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守るべきもの

いきなり接触してきた能力者!敵なのか味方なのか?

『もう近くまで来ている』


神がそういうが・・・・治にはなにも感じられない。


『わかんねえよ・・・何にも・・・』


『集中しろ!力はあるのだ。耳から眉間に向かって意識してみろ。』


判らないものの・・・・言われる通りにやってみるが・・・・何も感じない。


『駄目だ・・・判んねえ・・・』


そう思った時に何かが来た。耳鳴りがする・・・・キーン・・・キーン・・キーン・キーン

だんだん感覚が近くなってきている。


『知覚したか!それが能力者を察知する力だ。』


『最初から言えっての!』


『お前が聞かんからじゃないか!少しは努力や興味をもて!』


『・・・・』


『まあいい・・・とにかくもうすぐ現れるぞ!身の振り方は決まったのか?』


『・・・まだ・・・』


そう答えた時にいきなり痛みが治を襲う!


「痛っ!」


左肩になにか細い物が突き刺さっていた。


「うーわーっ!イテテテ!」


ちょっとしたパニックである。焼けつくように痛い!慌てて引き抜くと血がぴゅーっと吹き出した。しかしみるみる塞がる。引き抜いたものは・・・・氷?すぐに手の中で溶けてしまった。



「よー・・・あんただろ『イレギュラー』って・・・」


みれば、20才そこそこだろうか?チャラチャラとしたカッコの赤毛の男が立っていた。

身長こそ今の治と同じくらい(180前後)だが、妙に痩せている。髪の毛は、なんだか逆立っていて、いわゆる『ギャル男』・・・・みたいな輩だ。その生意気そうな小僧にいきなり言われたのは少々腹がたつ。しかも話しかける前にいきなり攻撃とは・・・・


「あんたこれからどうするつもりなのか・・・聞いておいてやろうと思ってるんだけど・・・どしたの?おじけづいちゃったかな?『おっさん』」


さすがに黙ってられず、叫んだ!


「お前!・・・・いきなりなんなんだ?人にものを尋ねる時の礼儀もしらないのか?!」


「んだと?コラぁっ!!やさしくいってりゃあ・・・・・殺すわ・・・お前」


そう男が言った途端にそいつの両手にボウッとさっき見た氷の槍のような物が出現した。


『やばい・・・・おい!神様!俺・・・どうやって反撃すればいいんだよ!』


『今聞いたところで何も出来まい・・・・とりあえず殺されないように逃げろ!』


『・・・・まじかよ・・・』


なんの打開策も持たないまま、とりあえず思いっきり走り出す治である。


「っの!・・・ちょろちょろすんな!余計に痛い思いするぞ!」


治が避けるはしから、氷の槍は床や壁に突き刺さっていく。


「きゃははは!死ね!死ね!死ね!!当たれよ!!」


死に物狂いで走りまわる治である。しかしまだ会社を出ていなかったのが幸いした。身近にあったデスクの角を握りしめ、片手でひょいっと楯のように掲げる。


カッカカン!、カン・カンカンカン!!


次々に机に刺さっていく氷の槍・・・・そのまま机を投げて反撃しようかとも思ったが、まだ社内に結構な人間が残っている。もし加速を解除した時にグチャグチャになっていると収集がつかない恐れがあったので、それは止めておいた。








「おい!いい加減にしろ!!」


先ほどの声とは違う、少し威厳のある声がした。


「んだよっ!今いいとこなんだから・・・邪魔すんじゃねーよ!」


チャラ男の声である。


『そう言えば近くに二人って言ってたな・・・』


攻撃が止まったようなので机を下ろして顔を出してみた。もう一人男がいた。今度のはスーツを着ていかつい顔をしている。能力が無くても、絶対喧嘩したくないタイプの男だ。年齢は治より少し上・・・か?そいつはこっちに気がつき話しかけてきた。


「お前が柴田治・・・・イレギュラーだな?」


「そういうあんた達は?」


「自己紹介しておこう。俺は高倉泉、そっちが山下裕一。俺達は全部で10人いる能力者のうち7人で形成されたグループだ。」


「ふーん・・・7人ね・・・そのグループが?俺に何の用なんだ?そっちの小僧は話も出来ないみたいだし・・・」


「んだと!お前、やっぱり死にてーみたいだな!」


「おい!俺はもう止めろと言ってるんだぞ・・・」


「うるせーよ!!だいたい俺はてめえも嫌いなんだよ!ちょっと年食ってるからってえらそーに喋るし、てめえも殺っちまったっていいんだぜ?!」


チャラ男はそう言って、また両手に例の物騒なものを出した。

しかし、その瞬間・・・・その槍は蒸発した。もう一人の男をみると右手の指を開いてチャラ男に向けて構えているだけだ。焦ったチャラ男は一気に6本の槍を作り高倉という男に投げつけた。


ジュジュー・・・・


男に達する前に槍は溶けてなくなってしまった。


「まだやるか?山下・・・あんまり手間をかけるなら・・・俺も手加減できんぞ・・」


「・・・っち・・・判ったよ・・・勝手に話せ・・・もしそいつが『All ends』(全ての終末)に入らなけりゃ・・・俺が殺すからな!!」


「それも今日じゃない・・・お前は短絡的でいかん。まず話しあって時間を与えるべきだ。」


そこまで黙って聞いていた治だったが・・・・


「ちょっといいかな?」


「なんだ?」


「さっきから、なんだか、俺の意思関係なしで話が進んでるみたいだけど・・・その『All ends

』っていったいどんな組織だよ?」


「その名の通り、全てを終末に導く組織だ。我々は、この世のすべてを破壊して、救世主としての使命を全うする。みたところお前たいして現世に恩恵を受けているようには見えない。どうだ?一緒にこの世を楽園に導かないか?」


「・・・・・断る。あんたが言ってる言葉の意味が理解できない。」


「何故だ?人間自体・・・無価値な存在だとは思わんか?」


「全て破壊して・・・・その後どうするんだ?俺たちって寿命が延びたっていっても高々何百年なんだろ?10人ぽっちが残ったって、何にも出来ねえじゃねえか!」


「はん・・・・あんた何にも教えられてないんだな・・・救世主がこの世を破壊しつくしたら・・・永遠の命が貰えるんだぜ。死なないんだよ・・・判る?おっさん!」


チャラ男の補足が入る・・・・信じられない話だが、それをいったら現状もほとんどマンガやアニメの世界だ。黙って高倉の方を見る。


「本当だ・・・・まあ、俺は永遠の命なんて興味はないんだがな。さあそれを聞いても考えは変わらないのか?」


「・・・・ああ、変わらないね・・・なんてったって、俺は今満足してるからな現状ってやつに・・・」


「そうか・・・後々我々の邪魔になるようなら・・・・その時は殺さねばならん。」










その時チャラ男が治に向かっていきなり槍を投げた。気がついた時にはもう刺さる直前だった。


『しまった!間に合わない!!』


しかし・・・・槍はいきなり横にスライドして砕け散った。


「いい加減にしなさい!イレギュラー相手に二人がかりなんて・・・」


声がする方を見れば・・・・こないだの女子高生が立っている。



「これはこれは・・・・探す手間が省けたな・・・霧島香奈・・・だったかな?風使いの」


「気安く呼ばないで!あんた・・・高倉ね!炎使いの」


「覚えていてくれたのか・・・光栄だよ。君は?考えが変わったのかね?」


「変わる訳ないでしょ?あたしはねあんた達みたいな狂った集団とは違うの!!」


かなり激昂した表情で喋り続ける香奈である。髪の毛が逆立ち、香奈のまわりから風が吹いてくる。


「止めておけ・・・ここではすぐに騒ぎになるぞ・・・まあいい、今日は退散させてもらう。いくぞ山下。」


「けっ命令すんなっつうの!!おいねーちゃん・・・そのうち可愛がってやるからな・・ケケケ!」







そういって二人は引っ返していった。


「やあ・・・・助かったよ・・・」


「近寄らないで!あたし・・・変態だけはイヤなの。」


「あのさ・・・変態変態って・・・こないだの女性は俺の彼女なんだよ?」


それを聞いて、そーっと振り向く香奈である。


「ホント??」


「ああ、本当だよ!現に俺今から彼女の家に行くところなんだから」


実はあの時はそうでなかった筈だが・・・背に腹は代えられず、嘘をつく事にした治である。


「・・・でも・・・じゃあなんで能力つかってあんな事してたの?彼女ならそんな事しなくても出来るでしょ?下着みたりキスするくらい・・・」


「判った認める・・・俺はちょっと変わった性癖があって・・・あらかじめ下着の色を確かめないと気がすまない達なんだ。ある意味ちょっと変態だと認める。」


「・・・・まあ、彼女にしただけなら・・・・」


よし、何とかなりそうだ。


「俺は柴田治・・・・君は?たしか霧島香奈って言われてたっけ?」


「うん・・・香奈でイイよ。治さん?でいい?」


「ああ香奈ちゃん。色々聞きたい事があるんだけど・・・どっかでお茶でもしながら話さないか?」


「・・・・変な事しない?」


「し、し、しないよ!俺が変態なのは彼女に対してだけ!約束する。」


「うん♪・・・じゃあイイよ。」









何とか、話を聞けそうである。










二人で会社の外にでてから加速を解除する。そして近くのマックに行って話を聞いた。



香奈は高倉が言っていた通り「風」の能力があり、さっきの二人は炎使いと氷使いと呼ばれる二人で、高倉のほうは香奈も力を授かって、すぐに組織に誘われた時に会ったという事、他に雷撃使いがいる事は判っているが・・・あとは誰がどんな能力を持っているか、香奈にもわからないという事。最初は組織といっても4人の集まりで、香奈が誘われて断ってから、どんどん吸収して大きくなっている事などであった。


治がイレギュラーだという事はみんな知っているらしく、何故イレギュラーの治にこだわっているかは香奈にもよく分からないが、ただの無能力ではなく、治にはなにか隠された力が眠っている筈だと言われているらしいという事だった。



「ふーん・・・隠された力ねえ・・・まあ、あいつに聞いてみるよ。」


「あいつって?誰?」


「ああ、神様?」


「神様??」


「あれ?いない・・・頭の中に、力を渡してくれた誰か・・・」


「話しが出来るの?」


「うん・・・あれ・・・話せないのに、どうして力の使い方が判ったの?」


「え?最初から使えたよ?何故だか判んないけど・・・・」


「・・・・そうなんだ・・・・・」


そこまで話したところで、玲子との約束を思い出す。


「あ、ご免・・・約束があるからもう行くね!」


「うん解った。・・・ねえ・・・」


「なに?」


「あいつらの仲間に、ならないよね!」


「ああ、ならない!それにもう一人、組織に入ってない奴がいるって言ってたよね・・何とかそいつを仲間にしないとね!」


「うん・・・・でもまだどこにいるか判んないの・・・」


「・・・・どうして俺の事は判ったの?」


「それも判んない・・・最初からあなたの事は判ってたから・・・・」


「ふーん・・・」


二人でアドレスの交換を済ませてその場で別れた。










「遅い・・・・」


「ごめんなさい・・・」


玲子は若干怒っていた。しかし、治が玄関で抱き締めてキスすると・・・・


「待ってたんだよ・・・さびしかった。」


「ごめんね・・・ご飯、何?」


「えっとね・・・今日は・・・・・・」



ラブラブな二人である。その幸せを守る為にも、『All ends』などという馬鹿げた組織とは戦わねばならないと、決意する治であった。







少しだけ事情が解ってきた治だが、味方は現在香奈の一人だけ・・・・はたして勝ち目はあるのだろうか?

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