7/48
祖父2
寮長から現金書留が渡される。
祖父からだった。
中には前回に送った金額がそのまま入っていた。
同封された手紙には『家業を継げ』の一文のみ。
ぼくが便箋いっぱいに書いた文面に対する返事がこれだ。
送ったかいが無い。
しかし、これでも進歩した方だった。
前は送った手紙がそのまま返ってきていた。
苦笑い。
元々継ぐ気は無かったが、今となってはぼくに選択肢なんてものは無い。
プライベートすら持てるようになるかどうかすら怪しいくらいだ
引き出しを開き、手紙をしまう。
中にはこれまで送った手紙が溢れるほどに詰まっていた。
嘆息。
ぼくもたいがいしつこいが、祖父も相当なものだと思う。
まあ、いよいよとなったら国から避難勧告がされるだろう。
見島に駐屯する空自の哨戒を信じつつ、次に送る手紙の内容を考えることにした。