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第一章 ─ 謎のメール

 悪魔の叫び声のような音で俺の安眠を邪魔する忌まわしき目覚まし時計。


丈槍 優 私立初瀬ヶ丘学院高等学校1年生。

 そして今日は高校の入学式。

だから何があっても遅刻だけは避けたい。


 そう、あれは中学の入学式・・・

入学式に大遅刻という漫画やアニメのような黒歴史を持っているのだ。

 以来、同級生にはあの忌まわしき黒歴史について何度も冷やかされた。

(うぐっ、何度思い返しても恥ずかしい・・・)


「だぁー!こんな黒歴史に浸ってる暇はない!」

「忘れろ忘れろ忘れろ・・・よし!」


 あの黒歴史を二度と繰り返さないように俺は一時間も早く家を出た。

初瀬ヶ丘学院は家から15㎞程度だった為自電車で通学することにしていた。

 坂も少なく距離も遠くない、自転車通学にとってはありがたい土地だった。

(まぁこの高校に入った理由が家から一番近かったって理由なんだけど)

 一時間も早く家を出た俺は余裕に学校に着いた。


「えーっと俺の教室は─ 1年4組か」


 教室に入ると意外にも人がいた。

グループでわいわいやっている中にスーッと入り話に参加すればいいこと。

そんなことを考えながら席に座った。


「あのさ─」


 後ろの席の男子に声を掛けられていた。

あまりにもいきなりだった為俺はビクッと驚いた。

どんな人かと思いながら後ろを振り返ると俺とは比べ物にならないくらいイケメンだった。

 いや、正確に言うとイケメンというより美男子という言葉が似合いそうな男子だ。


「どうしたの?」


 気持ち悪いくらいの笑顔で返事をした。


「特に用事ってことはないんだけど席が近かったから挨拶したくて」


 なんという笑顔だ!俺の気持ち悪い笑顔の数百倍、いや数千倍の笑顔だ。

しかも席が近いというだけで俺みたいなやつに話しかけてくれるなんて―


そう―あれは中学の入学式に大遅刻という黒歴史のせいでぼっちという黒歴史で上塗りしていたからな


「僕の名前は小岩井 響。よろしくね!」

「小岩井か─俺の名前は丈槍 優だ。よろしくな」

「よろしくね!丈槍君」


 可愛い!!小岩井が俺のヒロインなのかもしれない・・・

こんな話をしているといつの間にか教室には人が集まっていた。


 大体のやつが俺と小岩井みたいに席の近く同士でたわいもない世間話をしているのが目に入る。

俺も小岩井との話に戻ろうとしたとき─


「おーい!そろそろ入学式が始まるから体育館に移動しろー」

低い声で俺たちを呼んだのは学年主任らしき人だった。


「あ、そろそろ移動だね。僕と話してくれてありがとね丈槍君」

「小岩井こそ話しかけてくれてありがとな!」


 やっぱり小岩井みたいなのはリア充だったんだろうな・・・

小岩井を羨みながら俺達はずらずらと並び体育館へ向かった。


 何一つ言いようがないテンプレ入学式を終え俺達は狂った宗教のようにまたずらずらと並び教室へと戻って行った。


 教室に戻ると俺達のクラスの担任らしき人が立っていた。

新任教師と言わんばかりの若々しい教師だった。


「優しそうな先生でよかったね」


 小岩井が後ろから囁いてきた。

あー小岩井が女子だったらよかったのになー。あいつが女子だったら俺、絶対勝ち組だったのに。

そんな妄想をしながら俺は担任にばれないようにコクリとうなずいた。


 ホームルームも終わり俺は帰ろうとしていた。

話しかけてくれた小岩井も用事があるとかで一緒に帰れず結局のところぼっち帰りになってしまった。


「ただいまー」


 俺は自分の部屋に入り特にやることも無くいつものようにスマホをいじっていた。


─ピロンッ、と。

スマホから着信メールの音が鳴る。


「なんだ?」


 中学時代。誰ともアドレス交換しなかった俺は―いや、できなかった俺は違和感に思いメールを開いた。


【新着一件─件名:無題】


「は?いたずらメールか?」

 しかし念のため見ておくと本文にはこう書かれていた。


【君は現実では不幸だ。そんな不幸な君にプレゼント】


本文にはこれだけ書かれその下にプレゼントアイコンが貼られていた。


「不幸?馬鹿にしてるのか?どうせウイルスか何かでも入っているんだろ!」

 答えるはずもないスマホに語り掛けた。

とは言ったものの『不幸』というストレートなとこを突かれ、もしかしたらという希望と好奇心もあった。


 俺は入学初日にぼっち帰りというまさにぼっちまっしぐらだった為、少しばかり病んでいた。

その為か冷静な思考があまりなく好奇心が勝ってしまった。


 そしてセキュリティアプリを走らせ慎重にアイコンをタップした。


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