本当の闇
凛との戦いで絶体絶命のピンチに陥った治!!
どうすれば凛の動きを止められるのか?!
「・・・・おいおい・・・まじかよ!・・・なんて陰険な性格してやがるんだ!!」
治は不利・・・いや、絶体絶命の危機に瀕していた。
火龍から逃げるだけでも精一杯なのに、ドーム状の『緑の侵食者』がだんだん小さくなってきている。つまり最後は丸焦げ、挟み撃ちにされてしまうという事だ。
『アース!!おい!アース!!?限定解除・・・使うぞ!』
『待て!』
『待てって・・・じゃあどうするんだ?』
『・・・』
『・・・なんだよ!?どうするんだよ』
頭の中のでアースと会話する治だが、その間にも壁は迫ってくる!!
「どうしたの?!イレギュラー!!無抵抗?・・・じゃあ・・・・死になさい!!」
凛はそう言うと、体のまわりにある火龍を一気に治の方に向けた。
ブオワーッブオ―ッ!!!
さらに大きくなった火龍がいまにも治を飲み込もうとした瞬間、スウーッと龍は消える。
そして・・・凛はなぜか苦しんでいるように見える。
「・・・・ううっ・・・・ムカつくわ・・・・まだ邪魔するのね!」
どうやら動けないようである。
「階堂か!」
「今のうちに!!早くトドメを!!」
階堂の姿は見えないが、声だけははっきりと響いていた、。
「・・・判った・・・」
そして治は凛に向って走り出した。治の攻撃力であれば動けない凛なら恐らく一撃で殺せる筈である。しかし・・・・治はまだ迷っていた。
『アース!!香奈ちゃんが戻ってこれる可能性はないのか?』
しかし、アースからの返事はなかった。
迷いながら助走をつけていく治に階堂が叫ぶ!!
「・・・っく・・・は、はやくして下さい!!もう抑えられません!!」
急がねばならない!!治は気持ちを集中し、限定解除に向けてスイッチを入れる・・・その時
「・・・な、なんだ?!」
視界が急激に暗くなる・・・・治は目標を見失う、自分の足元以外は何も見えない。
・・・・・まさに闇にいるようだ。
「・・・・初めまして・・・・」
突然目の前から声が響く。
「だ、誰だ!!?」
「私が本当の闇の執行者です。ダークマスターと呼ばれています。以後お見知り置きを、といっても無駄ですか、あなたはここで死んでしまうんですから・・・・」
「闇?!他にも闇の能力を持つ能力者がいたのか?!」
「・・・・いいえ、闇の能力者は私一人ですよ・・・・ああ、あなたが言っているのはあの偽物の事ですね?」
「偽物?!どういう事だ!」
「どういう事も何も言葉通りですけど?能力者は全部で10人、そしてあなたに味方してわれわれと闘おうなんて愚か者は・・・あの風使い一人だったって事ですよ。まあ凛様と体を共有していた為に殺せなくて困っていたんですがね・・・」
その時、
「も、もうだめだ!!」
階堂の声が響き焦げくさい臭いが鼻に広がる。
ボボーウッ!!
「ふん!!あんたの力じゃあもうあたしを抑える事なんて出来ないんだよ!!このくたばりぞこない!!」
治は慌てて声をかける!!
「階堂!!これは?どういう事だ!!」
しかし階堂の返事はない・・・・
「サービスしてあげましょう・・・・」
目の前のダークマスターと名乗る男の声がすると、闇が少しずつ晴れていく・・・
そこには凛の前で悶絶している階堂の姿があった。
「か、階堂!!」
「こいつの正体を教えてあげましょう」
そういうとダークマスターは右手で黒い球体を作り出す。
「これは、簡単に言うとブラックホールのミニチュアです。まあ触ればほとんどの物は飲み込みますけどね・・・・くくく」
そして悶絶している階堂にむけて球体を投げつける!!
その瞬間、階堂の姿が消える・・・・闇に潜った?
「今のは!?」
「あなたなら見えた筈ですよ、イレギュラー柴田治」
ダークマスターが笑いながら治に言う。そう確かに治はみた。階堂は消えたのではなく、素早く動いただけだった・・・・まるで限定解除したような速度で・・・・
「ふふん!やっとわかったみたいだね!そいつは闇の能力者なんかじゃないのさ!」
「そう・・・・その正体は、いわゆる『神』です。イレギュラー!!汚いですね、あなただけが神を味方につけて戦って来たんです。」
「『神』?!・・・・・」
『騙していて悪かったな・・・治』
『・・・な、あんた!!・・・・・なんだ!何がどうなっているんだ?!』
『みての通りだ・・・私が願っていたようにはいかずに、能力者はほとんど統治者側についてしまった・・・だから最初から姿を消して出てこなかった闇になりすまし、お前を統治者へと導いていた。』
「・・・・そうか・・・・ずっと見守ってくれていたんだな・・・・アース」
階堂は『アース』だった。しかし・・・・