意外な接点
「つまりだ、あの5年前に襲われた宝石店と強盗犯はグルだったってことよ。わざと店を襲わせて宝石はそのまま、保険金丸々せしめたって寸法だな」
ボッサンは、ユオ、モリモリ、ラッキーデカ長の前で言った。
「その保険金詐欺の証拠を握った彼は、自殺に見せかけて殺された」
ユオが付け加える。
「そんで殺された彼を探ってたユオが狙われたって事ッスね。ボッサンもついでに」
「なんだもりもり!ついでってのはよ。でも今度奴らが襲ってきやがったら、こいつでヘッドショット決めてやるぜ」
と言ってホルスターから銃を抜いて両手で構えるボッサン。
「その銃は!スミス&ウェッソン44マグナムのステンレスモデルじゃん!どこで手に入れたの?」
ユオはボッサンの手にしている銃を見て目を輝かせながら言った。
「ユオいいだろ。先月の銀星会のガサ入れん時に押収したやつさ。これからは俺の事を、ハリー・キャラハンと呼んでくれ」
と言って撃つ真似して、銃口を口で吹いてクルクル回してホルスターにしまう。
ゴトンッ
足の上に銃を落っことして、ピョンピョン跳ねるボッサン。
「とりあえず宝石店と強盗犯の接点を探すんだ。ボッサン。銃で遊ぶなよ」
場所は変わって、ここは夜の銀座。
例の宝石店の店主ともう一人の男が、オカマバー『マリリンの部屋♪』で酒を飲んでいる。
ボッサンとユオは2人を尾行して来たのである。
ボッサンは部屋の隅で2人を伺いながら、ここのママのマリリンに話しかけた。
「おいママ、あの2人はよく来るんか」
「は~い♪、ごひいきにしてもらってるわ。特に、RJさんには週3ぐらいでお越し頂いてまっす」
ボッサンはご機嫌で酒を飲んでいる2人を見比べて言った。
「RJ?左のハゲか?」
宝石店の店主はハゲである。
「えっと、右のデブ、あ、いや、右の大柄の方よ」
「そのRJと仲のいい子はいるか?」
「は~い♪、RJさんのお気に入りの子がいるわよ」
「ちょっと呼んで来てくれ」
「ちょっと待っててね♪」
マリリンはお尻をくねらせながら店の奥に入っていった。
しばらくして‥
「ど~も~。おっぱい大好きおっぱいちゃんどぇ~っす。おっぱい好き過ぎて自分にも付けてもうたわ。アハハハハ~。
あら?いい男やん~♪間違いない~。サービスしちゃりますよ~♪ブルンブルン」
現れたのは、ごつい体で見るからにシリコンバレーと分かる胸に、ピッチピチのワンピースを着た、
おてもやんみたいな化粧のオカマ野郎で、ユオの目の前で自分のおっぱいをブルンブルンさせていた。
ボッサンは一言。
「すね毛剃れ」
ユオも一言。
「おぇ~!」
ボッサンとユオはバケモンを連れて裏口から出る
「お前、RJのお気に入りなんだって?」
ボッサンはタバコに火を付けながら聞いた。
「そ~なんですわ♪なぜか気に入られちゃって。いつも指名してもらってますわ」
「RJは何の仕事してるんだ?」
「貿易商やって。船で日本と香港を行ったり来たりしとるって。そんで~、
お前だけに話すけど、俺は香港マフィアのボスやって言いはりますの。うそやん、って言うたら、
こっそりピストル見せてくれたんよ~。誰にも言うな~って言うんよ~。あれ?ゆうてもうたわ~。
今の聞かなかった事にしといてね~ん♪」
「香港マフィア?中国人か?」
「ハーフって言うてたわ。お母さんが中国人。お父さんが日本人。今日一緒に来とるのが、腹違いの弟さん」
「なんだって!」
「いやだ、これも内緒だったわ~。あたしから聞いたって言わんといね。
じゃああたし仕事に戻るわ~。店長に叱られてまうわ。また来てね~♪チュッ」
投げキッスをして、クネクネしながら戻って行った。
ボッサンは一言。
「誰が来るか!」
ユオも一言。
「おぇ~!」