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一つの物語【断章】  作者: 世界の一つ
一夏の想い出編
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一夏の想い出・帰宅編

「あ、やっぱりりゅうくんが先に出てきた!」


「やっぱりみぃ姉はびりっけつか」


「りゅうくん言い方がいやらしいぃ!」


どこがだよ!


みぃ姉は昔から風呂が長い、シャワーだけでも小一時間程かける。普段は皆んなの事を考えてて気立ての良いやつなんだが、こういうところは何故かマイペースなんだよなぁ


「あ〜あ、ずっと立ってたら疲れちゃった……ねぇねぇ、りゅうくん!暇つぶしに浜辺でお散歩デートしようよ♪」


ずっとって、さっき別れてから10分くらいしか経ってないじゃないか。しかもデートって……


「ダメよ、サツキ。兄さんは私とあそこにあるお土産屋さんでお買い物デートするんだから……ねぇ、兄さん?」


ユマリ、本人の意思関係無く決定事項にするのはやめなさい。


……とは言っても、みぃ姉はまだまだ出てきそうにないし確かに時間潰しには丁度良いかもしれないな。しかしみぃ姉が本当に遅く出てくるとは言いきれない、でも僕もここの近くにあるもう1件のたこ焼き屋に行ってみたいんだが……さて、どうするかな?


「ふむ……じゃあこうしよう、3人とも各人思い思いの所に行くって事にしよう、ちなみに僕はこの近くにあるたこ焼き屋に行く。と言うわけでまた後でな」


「えぇ〜!!あ、ちょっとりゅうく〜ん!?」


「残念……時間の制限もあるし、今回は兄さんの言う通り別々に行動しましょ……その分今度兄さんと……」


「はいはいユマリんそこまでだよ〜……もぉ、りゅうくんのケチィ!」


僕は二人を置いてたこ焼き屋を目指して歩き出した。念の為みぃ姉にメッセージを送っておかないとな……えっと、今が17時15分だから……


"17時30分まで自由行動、もしも早く出たなら連絡をくれ"


っと……これでよし、仮に早く出てきたとしても15分間くらいなら流石に待てるだーー


ピピッ


あん?

……みぃ姉?!早っ!


"どうせ近くにあるたこ焼き屋さんに行ってるんでしょ?なるべく早く帰って来て"


鋭い……!

タイヨウビーチを買い取っただけあって近辺についても調査済みって事か、それとも僕が行きそうな場所を調べてあったのか?


まあ、どちらでも良いか。

とりあえずさっさと用事を済ませよう、まだ見ぬたこ焼きが僕を待ってる。


確かここから出て東だったよな




ーー数分後ーー




はぁ、食べたたべた……にしても、ここのお手製ソースは美味いけど、タコが小さいな……ソースは選べないし、タコは小さいし、唯一のお手製ソースが美味いだけに残念だ。今後のサービス発展に期待しよう。


僕はその旨を先程店員に直接話をして、ちょっとした客からの感想を述べた。


「あの、お兄さん!貴重なアドバイスありがとうございます。またぜひいらしてくださいね、お待ちしてます」


「そうだな、またここへ来る機会があればまた来よう。その時はもっと美味いたこ焼きを頼むぞ。じゃあ、またな」


「はい!ありがとうございましたぁ!」


店員が愛想良く返事をし、明るい声をあげた。

まあ、次回に期待してやるか。

僕はホテルの方へ向かって歩き出した。時間は17時20分過ぎか、少し急ぎ足で帰るかな。


ピピッ


ん?またSPDが鳴り始めた……メッセージか

差出人は……みぃ姉か


"今どの辺?早く戻ってきてください"


やれやれ、まるで彼女みたいだな。

……


彼女か……


"はいはい、もうそっちに戻ってるよ"


ピッ


みぃ姉のやつ、シャワー終えるの早かったんだな、それとも最初のメッセージはシャワー中に連絡をしてきたんだろうか?


ん?なんか見覚えがある後ろ姿が見えた、あれは……ユマリか?まだ買い物を終えていないようだ。


「ユマリ、何探してるんだ?良かったら手伝うぞ」


「優しい……」


「勘違いするな、みぃ姉を待たせてるからさっさと終わらせないとダメだろ……で、なにを迷ってたんだ?」


ユマリは手に持っていた商品を僕の方に差し出した。どれどれ……貝殻のペンダント?なかなか可愛らしいな。


「兄さんとペアルックにしようかと思って」


「それは無理な話だな、別のものを選ぶことをオススメする。あいにく僕はペアルックは好きじゃないんだ」


「じゃあ、兄さんとお揃いの何か違う物を……」


「ユマリ、ちゃんと僕のお話聞いてたか??言い方を変えただけで同じ意味だぞ」


「残念……じゃあこういうのはどう?」


そう言って僕に見せてきたものは……


「それは指輪!さっきより恋人感が増してるじゃないか、こんな目立つものつけてたらみぃ姉あたりが敏感に反応してややこしい事になるだろう!」


「あ、いたいた!もう、遅いと思って近くを探し……ち、ちょっと!何その手に持っている物は!?」


……これはまたバッドタイミングに一番ややこしい事になりそうな人物に勘違いされてしまったな


「指輪よ」


「煽るな!みぃ姉、念の為言っておくが僕が指輪なんて買うわけないだろう?冷静に考えてみろ、僕は誰とも付き合う気はない……ほらな?みぃ姉の勘違いだ!」


「じゃあその指輪私に買ってくれる?」


……え?


「あのな、みぃ姉……僕は確かに誰とも付き合う気はないと昔から言ってあるよな?それなのになんでそんな返答に至ったんだ?」


「リュウイチが他の人に興味が無いという証明をしなさい」


答えになってるようでなってないぞ。

その言い方だと、僕がみぃ姉にだけ特別な想いを抱いているような対応になるだろう


「誰にも買わない、そういうのはちゃんとした恋人に頼むべきだ。僕にそれをせがむのはお門違いだろ」


「じゃあ、あたしに買ってぇ♪」


まぁたやかましいのが来た……


「さ、サツキ!?いつの間に……」


「どこから話を聞いていたのか分からんが、僕は誰にも買わないぞ」


「えへへ、お散歩から帰ったらみんなでワイワイやってたからついっ♪」


ノリで買うとでも思っていたのか?甘いぞサツキ、僕はそんな物は買わない


……あいつにも買ってやった事無いくらいだしな


「これもダメか……残念」


そもそも僕がそんな物買ってやるとでも思っていたのだろうか?だとしたら高望みし過ぎだ。


「指輪とかはダメだけど、せっかくここまで来たんだし何か記念になるような物をみんなで買うのは良いかもしれないわね」


「確かに!ん〜どんな物がいいかなぁ?定番のお菓子とか?」


「サツキ、記念にする物を食べたら寂しいでしょ……兄さんは何が良いと思う?」


ユマリがそう言うと、三人の視線が僕に向けられた。

そう言われてもな……ん?

三人の期待に少々戸惑ったが、それを解消出来るような物が僕の視界に入った。


「これはどうだ?写真立てだ、今回は撮れなかったがまた今度来た時や他の場所で撮った写真を……ってお前ら人の話聞いてるか?」


「……りゅうくん、"今度来た時"って言ったよね?」


「リュウイチにしては少し珍しい発言よね……」


「やっぱり兄さんって素敵な人……」


羽目を外し過ぎたか……いらん言葉を口にしてしまった。しかし自己嫌悪には陥っていない、自分の素直な意見を述べた事に僕は後悔はしていなかった。


「……イヤなら無理にとは言わないぞ」


「そんな事ない!私はすごく嬉しい、また一緒にここへ来ましょう!」


「あたしもまたここに来たぁい!♪」


「私も……兄さんが行くなら一緒に行く……そして今度こそ兄さんの肉体美を……」


ユマリ、話の路線を帰るな。そして目が怖いぞ


「じゃあ、この写真立てを人数分と……うむ、このクッキーにしよう。ミナトの好物だからな」


「えっそんな悪いよ、結構値が張るから私達が自分で……」


「ビーチに招いてもらった礼だ、ユマリの分はいつも家事を手伝ってくれてる礼だ。ありがたく思えよ」


僕は皆んなの意見を最後まで聞かず写真立てとミナトへのお土産を手にして、カウンターに向かった。

誰も止めて来ないと言う事は反対ではないという意味だろう。仮に反対されたとしても、これは自分の物にすれば良い。


「ありがとうございましたぁ!」


多めに持って来ておいて良かった、みぃ姉の言う通り流石にいい値段になった。


「ほら、振り回して落とすなよ」


「こどもじゃないんだからそんな事しないよぉ……ありがと♪」


「ありがとう、リュウイチ!大切にするわね」


「我が家の家宝にするわ、兄さんが買ってくれたものは全部宝物だもの」


大袈裟だな。

まあ、せっかく僕が買ってやったんだから大切にしてもらわないと損だ。


「さあ、土産も買い終わった事だし帰るか」


僕達は駐車場まで歩き始めた。




ーー数十分後、車内ーー




僕は信号待ちをしている僅かな間にバックミラーと助手席をチラりと確認する……三人ともぐっすり眠っている。そんなに全力ではしゃいでたのだろうか、それともモンスターとの戦闘で疲れたのか……


「ん……りゅうくんの海パンばーじょん……」


どんな夢見てやがるんだサツキは……寝言にしてもおかしいだろう


信号が変わり、車を発進させる。もうそろそろ家に到着するが、起こすべきだろうか?


……


もう少し寝かせておくか、起こしたら起こしたでやかましいだろうし。

今回はトラブルに遭ってあまりゆっくり楽しめなかったが、次回行くときは少しはマシな日を過ごせれば良いな。


と、思ってる内に到着した。案外早かったな


「お前たち、着いたぞ。さっさと起きろ」


……全然起きないし


「おい、みぃ姉!家に着いたぞ、起きろー」


「ん……兄さん、おはよう。運転ありがとう」


ユマリが起きるのかよ!僕はみぃ姉を揺すって声をかけてるのに、しかもみぃ姉は寝ぼけて僕にしがみついて来たし……


「ふぁ〜……あ、おはよ〜りゅうくん……なんかりゅうくんが運転するとついウトウトしちゃって……」


ウトウトどころじゃなく熟睡してたぞ、そもそもなんでサツキが起きるだよ。変なところで気配に敏感なんだな、こいつらは……


「みぃ姉!寝ぼけてないでさっさと起きろ、家に着いたぞ!」


「んんっ……!リュウイチの手あたたかぁい……」


やめろ恥ずかしい!


「お、おい!いい加減起きろって!ミツキ!」


「……んー……ふぁー……リュウイチ……?おはよう……ごめんなさい、ウトウトしちゃって……」


姉妹揃って似たような事言いやがって、ウトウトじゃなく熟睡だっての!


「まったく……サツキ、ガレージ開けてくれ」


「は〜い!」


僕は寝ぼけてまなこのみぃ姉を手で揺らしながら僕は車をアサギリ家のガレージへと停車させ、僕を合わせ全員が外へと出る。


「兄さん、運転お疲れ様」


「お疲れ様りゅうくん!また今度タイヨウビーチに行こうね!」


「リュウイチ、次回は私が運転しましょうか?」


「いや、女に運転させるのはあまり好きじゃないと言ったろ、だから次も僕が運転してやる」



……こいつらとまた海でお遊びか



……まあ、たまにはそういう日があっても良いか……悪くない。





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