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第11話

不備があれば教えてくださいませ。

 イーリスはずっと後悔していた。


 どうしてあんな態度をとってしまったのだろうか。

嫉妬するにしてももう少しやりようがあった。

けれど、抑えることができなかった。


 エルマーとは違う仲の良い幼馴染の出現。しか も、ハンナは気づいてないが、誰がどう見てもアントンはハンナに好意を寄せている。


 心を支配するのは、焦燥感とドス黒い感情。


 ハンナに、謝りに行かなければならない。

アントンにもだ。失礼な態度をとってしまった。

男として失格だ。


 謝ろう、そう決心して立ち上がる。


「ハンナ、ごめん。」

息を切らしながら、謝る。


 家の庭にいたハンナは、目を丸くしてイーリスを見つめる。


 「えっ、と。何が?」

「この間。アントン君がいる時に嫌な態度とったでしょ?だから、ごめん。」

「うん。いいのよ。イーリスにも、何かあるんでしょう?」

「何か、っていうか、つまらない嫉妬だよ。ハンナにエルマー以外に男の幼馴染がいると思わなくて。しかも仲良くて、焦った。ハンナを取られちゃうって思ったんだ。」

「アントンは本当にただの幼馴染よ。それに私にとってイーリスも大事よ。だからこれからも仲良くして欲しい、かな。」


 ハンナはイーリスの言葉に顔を赤らめながら返答する。


「あ、いや、僕はね、ハンナの事が、その、好きなんだ。」

「ふふ、ありがとう。私も、イーリスが好きよ。」


 やっぱり全然伝わらないか、とぼやきながら、イーリスは真剣な顔をしてハンナを見る。


 そんなイーリスに、ハンナの心臓はドキリ、と跳ねる。


 「ハンナ、僕の好きはね、友達としてじゃなくって、女の子として、ハンナが好きって意味だよ。僕は、ハンナと恋人になりたい。」


 「…ハンナ?あの、返事は?」


 ぽかん、と口を開けていたハンナは、イーリスの言っている意味を理解して、みるみる顔が真っ赤になる。


 「あ、のね。私も男の人として、あなたが、イーリスが、好き。」


 ハンナが恋心を抱いてるなんて思ってなかったイーリスはその言葉を聞いた瞬間、ハンナを抱きしめる。


 「あ、ごめん。つい、嬉しくて。」


 慌ててハンナから離れ、こほん、と咳払いをする。そして、ハンナの前に跪き、右手の甲にちゅっとキスを落として問う。


 「好きって言ってくれて、ありがとう、ハンナ。僕の、恋人になってくれますか?」


 その言葉に、ハンナは照れながら、満面の笑みで、はい!と答える。その目には薄っすらと涙が浮かんでいた。


 晴れて恋人になったイーリスは、ハンナにアントンには気をつけるようにね、と念を押す。


 きょとんとした顔で、首をかしげるハンナに、イーリスは小さくため息をつく。


 「いいかい?ハンナは気づいてないかもしれないけど、アントン君は僕と同じように君に思いを寄せてると思う。だからね、気をつけてほしいんだよ。あんまり、二人にならないでね。僕、嫉妬しちゃうから。」


 「ふふ、心配性ね。アントンはエルマーと同じで、兄妹みたいなものだから、心配しなくてもいいのに。でも、わかったわ。気をつける。」


 「相変わらず無自覚な所が心配だけど、よろしくね。ところで、そのアントンは今どこにいるか知ってる?」


 「ええっと、確か今日はずっと店番って言ってたわよ。」


 「ありがとう。じゃあ、ハンナ、また明日ね。本当はまだ一緒にいたいけど、僕はそろそろ行くよ。」


 そう言ってハンナの額にちゅっとキスを落とす。

 

 「イーリス、あのね、私にとってこういうスキンシップって、慣れてないから、あの、なるべく少しずつ、お願いします。」


 ぷしゅーっと、頭から煙が出そうな程、恥ずかしがるハンナを見て、イーリスは嬉しそうに笑う。


 「ハンナは可愛いね。分かったよ。ハンナのペースで進もう。これから、よろしくね。じゃあ、今度こそ、また明日ね。」


 「ええ。また明日。気をつけてね。」


 そんな会話をしてイーリスはハンナの家を後にする。


 その後、アントンの店に行き、失礼な態度を謝罪し、ハンナと恋人になったことを伝えた。


 アントンがかなり落ち込んだことは言うまでもない。

ありがとうございました。

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