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救世主

絶体絶命の治だが、何とかアースと協力して戦う事が出来ていた。アースの秘密とは?

闇の執行者と名乗り、治を蔭から支えてくれていた男、階堂は能力者ではなく、人間でもなかった。治に能力を与えてくれた・・・・そう『アース』こと神(地球の意思を持つ者の一人)だった。治の前に本当の闇の執行者ダークマスターと名乗る人物が現れ、それが発覚したのだが・・・・・



「イレギュラー!!なぜ神と呼ばれるこいつが、こんなに脆く弱っているか・・・判る?」


凛はいきなり治に問いかける。そしてさらに


「だいたいあたしたち人間に能力なんか与えずとも、最初から自分達で戦争でも粛清でもやればいい!そうは思わなかった?」


「・・・・だから・・・人間の問題は人間で解決・・・」


「ふふふ、だから鈍いっていってるの!変だと思わない?回りくどい話よね!・・・アース?だっけ?あたしはね、神はもともとこの世界に姿を表す事自体出来ないんじゃないかって思ってるんだけど・・・図星でしょ?アース!」


「何を言ってるんだ?それなら階堂として今の今まで戦ってきた奴が神な訳ないだろう?!」


「イレギュラー!!黙りなさい!あなたの頭では理解できないんだから!もしそうじゃなかったら、他の神も出て来てもよさそうなもんじゃない?でも違った・・・おおかた出て来るには相当のリスクがあるんでしょう。」


「勝手な思い込みじゃないのか?俺はそうは思わない!」



治はいつものようにアースに語りかける。


『アース!凛が言っていることは事実なのか?』


『・・・ああ、本当だ。』


『?!でも・・・・現実にお前は階堂として存在ぢていたじゃないか?!』


『・・・・だから統治者である凛にすら歯が立たない・・・人間界に人間として存在すれば、力もほとんど出せはしない・・・』


『馬鹿な!!なぜそんな無理をしてまでこんな事をしようと思ったんだ!?』


『・・・・・・今のおまえと同じだ。人間にはとても興味深い文化や感情がある。地球に害をなす生き物だからと言って滅ぼすのは我々の傲慢だ!だから俺は他の神と話し合いを続けてきたのだ・・・それこそお前たちの時間でいえば何百年もだ・・・しかしいくら待っても人間の愚かさを証明するような出来事ばかりだった・・・戦争、自らを地球の王と言わんばかりの土壌開発、森林伐採・・・そして人間だけを長生きさせる為の研究・・・・ついに神々は我慢の臨界点を超えてしまった。人類は愚かである!滅ぼすべし!俺の必至の説得で一度だけチャンスを与える事になった。・・・・それが・・・』


『・・・・俺達、能力者だったのか・・・』


『ああ、そうだ。神々がどんな人間を選ぼうとも所詮は人間!必ず10人の中から人類を救う「救世主」が現れる!俺はそう思っていた。』


『ああ、そっからは判る。俺以外の能力者は・・・みんなこの世の終末を望んだ。』


『・・・・そうだ。だから俺は・・・騙していて悪かった。・・・治。そろそろタイムリミットだ。もう時間がない。おれが限定解除で最後に凛にとどめを刺す。おまえはダークマスターが能力を発動する前になんとか倒すんだ!』


『だめだ!』


『なに?!なぜだ?!すぐに決着をつける事が出来れば、まだお前は元の生活に戻れるんだぞ?』


『お前・・・まだなにか隠してるだろ!?』


『・・・・』


『ひょっとして?もう長くないんじゃないか?』


『・・・・ああ、そのとおりだ。我々『神』の人間界での存在は、すなわち「死」に至る行為だ。俺の存在は間もなく消える。だから気にするな、お前は元の生活に・・・』


『いまさら何言ってるんだ!俺を助けて「救世主」とやらにしたのはお前だろ?だから最後のかたは俺がつける!!あの凛の身体は香奈ちゃんの物なんだ!最後の始末は俺につけさせてくれ!』


『・・・好きにしろ。』






すでにダークマスターが治に近づいてきていた。おそらく能力の発動をしているのだろう。アースと治は同時に限定解除する。


『いいか!!リミットは10分だ!それ以上加速し続けるとお前は存在事消滅してしまうぞ!気をつけろ!』


アースの叫び声を背に受けながら治は凛に向って進んでいく!

しかし・・・止まっているように見える凛なのだが、凛の掌から火龍は治の想像以上に早く広がり始めていた。


ボッボッボーウ!!!!!


まるで火龍だけは限定解除しているようなスピードである。





アースは階堂の姿のままダークマスターと対峙する。もちろん限定解除の状態で追いつけるものなどいない。かなり広がった闇のなかで、アースは相手の影の中に入り込み身体の自由を奪おうと・・・・


ドドーン!!ボン!!ボボ―ン!!


アースは激しい爆発に巻き込まれる。どうやらミニブラックホールがトラップとして仕込まれていたらしい。さすがにダークマスター・・・抜かりがない。


「・・・ック!!・・・」


アースはかなり消耗していたが、それでもダークマスターの動きを封じ、じわじわと首を締めあげ、絶命させた。





その頃、治は広がりきった火龍の隙間を縫いながら凛の元へと進んでいくが、思うように進めない・・・炎はどんどん巨大化していき、凛の身体をすべて覆いつくしてしまった。


「くそ!このままじゃあたどり着けない!」


それでも必死に炎をかいくぐり凛の傍に近づこうとした瞬間・・・・

世界が動き出した!!!


『アース?!どういう事だ!』


『タイムリミットだ!!何とか通常加速でそこから離れろ!!』


とはいえ・・・・凛と治の距離は10メートルもなかった。どう逃げろというのか・・・


「あははは!!とうとうネタが尽きたようだね!イレギュラー!!アリを踏み潰すように殺してやる!!覚悟しな!!」


周りの壁(緑の侵食者)達が急に動き出し、一本の巨大な棒状(足?)になった。そして、次にその足は・・・・治の頭上に迫る!





逃げる治だが・・・・緑色の足は、同じ加速の速度で移動しているようだ。


「うわーっ!!」


いよいよ踏みつぶされそうになった瞬間・・・・・・



ドーンッ!!!!!!



大きな音があたりに響いた。

治はいきなり現れた黒い天井によって救われた。


「・・・な、なんだこれ?」


「柴田さん!!僕はもう・・・ほんの少ししかもちそうにありません!早く!!とどめを!」


優斗がすぐそばで両手を天にかざす格好でたっていた。磁力の壁で攻撃を防いだようだった。


「おーの・れー!!!死ね!死ね死ね死ね!!!」


凛はすでに冷静さを失っていた。両手からカマイタチを数本発射する!!


シュパッ!!シュパシュパ!!







しかし・・・・治を襲った筈の6本ものカマイタチは一発も治に向ってこず、天に向かって飛んで行ったそして、そのまま治を襲っている緑の侵食者をバラバラにする。


スパッスパスパッ!!!


「く・・・くそお!!香奈ぁ!!肝心な時に邪魔してぇ!!!!」


凛はもう一度腕を振るが、出てきたのはカマイタチ。その衝撃波はすぐにUターンして何故か凛のほうに向い・・・・・凛の右腕を引き裂いた!!


「ぎゃあーっっっ!!!」


いったい何が起きているのか?!





『治さん!!私には・・・このぐらいしか出来ません。今のうちに・・・凛を殺して下さい』


『香奈ちゃん!!意識が戻ったのか?!』


『・・・ええ、でも・・・今だけ。もう体を取り戻す事はできません。お願いです。最後は治さんが。お願いします!!!』


『・・・・判った・・・助けてあげられなくてごめんな。』




治は気持ちを集中する。いったん強制終了してしまった限定解除だが、残りの命を使えばもう一度使える筈だ。腰の警棒を取り出し頭の中で強く念じる。


『限定解除!!』


凛の前から、もう一度治は消えた。凛は一瞬驚いたが、やがて美しい笑顔を作った。


そして・・・・凛の首は身体から切り離され断末魔の叫び声も出せぬまま絶命した。





凛の身体は一旦緑色に溶けていき、その後大きく燃え上がり・・・・・・最後は小さなつむじ風となって消えていった。





『治・・・よくやった。これでお前が人類の「救世主」となった。』


『ああ、でも香奈ちゃんは助けられなかったし・・・残りの人生の大半消耗しちまった。』


『まったく・・・あれだけ念押ししたのに・・・だが心配するな。お前たちの4〜50年ぐらいなら、何とかなる。』


『本当か?!』


『ああ、俺の命の残りのほんのわずかな時間をいまからお前に移す。』


『そ、そんな・・・もらえないよ!』


『どうした?いやに謙虚じゃないか・・・ははは、心配するな。俺が5分早くきえるだけの話だ。我々と人間とでは、そのくらい時間軸にずれがある。右手を出せ。』


言われるがままに治は右手を差し出す。



ボウッ・・・・・・一瞬温かさを感じると、治は青白く発光した。


『じゃあな・・・元気で残りを生きろ。救世主。』


そういうと、同じく青白く発光した階堂の姿のアースはスウーッと消えていった。




「ほんとに大丈夫かい?」


治は優斗の家の前に一緒に立っていた。


「はい。どうもお世話になりました。」


「それはこっちのセリフだよ。何度も助けてくれて・・・ありがとう。」


「いえ。・・・・あの・・・・これからもたまに連絡してもいいですか?」


「なに言ってるんだ!!いいに決まってるじゃないか!また飯でも食いにいこう。」


「はい!ありがとうございます。」









それから平穏に戻ったかのような人間社会だが・・・・少しだけ変化があった。

凶悪犯罪が起きると、犯人達が突然次々と倒れていき、警察が来る前に拘束されていたり、悶絶させられている。という事が度々起こる。そして捕まった犯人達は決まってこういった。


「男が一人と子供にやられた。やつらは『救世主』だと名乗っていた」・・・・と。






あれから二年がたった。治は玲子と結婚し、そして子供に恵まれた。


可愛い女の双子である。その二人はそれぞれ「凛」そして「香奈」と名付けられた。





皆様、救世主を最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございます。ずいぶんとご都合主義になっていたりべたな展開が多かったかもしれませんが・・・また次の作品の糧としてお叱りも甘んじて受けていこうと思っています。まずは長い時間お疲れ様でした。


どうか、読み終えて何かしらの感想がございましたら、評価もしくは感想を短くても構いませんので一言お願いいたします。創作意欲の糧とさせて頂きますので。

                                   ユウサク

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