訓練
用捨人形は文字通り、用いて捨てる使い捨てだ。
ゲームの設定では複合金属が使われていると書かれているが、戦車だの戦闘機だのの値段を知れば嘘ということはコスト的に見てすぐ分かる――とは、佐々原の談。
ぼくは聞いて初めて納得が言った。
実機を見て整備や改良を手掛けているアレクシス曰く、ほとんどがただの鉄で出来ているので、生産コストは他兵器に比べて圧倒的に低いらしい。
装甲をどれほど厚くしても、敵の攻撃が貫通するので、ならばいっそ安価で手に入りやすい素材を用いて人形の数を増やし、物量で対抗しようということだった。
人形に持たせている武器によっては、そちらの方が高かったりする。
武器損失で機体全損より大きい時があるのはそのせいかと、今ようやく理解できた。
一ポイント五百円は良心的な為替取引だったのかもしれない。
さすがに人形一体が五万円とはいかないだろうけれど。
しかし、人形を実際に整備しているアレクシスの金銭感覚は麻痺しているのだろう。
「これくらい平気よ!」
早々に撃破された機体から叫び声。
彼女の声を読み取り、日本語に翻訳された文章がチャット欄に表示されていた。