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エピローグ
季節はめぐる。
それから、どうなったのかって?
雪がふっていた。ぼくは、外を見ていたんだ。早く、だれか帰ってこないかと思って。
そのときに見たんだ。雪明かりの下、彼女が、男の人とおどっているのを。風の音が、いつのまにか音楽に変わっていた。
音楽が終わると、男の人は鹿の姿になった。彼女は、鹿を抱き寄せると、またがって、夜の中を駆けていったんだ。
うそじゃないよ、冬はふしぎなことがたくさん起きる季節だもの。
ほら見てごらん、そのときの絵だよ。ヘタだって? ごめんよ、ママとちがって、うまくないんだ。料理もだめだって? そうだね、ママは世界一だ。
だから、ゆっくりおやすみ。ママはきっとだいじょうぶ。目が覚めたら会いに行こう。きみの弟か妹もきっとだいじょうぶだよ。
だって、冬だからね。奇跡のひとつやふたつあったって、おかしくも何ともないだろう?
【おしまい】