第八章 - 最高の世界
なんせ弱点が人と日光。弱点が引きこもりと同じなのだ。
つまりラスボスである『ログアウト』は雑魚キャラだったわけだ。
俺達はすぐにラスボスを倒す準備をする。
そしていつも通り作戦会議を始めた。
-この夢世界における最後の作戦会議
「ユキ、『ログアウト』倒すとどうなるんだ?」
「推測ですがこの世界にあるバグが修正されるかもしれません。つまり・・・」
ユキはそれから何も答えなかった。言わずとも俺もなんとなく察してはいた。
だけど俺は現実世界に戻らないと―待てよ・・・俺は現実世界に戻ってどうするんだ?
俺は混乱した。もうこれまでに無いくらい。なにより現実世界よりこの夢世界の方が楽しかったし現実世界に戻ったところで彼女や親友が待っているわけでもない。
『もうこの世界にとどまろうか』という考えが俺の頭を横切った。
俺が難しい顔をして考えていると―
「お兄ちゃんは絶対に元の世界に戻らないといけないよ!だってお兄ちゃんは世界を救う『英雄』なんだよ?元の世界もちゃんと救わなきゃ!」
俺はその言葉を聞いて決心した。『ログアウト』を倒すことを―
『ログアウト』を倒す作戦は至ってシンプル。
『ログアウト』がいる城。通称エターナルキャッスル、不滅の城という意味だ。
まず俺達がエターナルキャッスルに乗り込み『天気を自由に変える』魔法(仮)の日光で『ログアウト』を弱らせる後は城下町の人が乗り込むだけ。至ってシンプルなのだが問題が一つある。
それは城下町の人たちが手伝ってくれるかどうかだ。これにより成功か失敗か大きく左右する。
俺達はまず城下町の広場に人を集めた。そして―
「俺達は今日!エターナルキャッスルに乗り込み『ログアウト』を倒そうと思っている」
反応はイマイチだった。「そんなことできるわけないだろ」とか「俺達を巻き込む気か?」などという者が多数現れた。コミュ力のない俺はそうすることもできなかった。
しかし次の瞬間―
「お前達はあのまま好き勝手やらせていいのか?人類を守ろうとはしないのか?」
そう言ったのは何とユキだった。
「十歳の少女が戦おうとしているのに怖気づくのか!」
ユキがそう叫んだ瞬間―
「負けてられるか!俺だって戦えるんだ!」そういったのはあの時の服屋のおっさんだった。
それに連なり広場の者が全員便乗し始めた。
服屋のおっさんによりユキの演説は成功した。
俺達は作戦を城下町中の人に伝え作戦を決行した。
―最終作戦【『ログアウト』を討伐!!】
数日前に俺達がアルカディア周辺のバグを無双したためかバグには会わずエターナルキャッスルに着いた。俺達は慎重かつ素早く城へと乗り込んだ。
城内を回っているが誰もいなく置手紙だけが残されていた。
置手紙にはこう書かれてあった。
【ログアウトできないバグはこちらから修正できたらしくて修正しておきました。なので具現化したバグも消えたと思われます byマスター】
「おい。これはどういうことだユキ?」
─ピロンッ、と。
ユキのスマホから着信メールの音が鳴る。
「あ、マスターからの連絡です。『悪い悪い、ついバグを修正したことを伝えるのを忘れてた』だそうです」
俺はこの連絡を聞いて怒りを通り越して今までに無いくらい呆れた。
ここにくる途中もバグと出会わなかったのは無双していたからではなく修正されたため勝手に消えたというわけだった。
ここは感動のハッピーエンドでいいだろ。なんで最後でコケるんだよ。
ツッコミどころは山ほどあったが一つわけがわからない疑念があった。
「でもなんでなの達はそのままなんだ?NPCに戻るはずだろ?」
「それはマスターがNPC全員に人工知能を搭載したかららしいです」
やはりこの世界は身勝手だラスボスを倒しに来たら倒されてましたってどういう『終わり』だよ!
俺は呆れながらもユキとなのに少しの別れを告げた。
この数日は今までに無いくらい理不尽でどうしようもない呆れる日々だった。
でも最高に楽しかった!俺はそんなことを感じながら叫んだ。
『ログアウト』と―
最後までお読みいただきありがとうございました。
いつかはまだ決まってませんがこれの番外編や続編なども書き上げていこうと思っているので応援よろしくお願いします。お気軽にご意見・ご感想を書いてくださると幸いです。