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8 覚醒

今回のお話は勇者視点です

 師匠がすごいのは知っていたけど……

 ガチの師匠はこんなに強かったんだ……


 ぼくの頭上で師匠と魔王が死闘を繰り広げています。

 といっても、ほとんど目視できません。

 たまにカチッカチッと火花が見えるだけです。

 

 どうも師匠の息が上がってきているように見えます。

 それに師匠の体にはところどころかすり傷ができているのに、魔王はまったくの無傷。

 

 師匠が押されている……

 

 ボクの全身は硬質化し、身動きひとつ取れません。

 こんな時にまったく役に立たないなんて悔しい。

 

 

 その時でした。

 師匠が派手に地上に叩きつけられました。

 


「ジジィ! これで終わりだ! 地上もろとも消滅させてやるわ!」


 魔王は両手を空に向け、巨大な魔法陣を呼び出しました。

 魔王の頭上で、魔法弾はすごい勢いで肥大化していきます。



「師匠、逃げてください。あんなのをくらったら、師匠が……」


 師匠はチラリとぼくの方を振り返った。

 師匠は笑っていた。

 まるでぼくをかばうかのように両手を広げている。


 師匠、どうするつもりなんですか?


 魔法弾が師匠の前で炸裂した。

 師匠がゆっくりと崩れていく。



 し、師匠おおおおおおおおおおぉぉぉぉーーーーーーーーーー!!


 ゆ、ゆるさんぞ、魔王!



 その時でした。

 どうしたのだろう。

 弾けるような熱い血が全身を駆け巡っていく……。

 そして額に熱いものを感じる。

 その時だった。

 全身を覆っていたミスリルが、弾け飛んだ。


 魔王はぼくの異変に気付いたようだ。


「な、何ぃ! 自らの力だけでミスリルガードを粉砕するとは? そ、それに、その額に浮き出た炎の紋章は……」

 

「魔王よ、よくも師匠を……」


 ぼくは剣に、すべてのエネルギーを込めた。


「ヴァルドクラッシュ!!」


 剣から発するエネルギー弾が、魔王の額をかすめた。

 一筋の青い血が流れている。

 魔王はそれを触る。


「お、おのれ……、小僧! この俺の体に傷をつけるとは……。もはやゆるさんぞ! 肉片ひとつ残さん」



 同時に目の前に大きな穴ができた。

 そこから師匠とまったく同じ姿をした人が飛び出してきた。



「よっしゃ! イベント達成」



 え?

 ぼくの前に倒れている師匠は、いったい??

 それは徐々に消えていく。


「あ、これ。忍者スキルの分身の術」


「師匠、えーと、ぼく、今、なんかすごい力がみなぎっているみたいだけど??」


「うん、勇者の力に覚醒したから、いい感じの熱い気分になっているんだよ。勇者よ、もう用がないから、下がっていいよ。危ないからね」


「えーと。なんかぼく、強くなったみたいですが?」


「今の強さだと、わりと苦労するよ。いいから下がった、下がった。イベント的には、もう君には用はないし、ここからは、わし一人で大丈夫だから」



 そう言うと師匠は、魔王に向かって飛び上がっていった。

 師匠のパンチを浴びて、魔王が吹き飛ぶ。


「おっしゃ! イベントの壁さえなければ、お前なんてただの雑魚だ! くらいやがれ」


 師匠は一方的に魔王をボコボコにしている。


「……な、なにぃ!? 今まで実力を隠していたのか?」


「さっきもわりと本気だったけど、イベントが邪魔してね。おらおらおら、弱いぞ! 弱過ぎるぞ! なんたる弱さだ。もっと本気を出せよ!」


「ぐあぁあああああああ!!」



「もう、やめてあげて。お願いだよー」


 誰だ、あなた?

 緑色の髪をした少女が、師匠に向かって叫んでいる。



「誰が辞めるか!!!」



 師匠は魔王をフルボッコにしている。


 あ、師匠が魔王を倒しちゃった……

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