短編小説二つ詰め
・I love you .・
「星が綺麗ね。」
「あ? 星? おー! 本当だ。
今日は晴れててよく見えるなぁ。」
「……うん。」
「でも、俺は月も綺麗だと思うよ。」
「……何 言ってるの。
月って本当はクレーターでボコボコしてるんだよ。」
「それでも、俺は月が綺麗だと思うけど?」
「……馬鹿じゃないの。」
女子は静かに涙を零した。
・仮面・
今日も演じ、そして笑う。
苦しい。イラつく。ふざけんな。
消えちゃえ。
そんな言葉も全部、全部、飲み込んで。
仮面を付けて今日も過ごす。
学校でも。
「いいよ、私やっておくね!」
自分でやればいいじゃん。
「えー、すごーい!」
すごくないよ、基本だよそんなの。
「ごめん……、私が悪いの。」
どう考えても悪いのあっちでしょ。
……なんて、仮面の笑顔を見せている。
この仮面に皆は気付かないのだから、滑稽だ。
苦しくても我慢、辛くても我慢。
我慢、我慢、我慢。
「我慢ってさぁ、キツいよなぁ。」
……は?
彼は、幼馴染み。昔から一緒。
けど、きっと君も気付いてないんでしょ。
「お面もさ、たまに輪郭にくっついて苦しくなるしな。」
何が言いたいのよ。
私の目から塩水が流れ出す。
「だからさ、ちょっとくらい仮面とったって良いんだぜ?」
苦しかったろ、と私の仮面をぽろっと外す君。
そんな君の素の笑顔は、太陽のように眩しかった。