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7 俺の実力

 周りには無数のモンスターの群れが牙を抜いて、今にも襲い掛かろうとしている。



 俺は勇者に手をかざした。


「し、師匠。何を!?」


「これはミスリルガードという高等防御魔法だ。いかなる攻撃からもミスリルの表皮がお前を守ってくれる。ただし身動きはできないが」


 勇者はミスリルへと変化していく。



「し、師匠! 一人で戦うなんて無茶だ」



 いや。

 大丈夫なの。

 余裕で。



「さて、まずは雑魚モンスター共からだ」


 剣を抜き、虚空を斬りつける。


「戦士の上級奥義、回転列斬!」


 一瞬でモンスターの群れは四散する。

 俺は上空を見上げた。


「残るは魔王だけだな。一撃でケリをつけてやる」

「何をこしゃくな」



 俺は剣先を魔王に向け詠唱する。

 狩人スキル乱れ射ちに、賢者スキル二十詠唱を被せ、魔導士スキルファイナルディスネーション改2をぶっ放した。

 

 強烈な青い弾丸が魔王に向かう。

 

 これの破壊力は、999(俺の魔力) × 999(ファイナルディスティネーション改2の破壊力) × 2(二十詠唱) × 4(乱れ打ち)= 7,984,008

 

 魔王のHPは65535

 魔王防御を差し引いても、瞬殺だ。

 一瞬でチリとなり地上から跡形もなく消え去るだろう。


「や、やめろーー!」 ← 魔王&死神



約800万の破壊力が魔王に激突した。



 あばよ、魔王。

 まぁまぁ、楽しかったぜ。


 だが。

 砂塵が消えたその場所には、黒い影があった。

 

 ま、まさか。



「ククク。あはははは!!!」


 死神が高らかに笑っている。


「ど、どうなんているんだ!?」


「クフフ。そうそう、忘れていたよ。これこそイベントの力だ。勇者覚醒イベントをちゃんと見ないと、次に進めない設定なのさ」


 そう言えば聞いたことがある。

 ゲームによっては、一定に条件をクリアしないと次へ進めないものがある。

 条件を達成しなければ、敵のHPが∞になる等の設定が施されている。

 伝説のクソゲの中には、自国の王に戦いを挑むことができるが、いくらダメージを与えても倒せなかったりする。


 もしかして、奴もそうなのか!?



 俺は再度、連携技を放つ、放つ、ぶっ放つ!

 折角、結婚したんだ!

 死んでたまるか!

「おらおらおらおら、くらいやがれー!!」


 頭上で最終戦争並みの爆裂が起きた。


 どうだ。

 さすがに少しは堪えただろ?

 少しでもいい。

 僅かな傷を与えることができたら、そこから突破口を見つけ、俺は絶対に生き残ってやる!

 待ってろよ! リーザにタロウ。



 そして砂塵は消える。



 だが。



 魔王はまったくの無傷だ。



 死神は大笑いしながら続けた。


「キャハハハ! そもそもこの世界はお前にとって最初から完全なるムリゲーなんだよ。結構頑張ったみたいだけど、次へ進むには、お前がちゃんと死んでその怒りで勇者を覚醒させるしかないんだよ、バーカ、バーカ、ざまーみろ!」



 くそう。

 逃げるしかないのか?

 俺は身動きの取れない勇者を見捨てて、逃げようとした。

 だが、少し走ったところで見えない壁にぶつかり転倒した。

 


「知らなかったの? 魔王からは逃げられないんだよ、バーカ。お前はすこし鍛えているみたいだからなかなか死なないかもしれないかもしれないけど、徐々に弱っていっていずれ死ぬ。そうしたら勇者が覚醒してすべてハッピー! やった、やった!」



 俺は頭上を見上げた。

 魔王が口角を吊り上げ、ニタリと笑っている。



 なるほど。

 マジでやばいようだぜ。

 だけどクソ面白ぇ。

 ようやく見せてやることができそうだぜ。

 プロゲーマーを目指す者の意地ってやつを。

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