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9/10

9 合体

このお話は魔王視点です

 くそう。

 なんて強さなんだ。

 まったく歯が立たない。


 予はみっともなく地に這いつくばり、ゲホォと血反吐を吐き散らかしている。


 ジジィが「弱ぇぞ! もっと本気を出せ」とか好き勝手ほざきながら、ドカドカ蹴りまくってくる。


 65535もあったHPも、あとわずかになっている。


 なぜだ!?

 どうして?


 何やら勇者の額に炎の紋章が浮き出てきてから、この逆転劇が起きている。

 覚醒した勇者が強いのなら、辛うじてまだ理解できる。

 奇跡の力で凄いことが起きているというのなら、まだ納得がいく。

 

 なのに、何故だ?

 どうしてモブキャラのじじぃが、勇者を差し置いてこんなに強いのだ!?



「弱ぇぞ! なんたる弱さだ!」と言いながら、蹴りまくってくる。

 奴の軽い蹴りだけでHPが500も削られた。


 げぼはっ。


「お、おい、魔王……」

「だ、誰だ?」


「私は死神だ」

「し、死神……? どこにいる?」


「我々の会話が、モブジジィに聞かれたらまずい。だから私はお前の脳に直接語り掛けている。私の事は、この世界の管理者と思ってもらったらいい。今、お前に死なれたら、色々と困るんだよ」

「んなことを言われても……。モブのジジィ。あいつはどうなっているんだ? 強すぎるじゃねぇか! 管理者だったら理由を教えろよ」


「すまない。私は誤ってゲームの達人を召喚してしまったみたいなんだ」

「は? なんだ、それは?」


「この世界を狂わせるのは勇者や賢者ではない。ゲームの達人だ。我々はゲームの達人が番狂わせをすることを学んだ」

「我々?」


「裏方のことは気にしなくていいから。それよりか、よく聞いてくれ、魔王。私には、とっておきの秘策がある」

「早く教えろ!」


「合体だ!」

「は?」


「私と合体するのだ。私は管理者、お前はラスボス。この二人が融合することで、圧倒的な強さを手に入れることができる」

「……奴に勝てるのか? だがお前と合体すると俺の精神はどうなる?」


「分からない。統合されるのか、一人の中に二つの意思が生まれるのか……。これは本来ヴェネザードクエスト2で実装される機能だから、まだ詳しく発表されていないのだ」

「いいのか? それはまだお披露目したらダメな技術なんだろ? ヴェネザードクエスト2を予約した子供たちが悲しまないか?」


「その前に我々がモブキャラにやられたら、前作の冒険すら始まらず、勇者をプレイしている良い子のみんなは怒り出すぞ!」

「良い子のみんながブチ切れたらどうなるんだ!」


「売上が伸びず、アマゾンとかに酷評されて、ヴェネザードクエスト2の発売は中止になる」

「なんだと? それはかなりヤバイことなんじゃないのか?」


「そうだ。発売中止ということは、すなわち我々にとって世界の滅亡を意味する」

「そうか……。あのモブのジジィこそ、諸悪の根源か」


「そうだ。魔王。我々はヴェネザードクエスト2を良い子のみんなに届けるためにも、モブジジィを葬らなくてはならない。そのためには……」



 モブジジィは「とどめだ! くたばりやがれ!」と叫んで、両手に強大な魔法弾を生成した。

 あれを浴びればひとたまりもないだろう。

 予に選択肢はなくなった。



「あんたと合体するしかないというのだろ? 分かったぜ。死神」


「魔王よ、今こそ、合体だ!」

「おう! 死神!」


 その声と同時に、予は強大な光に包まれた。


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