルマーとアントンが選んでくれたものも素敵だったのだけれど、イーリスにはちょっと違うように思えて。どうせなら喜んでもらいたいし。」
「イーリスなら何でも喜んでくれるんじゃないのか?」
「それは僕も散々言ったんだけどさぁ、なんか違うってなかなか決められないみたい。」
エルマーは、仕方がないなぁといった表情で、肩をすくめる。
「俺だったらハンナにもらうものなら例え腐ったリンゴでも嬉しいけどな。」
「何言ってるの?アントン。私がそんなひどい女に見える?」
「ちげぇよ。そうじゃなくて、例えだよ、例え。ったくそんなに真剣にプレゼント選んでもらえるイーリスが羨ましいぜ。」
後半の方は小声でボソリと話す。
「え?何か言った?」
「何でもねぇよ!」
そんなやり取りをみて、ハンナの鈍さにエルマーは苦笑いする。
「あ!ねぇハンナ、これは?」
そう言ってエルマーが手にしていたのは、シンプルなシルバーのチェーンに、小さい青い石が1つと四つ葉のクローバーのチャームがさり気なくついたアンクレットだった。
「わぁ、素敵。青い石がイーリスの瞳の色と同じね。それにとってもシンプルでいいわね。それにするわ。」
「決まってよかったよ。かれこれ2時間悩んでたもんね。」
「だって、どうせなら1番納得の行くものをあげたかったんだもの。これでも感謝してるのよ?アントンもエルマーも意見をくれてありがとうね。」
「どういたしまして。さて、ちょっと疲れたからお茶でもしない?」
「あらいいわね。そう言えば、この間マリーが新しくできた喫茶店のケーキが美味しかったって言ってたの。そこにしない?」
「僕はいいよ。アントンは?」
「俺?うーん、俺は甘いもの苦手だからパス。親父にお使い頼まれてっから行ってくるわ。今日は急についてきて悪かったな。またな。」
「アントンが来てくれてよかったわ。エルマーとはまた違った意見が聞けたもの。ありがとう。」
「あぁ、それ、俺と一緒に買いに行ったとかイーリスに言わないほうがいいぞ。喧嘩になっても責任は取れないからな。」
「エルマーもいるし、イーリスはそんな事で怒ったりしないわよ。でも気にしてくれてありがとう。」
「どうだかな。ま、いいわ。じゃあな。」
「うん、ありがとう。またね、アントン。」
「僕からもありがとう。またね。」
アントンは二人とは逆方向に歩き出し、ひらひらと手を振って帰っていった。
エルマーとハンナは喫茶店へと向かった。
「さっきアントンが言ってたことだけど、イーリスはやっぱりアントンと出掛けたこと、よく思わないかしら。」
紅茶を飲みながらエルマーに意見を求める。
「へぇ、ハンナも成長したんだね。そうだなぁ僕がイーリスだったら黙って出かけられた方が嫌かな。正直に話せばイーリスだって分かってくれるよ。必要なら僕からも話すからさ。それに、僕が断れなくて連れて行っちゃったから、責任も感じるしね。」
「成長ってなによ。失礼しちゃう。でも、ありがとう。頼りにしてる。エルマーは悪くないわ。アントンってちょっと強引なところがあるから。まぁそこが良いところでもあるけど。」
二人は、プレゼントを渡すときに、エルマーとアントンの意見を貰ったことをどう伝えるか作戦会議をし、その日は解散した。
ありがとうございます!




