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うそをおりまぜ

「お話お伺いしても?」


いつもの様に談笑を交わしながら上機嫌で歩いていた男達の、目の前に立ち塞がるメイド服の見目麗しい女性に、彼らは目を丸くしながら立ち止まる。

柔和な表情を男達に向けてはいるが、どこか冷たい雰囲気を纏わせているようだ。

怪訝な表情で様子を伺う彼らに、女性は言葉を続ける。


「ああ、そう硬くならないで下さい。」

「最近この辺りで数人の男性による物盗りの被害が出ているようでしてね。」

「その事について何かご存知ないかとお声をかけさせて頂いたのですが……。」


目を閉じあでやかに微笑む女性に男達はちらりと目配せをし、先頭に居た大柄な男が一歩踏み出し口を開く。


「それは物騒な話だな、俺たちも気をつけるよ。」

「……所であんた、そんな場所で女一人とは心許ないだろう。どうだ、俺たちでよければついて行くが。」


そう言ってもう一歩踏み出す男性に、女性は一歩後ずさりスカートの裾をつまみ小さく微笑んだ。


「いえ、心配はご無用です。お気遣いに感謝致します。」

「それではお手間取らせてしまい申し訳ありませんでした、失礼致します。」


そう言うと女性はくるりと踵を返しかつかつと、来た道を足早に引き返して行く。

その優雅な後ろ姿を無言で見送っていた大柄な男が、男達へと向かい合い顎をくいと向ける。


「いいな、次はあれにするか。」


大柄な男性の言葉に、彼らは口の端を獰猛に吊り上げ笑うのだった。







「あ、おかえりー。……何、もしかして本当に聞き込みにでも行っただけなの。」


視界の少し遠くに映る男性達を眺めながら眉を潜めるネフィアに、ベリアはそんな馬鹿な、と応える。


「“可能なら現行犯で”だそうだ。全く面倒臭い。」

「……じゃあ何しに行ってたのさ、全然意味なかったんじゃない。」

「ちょっとした挑発だよ、襲いかかって来るようならその場で叩き伏せて終わりだったんだけれどな。」


回りくどいのは面倒だなとため息を吐くベリアに、ネフィアも呆れた様に溜め息を吐いた。


「ベリアはそういう所直した方がいいと思うなあ……。」

「……一応言っておくがこれは依頼者に直々に言われた事だからな。」

「あ、そうなの?……てっきりベリアがまた勝手な事してるのかと思っちゃった。」

「……お前なあ。」

「ほら、日頃の行いの~って言うじゃん。」

「私は戦闘狂か何かなのか……。」

「間違ってはないよね。……それよりアレどうするの?さっきからずーっとこっち見てるけど。」


ネフィアの言葉通り、視線の少し先の方では先ほどの男達が、さり気なく二人の様子を伺っている。


「何というか露骨だな。」

「まあ端から見れば可憐でか弱そうな美少女とメイド一人だからね、そりゃ油断もするんじゃない?」

「……まあ仕掛けてくるなら好都合だが。」

「あ、スルーは良くないよね……あいたっ、叩かれたーあ……。」

「……はあ、とりあえず移動するか、この辺りで袋小路になってる場所はあるか?」

「あー、まあ一応。」

「一応ってどういう事だ……、まあそれなら話は早い、案内してくれるか?」

「気乗りしないなあ、先に言っておくけど後々面倒くさいから程々にしてよね。」

「……お前は一体どういう目で私を見てるんだ。」


頭をかくベリアに、ネフィアは半分冗談だってとベンチから跳ね降り、こっちだよと手招きしながら路地の更に奥へ奥へと軽快に駆けて行く。


「さて、それじゃあしっかり付いてきてくれよ?」


路地の奥へと向かおうとする二人の姿に、急いでこちらへと向け足を進めて来ている男性達にくるりと背を向け、ベリアはネフィアの後を走って追いかけて行くのだった。


01時に投稿しようとしたら忘れてました

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