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救助

 手順を踏まずに戻った為に、脳が人形の尺度で手足を測っている。

 足がもつれて転び、鼻っ柱を打つ。

 鉄の味を感じると同時に、血が地面へ滴り落ちた。

 矯正されていた視界はぼやけ、揺らぎ、焦点が合わない。

 吐きそうだ。

 しかし、慣らしている暇は無い。

 ふらつきながらも何とか部屋を出る。

 壁に手をつきながら、時々転び、人にぶつかり、突き飛ばされ、悪態を吐かれながらも早く速く駆けた。

 アレクシスの部屋の前には護衛だろう米兵が立っていて、ぼくを「誰か」と誰何する。

 幸いなことに日本語だった。

「イクト二曹と言います。ゲームプレイ中にコーラー技術技官殿がパニックを起こしました。ゲームを中断する為に入室の許可を願います」

 その言葉を訝しげに思った様子だったが、ぼくの名前をアレクシスから聞いていたのだろう。

 部屋から離れて待つように言い、疑い半分に扉を開ける。

 アレクシスの泣き叫ぶ声が廊下に響き渡った。

 米兵は慌てふためいて中へ駆け込む。

「二曹! これはどうやって止めればいい!?」

 それを入室してもいいという意味に取り、アレクシスが使う筐体の側へと寄る。

 狼狽える米兵を横に退かし、筐体内に入り、中断ボタンを押した。

 右腕を抱え込み、泣きじゃくる幼児のように丸くなっていたアレクシスの体がびくりと跳ね、弛緩し、その体をシートへと倒す。

「中央の一番大きな建物に医務室があります。内線番号はヒトヒトヒトキュウ」

 そうして米兵が部屋に備え付けられた電話へ飛びついたのを見、アレクシスの体を筐体の外へと出してベッドに寝かせる。

 次いでぼくは筐体の中に潜り込み、BMIを被ってゲームを再起動させた。

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