再会
ここは香港のアジアワールド・エキスポ。
日本のロックバンド‐SABANOKANZUME‐、通称“サバカン”のコンサート会場。
ホヘト刑事は潜入捜査の為に“サバカン”のメンバーに参加しているのだ。
コンサート終了後の楽屋
ボーカルの後藤田がホヘトの所にやってきた。
「ホヘト、お疲れ~。君、タンバリン上手いねぇ。正式に“サバカン”に入る~?」
「いやいや、大した事ないっすよ」
(タンバリンじゃなくて、ギター弾かせろよ、まったく。サバカンなんて誰が入るか~!)
愛想笑いをしながら思うホヘトであった。
ホヘトの携帯が鳴る。楽屋の外に出てから携帯にでた。
「もしもし。あ、ラッキーデカ長。ホヘトは頑張ってますよ」
「ホヘト~。潜入捜査はもういいや。実は、ボッサンとユオともりもりと連絡が取れなくなったのさ。多分、RJの船に監禁されてると思うんだわ。
そんで、香港港に23時に着くから、詳しい場所はメールで送るけど、なんとかしてあげて。またジンギスカンおごるからさ。頼むね~。よろしく~!」
「え?なに?ちょっ‥ 切っちゃった」
(それってヤバいっしょ。まったく勝手なんだから。たまには自分でやんなさいよ。椅子に座ってないで)
腕組みをしながら思うホヘトであった。
捜査1課の部屋
1人さみしく部屋に居るラッキーデカ長。
携帯を切って、娘のレミの待ち受け画面を見ながら
「たのんだぞ!ホヘト!」
心の中で叫んだ。
「へぇ~、携帯の待ち受け、私なんだ。こんな写メいつ撮ったの?」
後ろから急に声がしたので、ビックリして振り返るラッキーデカ長。
「あ、いや、これはその~、なんだ。って言うか、レミなんか用か?」
交通課1年目の婦人警官レミは、ラッキーデカ長の愛娘である。
「別に用事はないけどさ、パパの顔見に来ただけ。じゃあまたね~♪」
ラッキーデカ長の両肩をポンとたたいて部屋を出て行くレミ。
「え、もう行っちゃうの?」
部屋を出ていったと思ったら顔だけ出して言った。
「あ、それから今度、家に彼氏連れて行くから会ってね。じゃ~ね」
「ななななに~!」
激しく動揺するラッキーデカ長であった。
貨物船“ジェニー”船底の倉庫
ボッサンたちは倉庫に閉じ込められていた。
薄暗い倉庫の隅に何かいる!段々目が慣れて来た。どうやら人のようだ。
こっちに歩いて来る!
「あら~♪、誰かと思ったら、ボッサンに新米刑事さん、あなたは新顔ね。こんな所で何してんの?密入国?」
オカマバー“マリリンの部屋♪”にいたバケモンである。
「なんで俺の名前知ってんだ?」
「おぇ~!」
「お姉さん初めまして、モリモリッス」
「イヤ~ん♪、もりもりって。いやらしい名前やわ♪」
ボッサンはおっぱいに聞いた。
「お前こそ何やってんだ、こんな所で」
「あたし?RJに誘われたんよ。一緒に香港行かへんかって。ほんで付いて来たんよ」
「誘われたヤツが何でここに居るんだ?まるで監禁されてる様に見えるが」
「いや~実はね~、暇だったから船の中ブラブラしてたんよ~。そしたら偶然おっきな金庫見つけちゃって、金庫見たら昔の血が騒いちゃって、
気が着いたら金庫開けちゃってたんよ~。そこにRJが来て、なにしてんのって言われて、このザマよ~」
ユオが不思議そうに聞いた。
「昔の血って?え?」
「怪盗18号って知っとる?実はあれ、あたしなんよ~」
「怪盗18号?たしか10年位前に大阪を騒がせた金庫破りのプロ。未だに逮捕されておらず、今も指名手配中のあの伝説の金庫破り。それがお前だって言うのか?」
「大阪から東京に逃げて来て、マリリンさんと知り合って、あそこの店にかくまってもらってたんよ。この格好はカモフラージュ」
「マジなのか」
「あ、そうだ。その手錠、窮屈でしょ」
そう言うと、髪からヘアピンを抜いて、3人の手錠をあっという間に外してしまったのだ。
ボッサンは手首をさすりながら呟いた。
「どうやら本当らしいな」
「ただのバケモンじゃなかったんだ」
「そうなのよ~ん♪」
と言ってユオに抱きついて、おっぱいをグリグリ押しつける。
「顔を近づけるな~!おぇ~!」
ボッサンは腕組みをして言った。
「さて、ここからどうやって出るか」
「あたしにいい考えがあるわ♪」
おてもやん顔でウインクをするおっぱいであった。