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11111:フラグの悪魔

 遂に文化祭当日――。

 このために俺は、今まで多くのアプローチをしてきた。

 最後の一つの作業。そうそれは俺の十八番、演劇を見せることである。

 既に約束は取り付けている。勝利は確定した。

 俺、これが終わったらあいつに告白するんだ……。

 そう思った直後であった。

 青信号の、交差点。

 そこに急に現われたトラックが、俺に突っ込んできたのは――。


 ……!


 鈍い音がしたと共に、意識が薄れていく。

 あれ? 俺死んだんじゃね??

 あいつに告白できないまま……死ぬんじゃねえか?


 もう、間に合わなかった。

 意識が薄れていく。


『俺、これが終わったらあいつに告白するんだ……』


 盛大なフラグだった。

 もう……こんな死に方って……恥ずかしすぎねえか……?


ー ー ー ー ー


「うわ!!」


 思わず声をあげてしまった。

 周りの人間がこちらを向く。

 「入学おめでとう」と書かれたプリント、周りの多くの人間、そして学園長の長い話……。

 ああそうだ、今俺は入学式に参加している。


 果たして今の記憶はなんだったのだろうか。

 デジャブ、というのだろう。何とも言えない感覚に陥る。


「あれれれれれれ~? お兄さマンモス~。学園長のお話の途中に何大きな声出してるんですか~? ひょっとして寝てたんですか~? 愚か者ですか~?」


 後ろから妹が声をかけてくる。

 ウザったさ満天だが、今俺は反撃することが出来ない。

 普通に入学式の途中であることも理由のうち一つだが、それは何よりどうやって今まで接していたか忘れてしまったからだろう。

 何か、長い時間が経過した気がする。


「っていうか妹よ……年齢詐称はいけないことだと思うんだが」

「何を今更? お兄さマンモスみたいなゴミぃちゃんの低級な脳では理解できないと思うけど、私の凄さは折り紙付きなんだぞ☆」


「そういうお前も文章が滅茶苦茶なんだが……。大体分かってる、お前がハッキングして情報をおかしくしたくらい」


 そうだ、こんな感じだ。

 大体いつもこんな感じに話してきた気がする。

 果たしてそうか……自信は持てないけれど。


「えーそれでは。皆さんが元気よく、無事仲良く学園生活を満喫してくれるよう、私も応援してます」


 学園長が礼をし、去って行く。

 そろそろ入学式が終わるのだろう。


「は~い。それじゃあ先生に付いてきて下さ~い。先生、ちゃんと任務遂行できたら彼にご褒美貰うんだから♪」


 女の教師が俺達1-2に呼びかける。

 勿論彼女、見事に滑った。

 さて。


「ん? どうしたの?? 私というものがいながら3股ですかね~?」


 俺が辺りを見回していると、妹が話しかけてきた。

 正直意味が分からない。


「さあね?」


 取り敢えず適当に答えておく。

 さて。改めて整理しておこう。

 ここはローリモォザ魔法学院。俺、そして一つ下の妹が今日から通う学院だ。

 魔法学院であるということ以外は、基本普通の学院であるはずである。人間も普通。彼らの言動にも違和感は……ないはずだ。

 なのになぜだろう、さっきから違和感を覚えるのだが気のせいだろうか。


「も~~。何よ~~。ゴミぃちゃん冷たいんだから~~。ラグいんですか~~? 何つって」

「相変わらずお前何言ってるか分からねえな」


 何でゲームに例えるんだよ。大体オンラインゲームやったことない癖して。

 ってん? ラグ??


 何かラグって言葉に躓いてしまう。特に何にもないはずなのに。

 さっき思い出した(?)謎の記憶にもオンラインゲームはあったし、この世界にもある。だから別に変な単語ではないはずだ。

 そうなら、何でそこを気になったのだろうか……。


 女の先生は生徒を教室に案内していく。彼のご褒美は教室に連れていくことで貰えるらしい。

 あとちょっとで貰える! そう先生が言った時。

 俺は気付いてしまった。


 あれ? 妙にフラグが多くね??


 今までこのような台詞は何回も聞いたことがあったが、気になってなかった。フラグという概念がなかったからだ。

 だが謎の記憶で俺は、確かに知っていた。フラグというものは即ち、こういうことを言うことを。

 本能が言う。これはフラグだと。


 そしてその時俺は、そこに置かれていた紙袋が謎の音を立てたことに気付いた。


「み……」


 皆、逃げて!

 言いたかったが、言えなかった。


 爆発!!


 その場は騒然となる。それはそうだ。学園という安全な場所の渡り廊下天井から、爆弾が置かれていたのだから。

 だがどうやら誰も死傷者は出なかったようだ。皆頭を抱えてるだけである。

 あれ? なぜ??

 そう周りを見た時、気付いた。

 時が止まっていることを。


「ヤバいね、フラグが凄いよ。君の能力は強大化してしまったようだ」


 そんな中動いている影。同い年、大体15,16くらいの彼女は呟く。

 俺を取り残して、ね。

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