2 死までのカウントダウン
レベル:21
クラス:ソードマスター
HP:128
MP:0
腕力:98
守備力:41
俊敏さ:42
うんのよさ:1
それが転生先の俺のステータスだった。
いきなりそこそこ強いじゃないか。
「死神、どうして俺はいきなりここまで強いんだ? ビップ対応か?」
「はい。特別対応です。最期にあなたのお名前をお伝えします。ヴァルドです」
「ヴァルドか。なかなか勇ましい名だ……。え、ヴァルド???」
「やっと役者が揃いましたわ。では、これより始めます。さようなら」
ヴァルドってのは、たしか勇者の最初の師匠で、幼き勇者を守るために、序盤で死ぬあのモブキャラ老剣士じゃねぇか。
折角転生したのに、じじぃからリスタートか??
「ま、待てよ!」
気付いた時には、死神はどこにもいなかった。
やられた!
どうしたらいい?
俺は勇者を守るためだけに死ぬという、渋いモブキャラに転生してしまったようだ。
「ヴァルドさま! ここにいらっしゃったのですか?」
緑色の長い髪をした幼女がいる。
もちろん俺は彼女のことを知っている。
この先の未来もだ。
彼女はエルフのリーザ。
アルバーン聖戦の時、村を滅ぼされ、まだ赤子だったリーザを、ヴァルド爺さんが引き取って育てていることになっている。
そして後半は、弓の名手へと仕上がる。
そして俺が命がけで守って生き延びた勇者様のハーレムその3辺りに落ち着くというポジショニングだ。
人気投票で3位だったからネット界隈でついたあだ名はハーレムその3だが、俺はリーザが一番好みだ。
こんな可愛い子と勇者はやっちゃうのか!
許せん、勇者め!
「どうされたのですか、ヴァルドさま? 今日も弓の稽古をしていただけませんでしょうか?」
「あ、うん」