表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/17

ぼんやりとまどろみ

「……。」


積み上げられた料理を、ただ黙々と食べ進めているベリア。

とうに限界を迎えた彼女を、どう恨みを晴らしてやろうかというネフィアへの怒りがただただ機械的に手と口を動かす。


「ベリアちゃんは何時見てもいい食べっぷりだねえ!遠慮せずに、たーんとお食べ!」


がちゃんという音と共に更に並べられる料理たち。

長身の筈の彼女の後ろ姿がどこか小さく見えたのは、気のせいだろうか。







「あっ、また散った……。」


一方いち早く食堂を飛び出し広場へと訪れていたネフィアは、暖かな日差しの下、ベンチに腰掛け長閑に過ぎていく時間を1人楽しんでいた。

まだ午前にも関わらず広場には多種多様の屋台や露天が並んでおり、客引きの大きな声が辺りに響き、中央のの噴水周辺では中年の女性達が雑談に花を咲かせていたりと、広場はいつも通りの活気に包まれているようだ。

そんな光景を横目に、ネフィアは目を瞑りベンチへ深くもたれかかると、ぼそりと呟く。


「……ちょっと明るすぎたなあ……。」


そう言うとネフィアはおもむろに立ち上がり、広場から少し離れた住宅地の、影の差す路地へとふらふらと足を進めていく。


「宿に戻ったらベリアに叱られるし……、ああもうめんどうくさいなあ……。」


ふらふらとどこか覚束ない足取りで、ぶつぶつと独り言を呟きながら。

広場から離れるにつれて人の気配が少なくなる路地を、どんどんと進んでいく。


数分程歩いた頃だろうか、広場の喧騒はいつの間にかすっかりと消え、ただ一人歩くネフィアのこつこつという足音だけがこだまする、あまり陽の差さない薄暗い路地へと辿り着いていた。

辺りを一度くるりと見回しふうと一つ大きな溜め息をつくと、ネフィアは日陰にひっそりと置かれた塗装の剥げたベンチへと深く腰掛ける。


「あー……、やっぱりここがいいよね。」

「人の声が聞こえないくらいが……、落ち着く……。」

「……ふぁあ。」


猫のように大きく身体を伸ばして欠伸を一つつき、腰掛けた体勢から横になり目を瞑る。


「こんないい天気の日には、こういう暗い場所でお昼寝するのが一番だよね……。」


いつの間にかどこからか、黒く柔らかい羽毛のクッションのようなものを頭の下に重ね、ネフィアはぽんぽんと頭の乗せ心地を確かめ呟く。


「……お昼寝というか二度寝……?……まあいいや。」

「……いいお天気……。」


風の音と自分の吐息だけが聞こえる薄暗い路地で。

誰に聞かせるでもなく独りごちると、涼しくてどこか心地のよい風に撫でられ、ネフィアはものの数分の内にすやすやと安らかな寝息を立て夢の世界へと落ちていくのだった。


貯めてた分を小出しにしていこうと思ってたら一日に2つ投稿してました、クソァ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ