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逃走?怒号?

こつこつという革靴の足音を響かせ、ぐねぐねと入り組んだ路地を駆けていく二人。

かなりのスピードで走っているにも関わらず、2人の息は切れておらず、後ろから追ってくる男性達の様子を伺いながら一定の距離を保って走り続けている。


「あの人達頑張ってるねー、もう少し急いでも着いてくるかな?」

「……やめてやれ、今でももう限界だぞアレ。」

「着く頃には何もしなくても倒れてそうだよね、諦めればいいのにさー。」

「よっぽど金になるか役に立つとでも思われてるんじゃないか、それなら随分と高評価だな。」

「うわ全然嬉しくない。」

「同感だ。」


未だ息を切らせずに軽い足取りで路地を駆けていく2人を、男性達はぜいぜいと息を切らせながらも追い続けるのだった。







「……あっと、次の角左で、到着だよ。」


ネフィアの言葉にふうと息を吐き、ベリアは速度を緩める。


「やっとか、結構走ったな。」

「まあしょうがないよ、この辺りに袋小路ってそこしかないし、ていうか五分くらいしか走ってないじゃん。」

「……。」


無言ですっと後ろを指差すベリアに、ネフィアがなにさと視線を向けると、先ほどまで8人程いた男性達の数は、いつの間にかその半分の四人にまで減っている。


「……。」

「……何か言うことは?」

「……ほら、最近の男の人って体力ないって言うじゃん?」

「……。」

「……あ、あー。ここ左!」

「お前なあ……。」


後ろの男性達にちらりと視線をやり、数人減っているとはいえしっかりとついてきている事を確認し、ネフィアに指差された先の角を曲がると、そこにいたのは。


「ああ、そういう。」

「ね、面倒くさいでしょ。」


先ほどの男性達と似たような風貌の、袋小路に屯する十人程の男性達の姿だった。

男性達は皆が皆二人の闖入者の方へと視線を向けており、あまりにも場違いなその容姿に、怪訝な表情で様子を伺っているようだ。


「で、どうするの?」

「どうしようか、あちらの出方によるかな。」

「もう決まってるでしょ。」

「……まあ、十割方決まっているが。」

「ほらほら先手必勝って言うじゃん、何人か減らしとこうよ。」

「……お前よく私に「程々にー」とか言えたな。」

「それはまた別のおはなしー、ほら進めベリアー。」

「しかも私がやるのか……。」


世間話をしているかのような態度で袋小路の中程まで進む二人。

そんな様子を伺っていた男性達に、二人の後ろから声がかかる。


「お、おい、お前ら!その二人捕まえ……捕まえろ!」


やっとの思いで追いつき、肩で大きく息をする大柄の男性が、ぜいぜいと息を荒げながら二人を指差し叫ぶ。


「あ、やっときた。」

「いや結構早かったんじゃないか、ご苦労な事だな。」


この状況で依然として何事もないかのように振る舞う二人に、大柄の男性は荒い息をつきながら声を荒げる。


「澄ましてんじゃねえぞ!手こずらせやがって……!」

「てこずらせやがって、いかにも悪役の台詞って感じだよな。」

「あ、それわかる。それも噛ませ犬とか下っ端の方でしょ。」

「やられ役の台詞だな。」

「最初に死ぬ感じのね。」

「てっ、てめえら!ふざけやがって!」


二人の自由な物言いに青筋を立てながら叫びながら向かってくる大柄の男性に、ベリアはこきこきと指を鳴らし。


「まあ、こっちの方が手っ取り早い。」


片手で素早く男性をいなし足を払い、そのままの勢いでくるりと身体を横に回すと、体勢を崩し前のめりに倒れ込む男性の顎を、回転の勢いを乗せた左肘で鋭く打ち抜いた。

すぱあんという乾いた音が周囲に響き、勢いを無くして地面に倒れ込む男性の姿に、辺りはしいんとした静寂に包まれる。

一体何が起こったのかと目の前の状況に目を丸くして立ち尽くす男性達に、ベリアが口を開いた。


「面倒臭い、纏めて来い。」


その言葉を皮切りに状況を理解出来ていなかった男性達が、一斉に二人へと殺到するように向かって来るのを。


「だから減らしておけばよかったのに。」


ベリアの後ろを守るように陣取りながら、ネフィアは悪態をつくのだった。


台風こわい

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