プロローグ
始めまして。
見て下さりありがとうございます。
不慣れなので至らない点が多いですが最後まで読んでいただけると嬉しいです。
頭の中に突然広がる沢山の知識。
あれは何?鉄の塊が動いているようにみえる。
これは?いろんな葉を煎じて飲んでるの?薬、なのかしら。
私はそれらの作り方を、知っている。
不思議な光景に戸惑いながら、ぼんやりと目を開く。
「あれ、私さっきまで畑にいたのに。」
気がつくと自室のベッドに横になっていた。それに、息が苦しくて咳が出る。
夢の世界で見た知識から考えると、これは、軽い肺炎と診断ができた。治し方も知っている。
ちょうどそこに一人の少年が入ってきた。
少年は、目をパチパチさせて
「起きたの?大丈夫?」
と、不安げに声をかけてきた。
「大丈夫よ、ありがとうエルマー。」
微笑みながらそう伝える。
エルマーは隣の家に住む同じ年の男の子。生まれてからずっと一緒に過ごしてきた。
突然倒れたハンナを心配するのは当然だった。
「あのね、エルマー。落ち着いて聞いてほしいの。私ね、」
そう言いかけたが、エルマーによって遮られた。
「ハンナ、その目どうしたの?」
「…目?なんか変?鏡をとってもらえる?」
そういって、左手を伸ばすと、カタカタと引き出しが揺れだし、手鏡が飛んできた。
エルマーとハンナは目を合わせ、見たこともない現象に息を呑む。
「ねぇ、今の何?」
「私も分からない。そういえば、さっき夢で魔法の使い方を知ったわ。それかしら?」
「えぇ、魔法なんてあるの?僕見たことないよ。もう一回、やってみたら?」
「えぇ、そうしてみる。」
そういって今度は自分の意思で、机の上の水が入ったコップを手元に来るように念じる。
すると、ひゅっとコップが手のひらに吸い込まれた。
「すごい!どうやったの?」
「分からないわ。でも私、魔法が使えるみたい。」
そう言って手に握った鏡を除く。
そこには、茶色のセミロングヘアに、金色の瞳をした少女がいた。
「私の瞳、茶色だったわよね?今どうしてこんな色になったのかしら。後でお父さんに聞いてみよう。そんなことより、私ね、多分肺炎って病気なの。軽いものよ。咳が出たり息が苦しくなるの。熱が出ることもあるわ。それで、高い熱で倒れたんだと思う。治すには薬がいるわ。今から言う薬草を積んできてもらえる?」
「それも、さっきみた夢の知識なの?肺炎っていう病気は治せるの?ハンナ、死なない?」
うるうるとした薄茶色の瞳でこちらを見つめるエルマーに、微笑んで大丈夫よ、と伝えた。
エルマーはハンナのお願いどおり薬草を持って戻ってきた。
私が目覚めたことを伝えたのか、両親も一緒だった。
「あぁ、ハンナ。目が覚めたのね。よかった。とても心配したのよ。もう具合はいいの?」
「えぇ、お母さん。大丈夫よ。ありがとう。でもまだ少し息が苦しいから、少し薬を使うわ。」
そう言ってエルマーに持ってきた薬草を煎じて貰い、調合して飲んだ。咳止めと熱冷まし、菌を殺す薬だ。
それをみた両親は不思議そうな顔で二人の子どもを見る。
薬を飲むとずいぶん体が楽になった。
「それでね、お父さんとお母さんに聞きたいことがあるの。私の目を見て。金色になったみたい。」
すると、はっとして父のヘンリーと母のエミリアはハンナの顔をのぞき込む。
「…これは!ハンナ、お前何か変わったことはなかった?」
「えぇ、お父さん。さっき魔法を使えたの。それからね、薬の作り方とか、病気の治し方とか、機械の作り方とかいろんな知識が頭に流れ込んできたの。まるで別の人になったみたいにいろんな体験を夢の中でしたわ。」
「あぁ、ハンナ。そうか、今の草は薬なんだね。いいかい、この事は町の外の人には言ってはいけないよ。」
そういって父は理由を話し出す。
なんでも、この世界ではごく稀に生まれ変わりながら同じ魂を持ってうまれることがある。
生まれ変わった人はは同じ世界ではなく、例えばこの世界にはない宇宙船というものを作れたりする世界などで生きた事があるため、その知識は国を滅ぼすこともできる力になる。
魔法に関しても、今まで生きてきた魂の性質を受け継ぐことで、体に魔力が宿るのだとか。
そのため、町の外に漏れることでハンナの身が危険なのだ、と言う。
ハンナの父は町の役場で働いている。役場にはいろんな国の人が訪れるため、そのような噂を聞いたのだ。
「それで、ハンナ。何回目の転生なのか分かるかい?」
「えっと、多分7回目、だと思うわ。」
そう言ってすべての記憶を話す。
1回目は、薬師の女性だった。様々な薬草から薬を調合し、診療所のようなところで働いていた。
2回目は、王国の騎士団長。
3回目は、ある国の公爵令嬢。この時は病弱で、最低限のマナーだけ叩き込まれて亡くなった。
4回目は、魔法の盛んな国で魔法省につとめていた。女性としては珍しく魔力が豊富だった。
5回目は、様々な機械を作る工場で働いていた。どこの国かは思い出せないが、家電、と呼ばれるものがあり様々な家電を作っいた。
6回目は、科学者だった。疫病についての研究や、生態系についての研究をしていた。流行熱のワクチンを作り出して女性初の賞をもらったこともある
そして、7回目の現在。特に目立った才能もなくのびのび平凡に幸せに暮らしていた。
そんな暮らしは、ハンナが記憶を思い出した事で大きく変わることになった。
ありがとうございました☆