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現状確認

身体の変化に戸惑う治・・・しかしその状況を説明してくれる者が登場するが・・・・

「な、なんだ・・・これ?」


切れたばかりの顎の傷がみるみるうちに消えてしまう。ここで一はやっと自覚した。


『自分は人間とは少し違うものになってしまった』


・・・化け物・・・・










しばし考えてみるも、そうなったきっかけも理由も、また何がどう変わったかも・・・・

きっかけ?



きっかけって・・・・そうだ、俺は車に跳ねられて、死にかけたんだ。そして命すらも危ないほどの重傷だったのに、たった4日で退院・・・・死にかけた事くらいしか、原因は思い当たらない。まさか?!病院で治療した医者に、人体実験かなにかされたのか?


・・・・いや、可能性は低い、なぜならオペの担当医事態が驚いて(いやあれは驚愕か?)いたんだから。なんらかの心当たりがあれば、もっとこう・・・なにか雰囲気がちがう筈だ。






じゃあ・・・・いったいこれはなんだ?なんでこんな事に・・・・

こんな追い詰められた時に頼るような友人が、治にはいなかった。いつもその場しのぎ、友達すらなぁなぁで、惰性でしか付き合ってこなかったのだから当然といえば当然なのだが・・・




しかし、考えようによってはそれが功を奏しとも言える。なぜなら、少なくとも当たり前の常識を持つ人間に治が、今自分が置かれている状況を説明するならば、十中八九、診療内科、もしくは精神科の病院に連れて行く可能性が極めて高い。なぜか妙に冷静になった頭のなかで治は考えをまとめた。


『それは困る』


どこからか、声が聞こえる・・・・いや、今のは自分の頭の中からだ。潔く認めよう。

そう・・・自分はとうとう脳までおかしくなってしまったらしい。


『おかしくはない、心配しなくてもいい。』


「何がだよ?完全におかしいじゃねえか!こんなにはっきり幻聴がきこえるなんて!」


『幻聴でもない。少し落ち着け!今説明するから。』


「うわあ、自分で自分に落ち着けなんて言ってる。二重人格になったのか?おれ・・・」


『そうじゃない。俺を自分の一人格にかってに仕立てるな!俺はお前、治とは別の個体で、お前が多重人格者になった訳でもなんでもない。言語を解読して、直接アプローチするのが非常に困難だから、お前の脳に直接話しかけてるだけだ。』


『なら最初に言えよ』


『すまない』


『うわあ!喋らなくても通じるんだ。』


『だから直接脳に語りかけている。そう言ったろ?』


『ああ、判った・・・・ところで、あんたいったい何者なんだ?』


『説明を詳しくしている暇はないが・・・今は味方だ。そしてお前に力の使い方を教えてしまわねばならない。』


『どこの誰ともわからない奴の言う事なんか聞きたくないね!とにかくあんたが何ものなのか?それだけははっきりさせてくれ!』


『そうか・・・そういうものかもしれんな・・・判った。お前たちの表現で表すと・・・一番近い言葉は・・・・・・・・・神だ。』














『ハァ?神?神様だってのか?・・・胡散臭せー神様だな。』


『だから、一番近い言葉で表現したまでの事。もっと言えば、この星「地球」という惑星の意思とでも解釈してもらってもいい。』


『・・・・やっぱり実感湧かないんだけど・・・・いいや!で?俺に何の用があるの?さっき「力の使い方」とか言ってなかったっけ?』


『・・・現時点でお前は自分の身体の変化をどの程度理解している?』


『怪我がすぐ治る。身体のサイズが一回りでかくなった。もしかして空とか飛べるのかなぁ』


『物理的にそれは出来まい。それを望むなら、今までとはかなり違った見た目になるが、それを望むのか?』


『それって鳥みたいに羽が生えてくるって事?』


『それだけではない。骨密度を変え、パーツの重い部分。例えば頭の比率に合わせて身体のサイズ事態大幅に大きくしなければなるまい。もしくは頭部を軽く小さく作り変えるか・・・』


『とんでもない。今のままでいいよ。』


『では簡単に説明を始める。まず・・・怪我がすぐ治ったのは、自分の細胞の成長速度がある条件を満たす、もしくは自分の意思で、通常の300倍から400倍になる、すなわち、すぐ怪我が治るのは自分の脳意識の部分以外が飛躍的に成長しているからに過ぎない。だからお前自身はこの4日間で成長加速して約500日間の時を使ってしまっている。もちろんそれは怪我をした部分に限られてくるが・・・それが条件だ。身の危険を感じるような怪我を負った時は意志に関係なくその作用が起こる。』


『ああ・・・じゃあ実際には急に治る不死身の肉体って訳じゃあないんだ。』


『ついでに身体の強度に関しては、骨格、筋肉、反射速度、それらはサービスである程度替えさせて貰った。出ないと燃費も悪かったからな。』


『でかくなっただけじゃないの?』


『体力的に単純に比較すると・・・・今までの3倍程だ。お前のまわりの人間など簡単に殺せてしまうだろう。』


『殺すって・・・そんな目的なのか?俺は・・・何をすればいいんだ?』


『まあ待て、続きがある。お前の力について、一番大事な部分だ。』


『・・・判った・・・聞くよ。』


『うむ・・・・さっき説明した成長加速についてだが、もう一つ、自分の意思で使う事が出来る。ただこれは脳意識事態も同じく加速的に成長させる。それが武器にもなる』


『言ってる事・・・全然判らないんだけど・・・』


『判り易く言い換えると・・・・お前が加速している間は、まわりの世界はまるで止まっているように見える。という事だ。判ったか。』


『・・・・つまり、強そうな奴と出会ったら・・・止めちゃえば、簡単に勝てるって事か?』


『そういう事だ。ただし・・・・あくまでも普通の人間・・・に限ってだがな。』


『どうやってその加速はすればいいんだ?・・・・ていうか俺以外に普通じゃない人間が他にもいるのか?』


『使い方は簡単だ。そう思えばいい。・・・それから・・・・お前以外にも能力を与えられた人間は他に9人いる。』










他に9人?いったい何のために?そして何をさせようとしているのか?

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