祖父3
防衛ミッションから一年。
短いのだろうか長いのだろうか。
祖父と過ごした一年は短かった気がする。
かなぎ漁は本当に楽しかった。
水中レンズ越しに見る海水はとても色鮮やかで、一日中見ていても飽きない。
ぼくは祖父と毎日のように海へと出かけ、魚や貝を獲ったものだった。
うん。
今までにないくらいにポイントを貯めて、祖父に直接、会いに行ける許可をもらえるか交渉してみよう。
監視付でもいい。
直接的なことは話せないだろうが、手紙でやり取りするよりはよほど効率が良さそうだ。
そうでなくても普通に会いたい。
前の長期休みから会えていないのだ。
この駐屯地に入ってからというもの、長期休みなんてものは無かった。
そもそも外出は月に一度だけであり、それも監視付で、近所に住まう家族へ会いに行くことだけが許される。
今更ながら人権侵害も甚だしい。
なんだか怒りが湧いてきた。
よし。
頑張ってポイントを稼いで頼み込もう。
今まで換金したお金が課金さえ出来ればもっと楽なんだろうが、生憎、それは出来ない仕様になっている。
思えば当然の処置か。
五百円で一ポイントに換金できるようになれば、下手なプレイヤーが金に飽かせて人形を大量購入し、大量破壊する可能性がある。
換金率と、人形のコスト的に釣り合わないだろう。
やっぱりあの換金は詐欺だと思った。