護衛との出逢い
僕は犬神 煌汰
高校二年の男子、もちろん帰宅部だ。
僕は半妖という妖と人間の血が交わって生まれた半分妖怪で半分人間なのだ。
普段は人間の姿だが妖の姿にもなれる。
僕は小さい頃から妖が見えた、そして小さい頃から妖に呼ばれた、行ったら喰べられるから僕は逃げた。
それが授業中であっても、
僕は今日も窓から天狗が覗いてるのを見た、
「先生ー、お腹痛いので保健室行ってきます。」
『ダメだ、毎日保健室行ってるだろサボりは許せないな』
「そーですか…」
先生が許可しないのはわかっていた
だから、
僕は勝手に授業を抜けて廊下を走った、すると体育の先生が、
『コルァ!お前また廊下走って!いつも走るなと言ってるだろ!』
妖+先生に追われる毎日だ。
教育実習の女先生とすれ違ったとき実習生の先生が僕の後ろを見て顔が歪んだ。
ように見えた気がした。
退学になりそうな事をしても退学にならないのは校長先生が実は妖退治屋だから僕の苦労を知っているからだ。
― 校長室はそろそろかっと…
この角を曲がったところに校長室がある。
曲がった瞬間、僕の体が凍った。
表現ではない本当に凍ったのだ。
― どうなってるんだ!?
足下に魔方陣が見えた、それも対半妖の魔方陣
― 僕を狙ってる!?
全身に鳥肌が立った。
追ってきてた先生はいつの間にかいなくなっていて天狗のみが近づいてきた
― このままだと僕は…死ぬ……
叫んで校長を呼びたいが声が出ない。
僕は一瞬で死を悟り絶望した
あと5m程度の場所に天狗が来ていた。
― ダメだ………
その時、
「はっ!」
気合いの入った声が聞こえた。
― 誰だっ!?
天狗は動かなくなっていた、そしてガラスのような音と共に四散した。
「大丈夫ですか?」
優しい声が僕の耳に入った。
ただ魔方陣の影響で喋れないのだ。
「あっ魔方陣か…ごめんね私は魔方陣解けないから今校長先生呼んでくるね!」
― 良かった、悪い人じゃないみたい。
教育実習の先生が校長室に向かった。
― え?教育実習の先生?
すぐに校長先生が来てくれて魔方陣を解いた。
「ありがとうございます」
「今回は教育実習の先生のおかげだよ」
「誰なんですか?この先生は」
「あぁこの方は君の護衛を任せてる妖祓人だよ」
「僕の護衛?」
「わしが校長室にいないときもあるからな」
「なるほど」
「わしはそろそろ会議だから行くね」
「はい」
校長先生に別れを告げて改めて教育実習の先生を見た。
「自己紹介が遅れました妖祓人の雨宮 琴音と申します以後お見知りおきを」
「校長先生からの命令?」
「いえ、妖祓協会からの指示なので」
「なるほどねー」
この世界には誰も知らないところに妖祓協会というのがある。
校長先生は幹部らしい。
「まぁこれからよろしくね」
「宜しくお願い申し上げます」
― この人なんか固いなぁ…
「とりあえず、僕は授業を続行するからその間に魔方陣を組んだ犯人探してもらえる?」
「えぇ承知致しました」
― 顔可愛いのに固いからもったいないなぁw
その日はなにもなく授業が終わった。
放課後は雨宮先生と話していた。
護衛は四六時中らしい、家にも来るらしい。
「寝るとこないぞ?」
「私は床に寝ますのでご安心を」
― 美人を床に寝させる男子って有り得ないから!
「ベッド貸すよ僕はソファーにでも寝るから」
この譲り合いは一時間経ったが未解決のままだ。
一応の結論は一緒にベッドに寝ることになった。
ひとまず家に帰ると両親がいなかった、居間の机の上に紙が置いてあった、
「んーっと…なになに?」
『ごめんねぇ!煌ちゃーん、パパとの旅行ね、帰り遅くなるのん♪美人のお姉さんと二人きりだからってテンション上げちゃダメよぉ~♪』
と、ウザさMAXの置き手紙があった。
雨宮に見られたら勘違いされる可能性があるから捨てておこう。
「そーいえば、魔方陣を組んだ犯人わかった?」
「申し訳ありません、手がかりの一つさえ見つかりませんでした」
「犯人探しやめていいよ」
「何故でしょう?」
「護衛いるから」
「承知致しました」
以上がご飯中の会話でした。
晩ご飯も食べ終わり僕がお風呂行こうとすると何故か雨宮がついてきた。
「え、まさか…お風呂まで護衛?」
「え、違うんですか?」
「うん違うと思うよ」
「なら護衛することにします」
― 僕、理性を保てる自信ないのに…
お風呂での話はしない方がいいね。
僕は先にあがって着替えてると、急にドキドキしてきた。
― 女の人と二人きりって初めてだな。
家で妖に襲われないと思いながらも口にすることはなかった。
雨宮との同棲がまんざらではないからだ。
そして煌汰のなかで一番のイベント就寝がやってきた。
「本当に一緒でいいのか?」
「はい、それが結論ですから」
「寝るときだけでも敬語なしにできない?」
「できますよ」
「じゃそーしてくれ」
「う、うん…」
― ちょっと待て、照れながら言うと可愛いく聞こえてしまう…
「そ、そろそろ布団に入ろっか…」
「う、うん、そーだね…」
「………」
「………」
背中合わせに横になって、背中から雨宮の暖かさが伝わってきて急に緊張してきた…
― なんか恥ずかしい…
「そう言えば雨宮って何歳なの?」
「何歳に見える?w」
「30」
「………(怒」
「痛っ、ちょっ、無言で叩かないでw」
「煌汰ひどいよ…」
「ごめんごめんw」
「まだ19だもん…」
「若すぎねっ!?」
― 若すぎだろっ!僕と2,3程度しか変わんないよ?
「私って老いて見える?」
「え…いや!若く見えるけど!?」
― なんか雨宮が急に可愛く見えてきた…
「「………」」
雨宮が寝返りをうって僕の背中に頭が当たってて鼓動が聞かれそうで少し困った。
寝ないと鼓動が確実に聞かれそうだったから、
「そろそろ寝よっか…」
「うん…」
「「おやすみ」」
雨宮の寝息が聞こえた瞬間、意識が途切れるように僕は眠ってしまった。
何故だか、今日はよく眠れた。