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治った

ひどい事故で死にかかった治・・・・

命にかかわる程の傷を負ったはずなのに、なぜか怪我がすぐ治ってしまう・・・・


気がついた時には病室のベッドの上であり、ベッドの脇には母親が座っていた。


「あら、きがついたかい?」


そういうとすぐにナースコールをした。まずナースが一人、そして治に一言二言声を掛けてからすぐに


「先生を読んできます。」


そう母に告げて出ていった。













「驚いたな・・・」


最初に会話をした医者がぽつり・・・・





どうやら意識が戻るにしても早過ぎるし、実のところ、治は病院に運ばれた直後の診察では酷い状況だったらしい。頭部座礁、頚椎骨折、顎骨複雑骨折、脊椎損傷、・・・・・・・

まるで生きているのが不思議なぐらいの状態である。トラックに跳ねられて飛ばされ、反対車線の車まで飛んでもう一度跳ねられた。そしてアスファルトに叩きつけられる。目撃した若者達は確実に死亡したと思い、救急車も呼ばずに写メを撮って騒いでいたという。


コンビニの店員が慌てて119番して病院に搬送された・・・・という訳だった。

運ばれた先は地元の救急病院だったが、命に関わる程の重傷だったため、たまたまその日大学病院から出向していた外科医の取り計らいでそのまま大学病院に移され緊急オペを施された。











医者が驚くのも無理はない・・・・腕も脚も、折れていない骨は無いほどの患者が、起き上がって背中を自分の腕で掻こうとしているのだから。もちろんギプスによってそれは阻まれているものの、もしやギプスがなければ全身動けるようになっているのでは?


『ありえない・・・』


そう思いながらも、治自身の希望もあり、顔面のギプスだけ様子見で外してみる事にしたのだが・・・・・











「こ、こんな・・・ありえない!!」


担当医はさっき噛み殺したセリフを結局口にした。

当然である!!昨夜自分が20針も縫った顎まわりの傷が・・・・完全にふさがる、というより治っているのである。どの医者に聞いても抜糸を待っている状態であった。



まるで何かに取りつかれたかのように、結局担当医は全身のギプスを外しては傷の確認をしていった。結果は同じ。まるで本当は健康体の人間に無理やり縫い傷を負わせたような状態なのである。





「ちょ、ちょっと詳しく検査をさせてもらいますから・・・・」


そう担当医に言われてから丸二日間、治は身体中を調べつくされた。




結果は予想通り・・・・・完全に健康体であった。

病院側としてはどこも異常がない人間を退院させない訳にもいかず、翌日、つまり入院4日目で退院となったのである。


しかし、外科の教授である坂崎という初老の先生が治の身体にかなり執拗に興味を持ってしまい、もうしばらく協力してくれ!と何度も頼まれたが、丁重に断りを入れて退院した。

(結局、なにか他に変化があったら必ず知らせてくれと、携帯電話の番号まで渡されたのだが)











部屋に帰った治は渋る母親を何とか実家に帰し、やっとゆっくりできた。テレビを見て、冷蔵庫にあったビールを飲み干したしばらく会社に行くつもりなど全くなかった治である。

缶ビール7本を飲み、棚にあったスコッチをロックでやりながら缶づめを開けてつまみにした。

3時間ほど飲み続けてしたたかに・・・・酔えない?!


そう言えばもともとそんなに強いほうではなかった筈だ。こんなに飲んだのは産まれて初めてかもしれない。




病院で怪我が完治した時には(そんな事もあるんだ・・・)程度の認識だったが、ここにきて自分の身体の変化に不安を覚えた。一瞬、大学病院の坂崎教授という人間の事を思い出すが・・・



やはり・・・モルモットにされるようで怖かった。


『まあ、体調が悪くなったら連絡すればいいや・・・』


そう思いベッドに入る。










しかし本当に驚くのは翌日なのである。


これから治の身体はどう変化していくのか・・・・

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