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僕は遣い魔  作者: コウ
5/7

デカイ屋敷…じゃなくて城ぉ!?

無言で歩くエリス。


魔法少女なんだから、見た事ない動物とか、せめて箒に乗って飛んで欲しかった。


せっかく異世界に来たのに。

もっと度肝を抜かれる事を見たいのに。


ツマンナイです。


そのまま歩く事、約10分。


大きな壁にブチ当たる。


その壁沿いに少し歩くと、バカでかい門。


その向こう側も、ずっと壁しか見えないから、壁が取り囲んでいるのかな。

この門からしか中に入れないみたい。




「でっかい扉だなぁ。」

扉を見上げると首が痛くなる。



「普段は、開きませんよ。」

エリスは、そう言った後


デカイ扉の脇に普通サイズの扉が一つ。

その扉に向かって


「エリスです

開けて頂けますか?」


すぐに扉が開く。


「お一人で出掛けるのは、もうお止め下さい。

皆様、探しておいででしたよ。」

衛兵が困った顔で、中に入れてくれようとしたが、僕がいる事で中に入る時に軽く警戒される。

でもエリスが少し話すと、問題なく中に入れた。


門を抜けると、石畳の道が続いていた。

その両脇には、店が沢山ある。

商店街の様な雰囲気。


店の店主や買い物客らは

「皆さんが、捜しておいででしたよ。」


「今度は、うちにも寄って下さいね。」


「エリス様ぁ、僕にも魔法教えてね。」


「エリス様だ。」


口々にエリスを呼んだり、深々と頭を下げる者もいる。


お嬢様なのか?

よく分からないけど、いい暮らしは出来そうだね。


魔法やら、火トカゲさんとかが、実在する世界から帰れない時点で、ある意味開き直ったから。


元の世界より、ムチャクチャしてやる。

どうなっても僕は、知らん。

いい暮らしするんだぁ。


僕の意識が、更に異世界に飛んでいたが、歩く事は止めずに進んで行くと、大きな(ほり)があり、跳ね橋が降りた状態で架かっている。


「デッカイ屋敷‥‥‥」


‥‥‥


「って、屋敷じゃなくて城だし。」

思わずノリツッコミしちゃいました。


バカみたいに大きくて、白い城は西洋の城やゲームに出てきそうな雰囲気で、凄く綺麗。


「はぁ~~すげぇな。

エリスって、姫様だったんだ。」

僕が感心していると


「姉と弟が、おりますけどね。」

と苦笑いした。


何が、苦笑いの原因か分からないが今の環境には、満足いってない感じがする。

無い物ねだりなんだろね。

贅沢なヤツ。


エリスが門を渡り掛けると


「やっとお戻りになられましたか?

1人で出歩くのは、もうおやめください。

せめて、誰か1人でも警護を‥‥‥」


そこまで言って、やっと僕の存在に気付いたのは、真っ白な髪の‥‥

見るからに『じいや』


「心配かけて、ごめんなさい。」


エリスは、素直に謝ると…

『じいや』は、僕をジロジロ見るのを止めて、アタフタとしながら


「いえ‥‥あの‥‥まぁ、お分かりになられたのなら、よろしいです。

それより、ご一緒されている、その者は、何者ですか?」


明らかに怪しみ、警戒されている。

見た事ないヤツを連れてきたんだから、仕方ないと思う。


どうしたものかとポリポリ額を掻くと、何も言っていないにも関わらず


「そう言う事ですか‥‥

分かりました。

もう、何も申しません。」


と『じいや』は、勝手に納得していた。


何だ?

2人共、話してないのに。

独り言‥‥‥じゃないよな。

って事は、魔法を使って会話したのか?

そうだとしたら、メチャ感じ悪い。


そんな僕の様子に気付かないのか、無言で奥へ歩いて行く。


王道の赤い絨毯が引かれた長い廊下を歩いて行く。


ゲームとは違い、右や左、上に上がったり、下に降りたり、扉に入る事も数回あった。


元々から広い城を、あっちこっちに曲がりながら進んだので何kmも歩いた気がした。


「どこ行くの?」

前をスタスタと歩くエリスに聞いた。


「私の家族を紹介させて下さい。」

僕を見ないで、エリスが答える。


攻め込まれた時に、謁見の間に侵入されにくくする為に、王宮が迷路の様になってるらしいが、はっきり言って飽きた。


そんな時、拓けた場所に出た。

でも前には、街に入った時と同じ位のデカい扉がある。


「エリス様!」

扉の両脇に控えるイカツイ兵士。


エリスが頷くと兵士が扉に手をかけ、ゆっくりと開かれる扉。


奥の部屋も天井も高く、部屋そのものが、だだっ広い。


「うわぁ~、すっげぇなぁ。」

ぐるっと部屋を見渡し、それだけしか言えない。

予想はしていたが、実際に見ると、ビビってしまう景色。


それ程、豪華絢爛な部屋。

その部屋の真正面に一対の椅子があり、誰かが座り、それを取り囲む様に数人が立っている。


「ただいま戻りました。」

数段高い場所にある一対の椅子。

そこに座している男女に跪いて、エリスは言った。


「みなが、心配していたんだぞ。」


「そうですよ。

せめて、1人くらいは護衛をつけなさい。」


そのやり取りをぼんやりと眺める僕。

ある意味、魂抜けてます。


ここまで来て、更に想像通りの王様に女王様。


王は、白髪に白く長い髭を蓄え、強さと威厳を放ち。

王妃は、金色の流れる様な美しい長髪で、上品かつ王より、かなり若く見える。

とにかく優しそうに見えた。


エリスより一歩下がった場所で、自然と片膝を付き、頭を深々と下げた。


「それで、その者は?」

王は、エリスに訪ねる。


「はぃ‥‥

申しにくいのですが‥‥」

口ごもるエリス。


「顔をあげよ。」

王は次には、僕に言ったらしい


ゆっくり顔を上げる。

はは~~。

と言ってしまいそう。


目と目が合う程まで、顔を上げると


「くっ‥‥うっぷっ‥‥」

王の威厳ある表情が崩れ、何だか笑いを堪えているかの様。


「アナタ、失礼で‥‥ぷぷっ。」

王妃も王を諫めようとしたが、明らかに最後は、堪えきれずに笑ったよ。


何っ?

何が可笑しいの?


不思議な顔をしている僕に、傍に控えていた兵士が、美しく磨かれた鏡の様な光沢の盾を僕に突き出した。


盾には、僕が映る。


‥‥‥

んっ?


額に‥‥

何だコレ?


ゴシゴシと擦っても消えない。


額には、何かの文字の様なモノが描かれている。


見たこと無い一文字。


でも火トカゲさんや緑チビの言葉が理解出来た様に、その文字の意味が、何故か理解出来た。


(エリスの)


はぁ?

ふざけてる。

額に所有者の名前を書くなんて、人形か何かと勘違いしてるんじゃないのか?


コイツ大嫌いだぁ。


僕は、エリスを睨む。


それだけで、部屋の兵士達は殺気立ち、明らかな敵意を剥き出しにして、いつでも剣を抜ける姿勢でいる。


やり合っても瞬殺だろうけどムカついたんだし少し位、睨んだっていいだろ?


《おおっ!

コイツら、やる気だなぁ。

俺様が、替わりにヤッてやる。

楽しいぞぉ。》

火トカゲさんは、完全に楽しんで、いらっしゃいます。


舌をペロペロと出したり、引っ込めたり


「やめぃ。」

火トカゲさんの舌が、出入りしている口を掴んで、火を出せない様にした。


《ん~ん~》

何を言ってんのか、分かりません。

でも、これ以上ややこしくなるのは、嫌です。


「王と王妃、並びに私の非礼を心より、お詫び致します。

どうか、お許し下さい。」

突然エリスが、そう言って僕に頭を下げる。

王に下げたより、更に深々と


「ちょっ‥‥止めてくれよ。」

そう言って、慌てて頭を上げさせ様とする。


「私からも、この通りだ。

許してくれ。」

王も玉座から降り、王冠を取って頭を下げる。

それに習い、王妃も頭を下げ、部屋の中にいた兵士全ても、跪いて僕に頭を下げる。


「だぁぁ~もう、いいから、頭を下げるのは、止めてくれぇ。」


ずりぃよなぁ。

あんなに素直に、しかも全員で頭を下げられたら、許すしかないし。


まぁ、謝ってもらえなかったら、泣き寝入りなだけだったけどね。


《人間に頭を下げられるのは、いつも気持ちがいいなぁ。

なぁ?そうだろ?》


他の人には


「ぎゃお、ぎゃあ。」

にしか聞こえない鳴き声で、僕に話し掛ける火トカゲさんは、いつの間にか、超ご機嫌です。

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