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何者?

香奈がさらわれてしまい連絡が取れない。

頼みの綱はこの出逢ったばかりの階堂という男だけ!

『お前は・・・・『Allends』の人間だったんだな!?』


治は叫んだ。


『そんなに大きな声で話さなくても・・・まあそういう事です。』


『なぜだ?何故こんな回りくどい事をする?』


『それ聞きます?そんな事説明するまでもないでしょう?内部から切り崩す為に決まってるじゃないですか・・・まぁ・・・今まで隠れてた『闇の執行者』がわざわざ出てくるなんて、想定外でしたけどね。お陰で貴重なコマを一つ失ってしまいました。あれは自業自得かもしれませんけど・・・足止めしとくように指示したのに・・・頭が悪い奴は使いづらい・・・』


さっきまでのイメージとは違い、かなり冷酷な声で語る京極である。


『お前・・・香奈ちゃんをどうした?!』


『もちろん無事ですよ・・・貴重なコマですからね。』


『何をするつもりだ!!』


『あれ・・・高倉から聞きませんでした?世界を粉々に壊してしまう。それが『Allends』の目的です。・・・・ねえ、柴田さん、考えなおしませんか?たった二人で何が出来ます?それに、そちらに付いてる『闇の執行者』なら僕が出向けばあっというまに葬れちゃうんですよ?あなたがどんな能力を隠しているかは知りませんけど・・・僕ら全員を相手にして勝算はありますかねぇ・・・』


『黙れ!勝てるかどうかなんて問題じゃない!お前達の思うとおりになんか絶対にさせない!俺は・・・最後まで足掻いてみせる。』


『・・・・ずいぶんと熱いですねぇ・・・あなた、そんなに熱い性格でしたっけ?』


『とにかく香奈ちゃんを返せ!あのこは最初から組織に反対していた筈だ。』


『・・・いやだなぁ・・・そんな事する筈ないじゃないですか・・・あなたを除いて、僕らの能力には適正によって必ず苦手な相手がいます。だから一人でも味方が多い方が圧倒的に有利なんですよ!まあ、明日にでもまた連絡します。もう一度ゆっくり考えてみてはいかがですか?』


『ちょっと待て!』


そう言い終わる前に電話は切れた。すぐにかけ直してみるものの・・・・もう電源が落ちているようだ。








「まずい展開のようですね・・・」


落ち着いて話す階堂である。


「明日向こうから連絡するそうです。」


「組織の人間がどこにいるのかご存じですか?」


階堂はそう聞く、なんの情報もない治にはさっぱりわからない・・・


「情報はなにも持ってないんですね?」


「ああ、まだ何も・・・」


「判りました。今まで組織に見つからないように身をひそめて、自分なりに掴んだ情報がいくつかあります。私なら近くまで様子を見に行く事も出来るでしょう。今夜調べてみましょう。」


「・・・一人でですか?」


「・・・何度もいいますが、あなたは足手まといです。戦闘ともなれば頭数にはなりますが・・・とにかく情報戦が大事な訳ですから、私が向いています。今夜調べて何か判ったら連絡しますから。ひと先ず帰って休んで下さい。」


「判りました。」













加速、解除を繰り返したお陰で、時間の感覚がおかしくなってしまっていた。時計を見るとまだ22時、しかし玲子が戻ってくる前に帰っておいたほうが何かと問題が少ない。治は慌てて家路を急ぐ。








以外にももう帰ってきていた玲子である。治が部屋に入ると・・・いい匂いが・・・


「あ、おかえり〜♪」


「ああ、そっちこそ早かったんだね!おかえり!」


「うん♪課長が準備済ましてくれてたから・・・お昼食べて、ミーティングに参加してそれでお開きだったの!一応食事の用意してるけど・・・・食べてきた?」


「ううん!頂くよ。まさか今日手料理が食べられるとは思ってなったなぁ♪」


「たいしたものじゃないのよ!口にあうかしら・・・」


「美味い!!すっごく美味しいよ!」


「ありがとう。お世辞でも嬉しい。」


「お世辞じゃあないよ・・・手料理なんて何年ぶりに食べたから・・・・」


本当に美味かった。ひとり暮らしが長い年上の女性は・・・・いい。







香奈の事が心配ではあったのだが・・・・・・・

玲子のこの一言で一気にハイテンションになってしまう。


「ねぇ・・・・」


「なに?どうかしたの?」


「お風呂・・・・・どうしても、一緒に入りたいの?」


「う、う、うん!!」


「じゃあ・・・・今日はサービスで・・・・一緒に入ろうか?」


「うん♪」


「今日だけだよ!!それに・・・・・後で優しくサービスしてね♪」


「うーん♪」


満面の笑顔で、香奈の事など忘れて欲望の権化と化した治なのである。(いつもだけど・・・)











風呂で一回・・・・ベッドで二回・・・・・そしてシャワーに入ったところでまた一回・・・

いつもにもまして積極的な玲子に、ついつい欲望をぶつけてしまい・・・またもや失神。

介抱して寝かしつけたのは、もう午前3:00過ぎである。


寝顔をみて幸せかみしめる治を、けたたましく鳴り響く携帯が現実に引き戻す。






『柴田さん!!風使いの彼女が監禁されている場所・・・・判りましたよ!』


『本当ですか?どこです。』


『シティーホテルになるのかなぁ・・・ここ。『ハイレジェンド』ってホテルなんですけど』


昔、彼女と行った事がある!場所もそんなに離れてはいない。


『判りました。とにかくそちらに向かいます。』


『じゃあ・・・・近くにネットカフェがありますが、判りますか?』


『はい・・・多分。』


『そこの25番ブースにいますから。』


『了解です。』











すぐに着替えてタクシーを捕まえる。


指定されたネットカフェはすぐに判った。中に入って25番ブースに急ぐ。


「あ、お客様!会員証の提示をお願いします。」


すぐにスタッフに呼び止められる。


「いや・・・あの、知り合いが中にいるんだ。」


「どのブースにいらっしゃるんですか?」


「25番だ。」


「え?・・・25番ですか?」


スタッフが困った顔をしている。一瞬迷っていたが・・・・そのまま何も言わずに裏に引っこんでしまった。いったいどうしたというのだろう・・・・



すぐにネクタイをした男が出てきた。おそらく店長か何かだろう・・・・


「お待たせ致しました。ご案内します。」


後を付いて行くと・・・・シャワールームのとなりの部屋


『スタッフ以外立ち入り禁止』


と書いてあるドアを開ける。黙ってついて行くと歩きながら説明してくれた。


「うちに25番というブースは存在しません。」


「え?だって・・・」


「ああ、暗号みたいなものです。昔から階堂さんは編集者から逃げる時はうちに隠れてましたからね・・・・あなたはかなり親しい方なんでしょう?なかなかここは教えないみたいですからね・・・階堂さんは・・・」


「えっと・・・あの・・・階堂さんとは知り合ったばかりなんですけど・・・いったいどういう人なんですか?」


「ええ?・・・困ったな・・・余計な事言っちゃいましたかね・・・」


「いえ・・・教えて貰えますか?」


「仕方ないですね・・・・・内緒ですよ・・・」


「はい、あなたには迷惑かけません。」


「階堂さんは・・・・作家さんなんですよ。小説の・・・」


「・・・・・?」


「結構、高名な方ですよ!ペンネーム言えば判るんでしょうけど・・・・それはご本人から聞いて下さい。・・・・着きました。ここです。」


「あ、ありがとうございます。」













中に入ると・・・・なんだかいろんな機材がいっぱい並んでいる。まるで音楽スタジオかなにかのようだ・・・・モニターがいくつか置いてあって、その一つの前に階堂は座っていた。

こちらを振り向きもせず喋り出した。


「お待ちしていましたよ・・・・・柴田さん。」














いったいこの男は何者なんだろう?

謎は深まるばかり・・・・

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