ピンチ
ハゲ(弟)と別れたデブ(RJ)を追ってここまで来た。
ボッサンとユオは車(skylineGT-R 3.2Lフルチューン S46年式 ボッサンの愛車)から降りて倉庫の裏に回る。
開いている窓があるが、高くて届かない。
「あの窓から入れそうだけどな‥」
ボッサンが窓を見上げて呟くとユオが言った。
「ボッサン、僕の肩に乗って」
ユオはボッサンを肩車して、壁に手をつきながら肩の上に立つ。ボッサンは手を伸ばすが窓には届かない。
「惜しいな。もうちょっとで手が届くのに」
「ボッサン、僕の手の平に乗って」
「大丈夫か?」
恐る恐るユオの手の平に乗る。
「フンッ!」
ユオは腕を真っ直ぐ伸ばす。
「お、届いたぞ」
ちなみにこの中国雑技団ばりのワザを見せるユオ。柔道3段、剣道5段、合気道4段、書道2段‥のバリバリのスポーツマンである。
ボッサンが窓をゆっくりと開けて中に入る。
「ふぃ~。ユオ、ロープを探して‥」
ボッサンが窓から顔を出すとユオは窓のすぐ横にいた。窓の横の雨どいを登って来たのだ。
ユオは大学でロッククライミング部に入っていた。
ユオが中に入って2人は物陰に隠れる。
倉庫の中央では、RJとその部下3人が木箱を取り囲んでる。2人がバールで蓋をこじ開ける。
中には、アサルトライフル、サブマシンガン、手榴弾にロケットランチャーまである。
「戦争でもおっぱじめる気か!」
「どうする?」
ユオはボッサンに聞いた。
「支援要請だ。本部に連絡!」
「あ、携帯、車に置いて来ちゃった」
「なんだと~?携帯ってのは、こうやって持ち歩かないと意味がねーん‥」
人の事は言えないボッサンであった。
「ユオ、車に戻って応援呼んで来てくれ」
「分かった」
ユオが動いた時、後ろに立てかけてあった鉄パイプを倒してしまった!
カラーン
倉庫に響きわたる。
「誰だ!」
RJがこっちを見ながら叫んだ!
「しまった!」
部下が3人、MP5を構えながらゆっくり近づいてくる。
「そこに居るのは分かってんだ!生きて来た事を後悔させてやるぜ!」
部下その1いけっちが吠える!
「大人しく出てくれば、楽に死なせてやるぜ!」
部下その2オヴェが叫ぶ!
「これか?これがほしいのか?」
部下その3アオイが尋ねる!
ボッサンの額から汗が吹き出した‥