マリと玲子
モトカノ、その主人・・・世の中はいろんな絡み合いの上で成り立っている。
『やっぱ・・・・調べられたら、まずいよなぁ・・・』
治はひとり悩む・・・・マリのご主人である、佐藤という医師に頼まれた坂崎教授の検査。
受けていいものか、それとも受けないでやり過ごしたほうがよいのか・・・・
『なにがだ。』
アースは澄まして答えた。
『なにがって・・・・病院で!俺が普通じゃないって事をさ・・・』
『・・・ああ、それなら問題ないと思うがな』
『そうなの?!』
『医学的にいくら調べたところで、加速について判るわけはないし、お前の場合は、骨密度やら、細胞に関しては尋常ではないが、それとて人間の域を超えているわけではない、いや逆にお前の場合は・・・多少異常なぐらいでないと医者は納得できないだろうから、調べてもらったほうが・・・ちょうどいいんじゃないか?』
アースが言うには、加速能力自体は身体を調べてどうこうというものではないらしい。それならばいったんおとなしく検査を受けて、マリとその主人の佐藤の顔をたててやってもいいかもしれない。治はそう思った。
とりあえず一度帰宅する。
このところ玲子の部屋に入り浸りだったので、たまには掃除でも・・・・そう思い自宅に戻った治だったのだが・・・・・
帰宅して30分もたたぬうちに・・・・
『ピーンポーン!!』
インターホンが鳴り
「はい?」
「治ちゃん?来ちゃった・・・」
玲子である。あらかじめメールで自宅の掃除をすると伝えておいたのだが・・・・
「・・・・だってさびしんだもん!!!いいでしょ?掃除手伝うから・・・」
玲子はだんだん子供に戻っている気がする・・・・
結局・・・・いつものように激しい夜を過ごしてしまう治と玲子で、ご多忙に漏れず、玲子はぐっすり眠ってしまった。
一人ねむれない治にメールが届く・・・・マリからだった。
『これが届いているなら・・・まだアドレス変えてないって事ね!今日はなつかしかったわ。この間のお礼もしなきゃ、と思っていたから・・・ところで今電話しても大丈夫?よければお話したいんだけど。』
読んでしまってから、治は深い溜息をつく・・・・話の内容は見当がつく。今日の話の返事である。正直、まだ決心がついた訳ではない。迷っているのが本音だった。
今話を聞くと後々断り辛くなる。そう思い・・・・治は返事を返さなかった。