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日常2

 ここでの生活も慣れて来た。

 自分が使う施設や部屋に関してはどこにあるかも分かったし、隣人のタナバタ―――佐々原紗々等ささはらささらとも仲良くなれた。

 幸いなことに順位も現状維持で、手術を受ける予定もない。

 上位ランカーである佐々原が訓練を付けてくれているおかげだろう。

 新しい人形乗りがどんどん入ってきて、流れ作業のように手術を受けさせられているが、そういった新参者に負けないくらいの経験知が、ぼくにはあるらしい。

 ゲームの経験値のように目に見えて積み上げられないので実感は湧かなかった。

 ただ、強要された生活でも人間は慣れるもんなんだな、と、これならもっと学生の時に親に扱いてもらえば良かったとも思えるようにもなった。

 実際にされたら怒るんだろうけどな。

 郷原のような他人に言われるよりも、身内の方がずっと腹に立つのはどうしてだろう。

 甘えてるんだろうな、きっと。

 本気で怒っても、本当には嫌われないと。

 高を括っている。

 年相応の子供らしい態度を取っていた思い出が思い返され、嫌な気分に落ち込みそうだった。

 食堂に向かい、食券機に身分証を通す。

 ゲームのポイントから引かれる仕組みだった。

 現金に換金して購入することも可能だが、ポイントの方がずっと安くなる。

 換金率の問題だろう。

 一ポイントが五百円に相当する。

 しかし、人形全損はマイナス百ポイント。

 人形一体が五万円で購入できるとはとても思えない。

 そう考えると、ぼくは祖父への仕送りの為に、損な為替取引をさせられていたのだと呆れてしまう。

 知ったからと言って、止めるつもりもないけれど。

 本日のオススメ定食を二つ、給仕から食券と引き換えに手に取る。

 腹いっぱい食べれば瞼も重くなるだろう。

 眠っている間は何も考えなくていい。

 子供の頃からずっと続けている習慣みたいなものだった。

 満腹感が来る前に、二つ目の膳に手を付けた頃合いだったろうか。

 入り口から見目麗しい白髪の美女が入って来た。

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