人類の救世主
またまた発熱!!?最近病気ばかりの治ちゃんです。
翌朝・・・・かなり目覚めの悪い治である。しかも前日の腕に続き、脚までも超再生してしまった為・・・・お約束の発熱。
さすがに心配する玲子には逆らえず、病院に連れていかれた。
「治ちゃん?最近なんでそんなに体調が悪いの?お医者もびっくりの丈夫な身体なんでしょ?」
「・・・・うーん・・・なんか疲れてるんだよね・・・」
「・・・もしかして・・・ベッドで頑張りすぎてるからじゃない?・・・しばらく安静にしてる?」
「それは・・・関係ないと思うんだけど・・・」
(かなり力抜いてるし・・・本気出したら玲子が死んじゃう・・・)
そうこう話しているうちに坂崎教授がやってきた。
「じゃ・・・少し調べてみましょうか・・・連れの方は外で待っていてくれますか?」
ちらっと横目で見られた玲子は・・・しぶしぶドアの外へ。
「・・・さて・・・柴田さん。そろそろ本当の事を話してくれませんか?もちろん必要とあれば口外しません。」
「・・・はい?」
「私の事舐めてませんか?・・・外科では一応・・・日本の権威と呼ばれてるんですけど?」
「・・・・・」
「いいですか?柴田さん。あなたの身体はくまなく調べました。確かにおかしなところは一つもありませんでしたよ。まるっきりの健康体です・・」
「じゃあ・・・いいじゃないですか。何を仰ってるのか・・・」
「細胞組織も調べました。頂いた皮膚組織も異常なしです。」
「たしかそうおっしゃいましたよね!それこそ証拠じゃないですか?」
「ええ、検査が終わる1時間後に切除した部分が完治した。という部分を除いてね!」
「え?」
「・・・いいですか?あなたの身体から切除した細胞組織はなんの変哲もないものです。成人男性としてはごくごく当たり前のね!しかし・・・あなたの身体自体はおかしな事だらけなんです。再生能力が普通じゃない。野生動物でもそんなにはやく治りません。いったいどんな仕掛けがあるんですか?しかも・・・あなたのその腕・・・左右で色が違いますが、それは運転焼けですか?はっきりと肘下から日焼けの度合が違いますね。」
冷静に、そして反論できないように教授は治に淡々と疑問を投げかける。
どう返事をしていいか分からず、治は脳内でアースを呼び出した。
『おいっ・・・どうしたら・・』
『どこまでつかんでいるかもう少し喋らせろ!まだ信用する訳にはいかん。』
『・・・たって・・・どうすれば?・・・』
一旦加速を止めて教授のほうに向きなおると、
「まあ、秘密にしたい事がおありなんでしょうが・・・ひとつ実験をしてみませんか?」
「実験?」
「ハイ。こういうのはどうでしょう?」
そう言うと教授は白衣のポケットからメスを取り出して・・・いきなり治の腕に切りつけた。
「痛っ・・うわっ!!何を!!」
メスはお治の上腕部をスパッと切り、鮮血がほとばしる!!!
・・・・・・しかし・・・・5秒程で出血はとまり、みるみる傷がふさがって行く。
「・・・・やっぱり・・・あなたは不死身なんですか?いや・・・というより、何かこの部分だけが時間進行が違うというか・・・」
「・・・・・あの・・・」
「・・・やはり答えて頂けませんか・・・・いいでしょう。この事は口外するつもりも、あなたをモルモットにするつもりもありません。ただ、私になにかできる事があれば遠慮なく言って下さい。・・・・おそらくですがあなたの身体は食生活を含めて改善すれば、さらに強い身体になるし・・・・相手は判りませんが・・・戦いも有利になると思いますよ。何かと闘ってらっしゃるんでしょ?!柴田さんは・・・まぁ今日はもう結構です。どうぞお引き取り下さい。」
「・・・・ありがとうございます。・・・そのうち、そのうちきちんとお話します。」
「ええ、その日をまっていましょう。・・・・お大事に!」
やはりと言えばやはりなのだが・・・・教授は気が付いていた。(当たり前だが)
『あんなに心配してくれてたんだ・・・いつか話せるといいけど・・・・』
「俺が死ななければ・・・・か・・・」
治はいつのまにか笑いながら独り言をつぶやいていた。
「なに笑ってるの?」
気がつけば玲子が傍にいた。ひとりで笑っている治の顔を覗き込んでいる。
「・・・・・いや・・・・あっ!ただの疲れだってさ!ごめんな心配かけちゃって。」
「よかったぁ・・・なにか悪い病気じゃないかって・・・でも無理はしないでね!いい?!」
「ああ、判ってる。もう心配かけないようにするから。」
『多分・・・無理だろうな・・・』
治はこれから先の統治者『凛』との戦いを見据え、到底簡単にかてるとは、ましてや無傷で済む筈がない事を知っていた。相手は複数の力を持つ「魔人」なのだから・・・・
一旦自宅に戻り、くれぐれも寝ているように玲子に言われて、本当に3時間程寝ていた治だが、起きてみれば体力は完全に回復していた。力が体中にみなぎっている。やはり己も「魔人」の一人なのだ。改めて自分の置かれた立場、目的、ゆっくり考える事が出来た。
心の準備ができた治は階堂に連絡する。
「・・・・場所は?・・・判った。人類の・・・・救世主になろう。」
戦いの覚悟はできた。果たして!(これ言ってみたかったんです《笑》)人類の未来はどうなるのか?!